政治と疎外
2008-09-25 Thu 00:00
最近忙しくてはてなブックマークをする時間がなく、idコールに答える時間がありませんでした。すみません>Midasさん。
話の元になったエントリーは↓などを参照。

2008-09-01 - planet カラダン - 差別問題としてのホームレス問題
「ホームレス支援」という差別 - 麻布論壇 〜はてな支所〜
なんでこんな当たり前の話しなきゃいけないんだと思うけれども… - 過ぎ去ろうとしない過去

私が最初にMidasさんにご意見したのは↓のブックマークページ。

はてなブックマーク - id:y_arim - Romance - はてなハイク
Midas 宮下に住んでる人でひとり、無茶苦茶お洒落がいるんですよ。適当に拾ってきたモノ着てるだけなのにマルジェラ完敗、みたいな←私の散歩の友です。こいつらの言ってるのは具体でも何でもないです。単なる上から目線w

CrowClaw weblog id:Midasさん、そもそも今回の発端となった話が「ホームレスなんてそんな奴ばかりだから支援必要なし」だったのですがhttp://d.hatena.ne.jp/noiehoie/20080913/1221326121(注:上記した「「ホームレス支援」という差別」)。貴方の意見は単なるイヤミです。ワザとだとは思いますが。


それに対するMidasさんのお返事が以下です。

はてなブックマーク - 財)パタフィジック収集館ふくろう団地出張所 / 2008年09月17日
id:CrowClawさん。私には抽象に聞こえてるんですよ。全部は見てませんが1番具体?と感じたのは例の「スタバが…」位で。私の2案(軽犯罪法廃止、図書館はむしろ彼らのもの)より具体的な対案があればぜひ伺いたいです

「ホームレス」と一絡げにした瞬間に抹殺される部分もある事をお忘れなく。「皆」が「彼ら」少なくとも1人とダチになれば改良計画より有効では?君らはまだ彼らを人間扱いしてないのw私の「具体」がわかりますか?


ここでMidasさんが述べている「スタバが…」は、「図書館に行った−シアトル公共図書館でのホームレス支援の例 - 日毎に敵と懶惰に戦う」で紹介されている事例のこと。こうして並べてみると、今月上旬に盛り上がった議論の輪郭が見事に現れているような気がします。

本題。
私がMidasさんのご意見を「イヤミ」と書いたのは、当該コメント中にMidasさん流の具体的提案(軽犯罪法廃止、図書館はむしろ彼らのもの)が含まれていなかったからで、それは文脈を踏まえてコメントしなかった私の落ち度だと思います。申し訳ありません。ただ、これら二種の具体的提案の方向性については首肯したいのですが、次の「「皆」が「彼ら」少なくとも1人とダチになれば改良計画より有効では?」にはやや疑問を覚えたので、それについて書いてみたいと思います。

Midasさんが「君らはまだ彼らを人間扱いしてないのw私の「具体」がわかりますか?」と書かれているのは、要するにRomance氏らの議論が具体的諸個人としての「ホームレス」達に言及しておらず、単なる「貧困層」としてしか扱っていないからだと思いましたが(違ったらごめんなさい)、ではそうした疎外を無くすために彼らをより「具体的に」支援するとして、その支援を運動として組織する際、「具体的諸個人としての「ホームレス」」がいちいち尊重されるようなやり方があるかというと、それは無理があるのではないでしょうか。

「具体的」な例を言えば、Midasさんの呼びかけに応じ、私やRomance氏らがぞろぞろ集まって「ホームレスと友達になろうキャンペーン」なんてものを始めたら、それはMidasさんが理想とする(?)「「具体的諸個人としての「ホームレス」」を尊重する」ことになるどころか、極めて不気味なカルト運動として(ホームレス当事者の目にも)映ってしまうのではないでしょうか。これは当たり前で、「ホームレスと友達になる」ことはそもそも政治運動として行うようなことではないからです(そういう行為をすること事態、「具体的諸個人としての「ホームレス」」を疎外している、と言ってもよいでしょう)。「軽犯罪法廃止」「図書館はむしろ彼らのもの」も同様で、カルト運動とまではならなくても、やはりそれを「ホームレス支援のため」と称してマトモに政治の場で主張すれば、当事者からも非当事者からも奇異な目で見られるのは避けられないのではないでしょうか。つまり、「君はいったい誰を代表してものを言っているのか?」と。

