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ドル資金不足が生んだ中小企業の危機(上)

 A銀行の資金担当部長は「20年以上取引してきた欧州系銀行が『うちも大変だ』と言って、1億1000万ドル(約117億円)の資金を回収していった」と話した。A銀行は最近、外資系銀行から1カ月の外貨建て短期資金を借り入れるのに年13%という金利を支払っている。同部長は「クレジットカードのキャッシング並みの金利だ」と嘆いた。

 米国発の金融危機が韓国の銀行や企業の首を締めつけ、「ドル枯渇」の状態に追い込んでいる。今月14日に米投資銀行リーマン・ブラザーズが破産申請を行って以降、世界の資金市場が凍りつき、銀行は必要な外貨資金をまともに借り入れられずにいる。銀行は輸出企業が資金を調達するための輸出手形の買い入れまでをも中断し、企業に資金難が広がっている。

◆1日物で綱渡り

 韓国の銀行が国際金融市場で短期資金を借り入れる場合、1カ月物でライボー(LIBOR、ロンドン銀行間金利)の3%台に約10ポイント上乗せした高金利を支払わなければならない。以前の上乗せ金利は2-3%だった。

 それだけに優良銀行でなければ資金の借り入れ自体が困難だ。為替市場関係者によると、韓国の一部銀行は香港とシンガポールで1日物のドル資金を借り、その日暮らしで満期に対応しているという。

 ドル資金不足は想像よりも深刻だ。銀行関係者は、現在のような状況が2-3週間続けば、韓国の銀行が外貨債務を返済できない最悪の事態に陥ることもあり得ると警告している。

 A銀行関係者は「韓国の銀行業界が毎月満期延長を迫られるドル債務は20億-30億ドル(約2120‐3180億円)に達するが、この2週間にドル資金が入ってこないため、現在10億ドル(約1060億円)の穴が開いた状態だ」と話した。

 状況が深刻化していることを受け、市中銀行は韓国銀行(中央銀行)に外貨準備を取り崩してドル資金を供給するよう求めている。

趙義俊(チョ・ウィジュン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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