子どもと教育を考える
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第8回】「カデナ米軍基地」と「1あたり量」その2

  前回(ぜんかい)は、「かけ算」、「ニコニコわり算」、「ドキドキわり算」を使って、沖縄(おきなわ)のカデナ米軍基地(べいぐんきち)と嘉手納町(かでなちょう)のことを勉強(べんきょう)しました。「1あたり量(りょう)」=「人口密度(じんこうみつど)」を計算することで、カデナ米軍基地が、嘉手納町の83%をフェンスで囲(かこ)っていることなどがわかったね。
 また、かけ算やわり算の世界(せかい)も広(ひろ)がったんじゃないかな?

 今回は、カデナ米軍基地の「F15イーグル」という戦闘機(せんとうき)が飛(と)ぶ速度(そくど)「1あたり量」を、引(ひ)き続(つづ)き「マジッククロス」をつかって考(かんが)えていこう。
 フェンスの向(む)こうのデージ(とても)広いカデナ米軍基地の滑走路(かっそうろ)には、世界最強(せかいさいきょう)とされている「F15イーグル」が58機(き)いるんだ。そんな戦闘機が、毎日、沖縄の空(そら)を自由(じゆう)に飛(と)んでいるんだよ。みんなの中には「かっこいい」と思う子もいるかもしれないけど、日常(にちじょう)に飛んでいるわけだから、ちょっと怖(こわ)い気もするよね。
 この戦闘機は、“マッハ2.5”という速度で飛ぶ、すごい機能(きのう)を持っているんだよ。

〜“秒速(びょうそく)”と、“マッハ”って何?〜

 速度は、時間あたり動く長さのこと。「秒速20m」というのは、1秒間に20m進む速さのことで、20m/秒(20mパー秒)の「1あたり量」なんだよ。
 マッハ1は、“音の速さ”で、1秒間に340m進む速さのことなんだ。「1あたり量」の記号(きごう)で書くと、340m/秒(340mパー秒)となるんだよ。

Q.1 
カデナ米軍基地の「F15イーグル」の速さを、ミニ知識(ちしき)を参考(さんこう)にして求(もと)めてみよう。
A.
マッハ2.5の速さだから、
340m/秒×2.5=850m/秒  
秒速(びょうそく)(1秒に進(すす)む距離(きょり))を分速(ふんそく)(1分に進む距離)に直(なお)してみよう。

「マジッククロス」で考えると、「1分」は「60秒」なので、
全体量が?だから、
「かけ算」になるよね。よって、こういう式(しき)が考えられるよ。

(式) 850m/秒 × 60秒 51000m

mをkmになおすと、
51000m=51km
分速51km ⇒ 51km/分
となるんだ。



 沖縄(おきなわ)から東京(とうきょう)まで、どれくらいの距離(きょり)があると思う? なんと、約1600kmあるんだよ。
 ここからは、速度(そくど)だけじゃなく、時間(じかん)と距離(きょり)のことも考えていこう。

Q.2
沖縄から東京まで、「F15イーグル」で飛ぶと、どれくらいの時間で到着(とうちゃく)するかな?
A.
「マジッククロス」で考えると、「51km/分」の速さで「1600km」飛ぶので、
「いくつ分」が?だから、
「ドキドキわり算」だよね。よって、こういう式が考えられるよ。

(式) 1600km ÷ 51km/分 ?分

答えは、約31分になるよ。

すごい速さだと思わない? 「F15イーグル」のパイロットにとって、沖縄から東京は、“コーヒーの冷(さ)めないぐらいの時間(じかん)”なんだね。


Q.3
この「F15イーグル」は120分間飛ぶことができるといわれているんだ。「F15イーグル」が全速力(ぜんそくりょく)で120分飛び続けたら、何kmの距離まで行くことができるかな?
A.
「マジッククロス」で考えると、「51km/分で120分飛ぶ」と「何kmまで行けるか」を求める計算なので、
「全体量」が?だから、
「かけ算」になるね。よって、こういうしきが考えられるよ。

(式) 51km/分 × 120分 ?km

答えは6120kmになるよ。

 6120kmって、どれぐらいの距離なんだろう。「世界地図」で沖縄を中心に半径(はんけい)6120kmの円をかいてみると……

「F15イーグル」が120分間で飛べる距離
 カデナ米軍基地の新聞(しんぶん)でも、東(ひがし)はアラスカから西(にし)はアフリカまでと発表(はっぴょう)しているんだ。本当にこの戦闘機(せんとうき)は、沖縄や日本を守(まも)るために飛んでいるのかな?


「カデナ米軍基地」と「1あたり量」の
 授業を受けた嘉手納の子どもたちの感想
カデナ基地(きち)のところには、本当だったらおじいちゃん、おばあちゃんが住(す)んでいた。嘉手納町が東京(とうきょう)より混(こ)んでいるなんて、信(しん)じられない。


私たちが住んでいる嘉手納町が、本当はあんなに広(ひろ)いんだと初(はじ)めて知(し)った。もし、戦争(せんそう)がなかったら、あんなフェンスもなければ、私たちの住(す)む家(いえ)も大きかったかもしれません。


あんな怖(こわ)い飛行機(ひこうき)があるなんて、知(し)らなかった。世界の人は「沖縄(おきなわ)は海がきれいで、人も優(やさ)しい」と言っているけど、本当は「恐(おそ)ろしい島(しま)」と思っているかもしれない。


小さな島“沖縄”の小さな町“嘉手納町”に、こんな飛行機が置(お)いてあるなんて。この基地からミサイルが発射(はっしゃ)されたら、狙(ねら)われるのはこの島で、私たちは逃(に)げたくても逃げられないだろう。こんな小さな島に大きな基地があるので、とても怖い。



速度(そくど)は「1あたり量」として考えるよ。秒速(びょうそく)は「1秒あたりの進(すす)む距離(きょり)」、分速(ふんそく)は「1分あたりの進む距離」、時速(じそく)は「1時間あたりの進む距離」になるんだ。


「マジッククロス」で考えると、距離を求(もと)めるのは「かけ算」、速(はや)さを求めるのは「ニコニコわり算」、時間を求めるのは「ドキドキわり算」になるよ。


「1あたり量」がわかってくると、世(よ)の中のいろいろなことが見えてくるね。社会(しゃかい)や総合学習(そうごうがくしゅう)へ発展することができるんだよ。


「1あたり量」がわかってくると、世(よ)の中のいろいろなことが見えてくるね。社会(しゃかい)や総合学習(そうごうがくしゅう)へ発展することができるんだよ。

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