ホームレスである以上、「軽犯罪法」に触れずに生きていくことは出来ないのかもしれませんが(法学には詳しくないので間違っているかもしれません。ごめんなさい)、だからといってホームレス当事者が軽犯罪法を支持するかという点ではそれこそ千差万別の「具体例」があるでしょうし、図書館にしても利用しない方もいらっしゃるわけです。どちらの主張をするにしろ、「具体的諸個人としての「ホームレス」」は疎外されていることになってしまいます。
この問題が回避不能である以上は、可能な「支援」は「具体的諸個人としての「ホームレス」」の意見に耳を傾けつつ、最終的にはあえてそれを「疎外」する、ようなやり方にどうしてもなってしまうのではないでしょうか。そして実際のホームレス支援運動はそのような形になっているのでしょう(たぶん)。

Midasさんは「君らはまだ彼らを人間扱いしてない」と仰っていますが、ある意味「人を人とも思わない」事こそ政治(運動)の本質だ、とさえ言えるのかもしれません。別に議会制民主主義を取らずとも、「政治」は具体的諸個人を疎外してしまいますから、社会主義や共産主義の国はあんな風になるし、国同士の問題があれば戦争だって起きるわけです。平時に「今から君の国に爆弾落とすおwwww」とか言ってくる奴がいたら間違いなくキチガイですが、そんなキチガイ行為を名君と呼ばれる元首までもが平然と行うのは、「政治」の上では誰も「外国人」を人間扱いしないからです。そして、現代とは政治行為の場としての「社会」が無制限に地球上に広がった時代のことなのだと私は考えていますし、だからこそファシズムの問題などが再び注目されているのでしょう(たぶん)。

で、そんな状況の中でRomance氏やhokusyu氏の意見が非常に危なっかしいものを孕んでいる、ということはわかりますし(「自明性」の話のときは、それこそあの世でスターリンが笑ってないか?と思ってしまいました)、そうした(社会主義的な)意見への対抗として「反社会」的なレジスタンスをする、というのはわかるのですが、それは(政治的に)「世間に訴える」ようなことではない以上、Midasさんがすべきは「はてな」に書くよりも(自分と同じような意見を持った)「同士」を集めることの方なのではないか、と私は思いました。
まあ、そこまでされるご意思はなく、あくまでも個人的な「抵抗」のあり方なのかとも思いますが(先にも述べましたが、そうしたMidasさんの「方向性」というか根本的なアウトロー性には(ヘタレの左翼としては)強く憧れ、尊敬したいという気持ちがあります。ただ、そうした性向は他人の真似をしたり、「訴え」を聞くことで身につくものでもないでしょう)。
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コメント
>する時間がなく
そういうことは一切、気にする必要はありません
>意見を「イヤミ」と
気にしてません。某所でも「辛口」とか書かれてましたが全く身に覚えがなかったので反対に「いいの?言っちゃっても」と煽られた感じがしたほどです
さて。
私はこれまでいろんな人に会ってきましたので、あのお2人がどんな方で、何をなさってて、どこに問題があるとご自身お感じになっておられ、それがどのような形で文章となって現れてるか、恐らくはご本人さまより把握してるつもりです
あとでご説明さしあげるかと思いますが、そのへんが余りにも目についたので1球なげただけです。たぶん自覚してないでしょうし、彼らのせいばかりとは言えない何かがあるのかもしれません。文化資本も含めどの程度、理解力があるのかを探らねばなりません。当然、あいまいな言葉をかけることになります

