こんにゃくゼリー:死亡幼児は兵庫県の男児 安全性問う声

こんにゃくゼリー(左)の死亡事故について発表する国民生活センターの島野康理事(右から2人目)ら=東京都港区の同センターで2008年9月30日午前10時37分、山本晋撮影
こんにゃくゼリー(左)の死亡事故について発表する国民生活センターの島野康理事(右から2人目)ら=東京都港区の同センターで2008年9月30日午前10時37分、山本晋撮影

 幼児がこんにゃくゼリーを食べて窒息死した事故で、国民生活センターは30日午前、死亡したのは兵庫県の男児(1歳10カ月)と発表した。こんにゃくゼリーによる死亡は17人目で、昨年10月に業界団体が表示改善して以降、初の死亡事故。再び死者が出たことでこんにゃくゼリーの安全性を問う声が高まるのは必至。行政や業界の対応の不十分さを指摘する声も上がっている。

 同センターによると男児は7月29日、祖母宅でおやつに凍らせたこんにゃくゼリーを食べた。直後にのどに詰まらせ、病院に運ばれたが脳死状態になり、9月20日に多臓器不全で死亡した。

 食べたこんにゃくゼリーはマンナンライフ(本社・群馬県)の「蒟蒻(こんにゃく)畑マンゴー味」。ハート形のミニカップに入っていた。同社のこんにゃくゼリーは96年と05年に死亡例がある。

 こんにゃくゼリーをめぐっては、同センターが昨年7月、死亡事故が相次いでいることから販売規制の検討を関係省庁に求めた。これに対し、厚労省や農水省などは業者に再発防止の指導を行う一方、消費者にも注意喚起をしていたが、規制についてはいずれの省庁も「法律の対象外」としていた。

 一方、業界団体の全国菓子協会など3団体は昨年10月以降、子供と高齢者が食べないように警告する統一マークを商品に表示することを決めた。こんにゃくゼリー自体の形や硬さには「基準を決めるのは困難」として改善策は見送られていた。また、凍らせると詰まりやすくなるという注意表示をつけている商品もあるが、「蒟蒻畑」にはなかった。

 米国や欧州連合(EU)、韓国ではこんにゃくゼリーの回収や販売規制などの措置が取られている。

 国民生活センターの島野康理事は「これだけ大勢の人がなくなっている。政府で何らかの規制、対策を考えるべき」と話している。

 マンナンライフによると、男児の父親から8月12日に事故の連絡があったが、具体的な対策は取っていなかった。同社品質保証室の茂木克己室長は「事実関係をきちんと確認しないと、行政などに通報できないと考えていた。事故を真摯(しんし)に受け止め、より分かりやすい表示に改良したい」と話している。【板垣博之、小林多美子】

毎日新聞 2008年9月30日 11時47分(最終更新 9月30日 14時37分)

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