>「皆」が「彼ら」少なくとも
私は特に運動として組織せよとは言っておりません。むしろ反対の例として示したつもりです。人々を動員したり理想を啓蒙したりでは、おっしゃる通り大変、実現に無理のある話だと。なんたって心の問題ですから。イヤミに聞こえるかもしれませんが皆がそれを自明で自然だと感じねば何も始まりませんし
唯一可能なのは、直接そうせよと説くのではなく人々の意識のありよう、モノの見かたを換えようと試みるくらいではないでしょうか
そのためにはどうしたらよいかと私が思ってるのが、あの2案だったりします
すなわち1)ちょっとそんな言われても困る。気持ちはわかるけど、どうするつもり?と2)まあ事と次第によっては方向性を首肯してやっても構わんかな…の2段がまえになってると思ってください。2)が実現した10年後には図らずも1)が…みたいな。関連性を結びつけ考えれるかどうかはそれこそ、その人しだいと言ったとこで

これは私が何人かから直接、耳にして私もなるほどと思ったのですが結局、図書館より他に行くとこがないんですよ
へんな話にそれますけど時々2ちゃんで「お金のかからないデート方法教えます」スレ、みたいなのが注目を集めてたりしますが、ご存知ですか?
企業の展示施設…とかショボい博物館…とか知恵の結晶が語られてますが正直なとこ、あんまバリエーションないんですよね。例えば1円も使わず大都会で週末デートを10回こなせてそれでもラブラブだったら相当の達人と言えるのではないでしょうか
彼らの条件はもっとハードだと思います。ゆえに私は「むしろ彼らの」と
ただこれは専用の施設じゃマズいわけで。あくまでもどんな人でも無料で終日、利用できて、デートにだって使えるようなとこが欲しい。でなければ公共空間とはいえませんから
不幸にして私たちはそういう場所を作れませんでした。図書館以外にはね(その他、拙ブクマを探ると「功利主義者こそでてけ」みたいなことも書いてありますが、あれはあれで個人的に本気でそう思ってるだけです)

より現実的に、改正というかたちで人の意識を換えれるのが「軽犯罪法」ではないかと私は考えてます
私の知り合い(というか先輩)に2人いるんですよ。趣味「ホームレス」なひとが。業種はご想像におまかせしますが半年に1ぺん2週間、とかのペースでやってます。頼むから誘わないでくれよ。て感じなんですが
そうするといきおい、よりディープな話を聞かされるわけで。昨日までベンツ乗ってたような人たちですから、比べると人権なんかありゃしませんよ
彼らがくちぐちに言うには、やっぱ軽犯罪法はマズい、まずはこれをなんとかしないと、と。
ここらはブコメにも書いたので繰り返しになりますが
A)路上でもどこでも実質「労働」してなければならない
B)結局は生存権はない。単におめこぼしで存在してるだけ
たしかに私にも、これらがまわりまわって皆の首を絞めてるようにしか見えないんですけどね
よって物ごいできる、言葉をかえていうと乞食で生きてけるようにしてもらいたいです。働かねば食ってけない社会は私には正常とは思えません。どんな人でも途方にくれることはあります。見ず知らずの他人に窮状を率直に訴えれないのはおかしいです。雇用や援助ではコミュニケーションの可能性もひろがりません。話をせねば、そのひとがどういう人かわかりません。私の申しあげてる「人間扱い」とか「ダチ」ってのはそういうニュアンスです。あと住民票とまでは言いませんけど、公園でも路上でも、どこでも好きなだけいれるようにしてもらいたいですね。もちろん私は、この法律が過去、なにゆえにこう制定されたか経緯をふまえて意見してるつもりです

こんなとこで。

最後にひとことだけ。私はあの2人は「ダメ」だと思ってます。この印象はたぶん換わらないはずです。ブコメをたどってくと、彼らはどうやら図書館関係者とおぼしき、もしくは図書館問題を熱心に情報収集してらっしゃる方々の信頼を失ってしまってます。本来なら騙してでも、という言いかたがあんまりだとしたら、万難を排して、それこそ頭でもなんでも下げてでも味方になってもらって、協力してもらわねばならない人たちの恨みをかってるありさまです。ものごとを少しでも真剣に考えてるなら彼らのうちどちらか、できれば両方とも、少なくともこの人々には謝罪すべきだと思います










2008-09-30 06:36 | URL | midas #- | [内容変更]
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