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「認識不足」と陳謝 島田化学工業 

2008年09月17日

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記者会見を打ち切り、席を立つ島田化学工業の島田清之助社長(中央)。販売先は公表しなかった=長岡市の長岡商工会議所

 農林水産省から購入した事故米を食用にも転用、販売していたことが明らかになった長岡市のでんぷん製造販売業「島田化学工業」は16日、島田清之助社長が長岡商工会議所で記者会見し、「認識が足りなかった。反省している」と謝罪した。一方、販売先は公表せず、約30分で会見を打ち切った。農水省と県は流通ルートの解明を急いでいる。

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 同社や農水省北陸農政局新潟農政事務所によると、事故米の売買は03年5月〜08年2月にかけて計13回、約236トンに上る。北海道や新潟、米国、タイ産のうるち米などで、カビが生えたり、袋が破れて汚れたりしているコメだという。売買はほとんどが随意契約で1キロ当たり4〜10円。普通の工業用米の相場とされる40〜百数十円より安く、契約では工業用のみに使うことが明記されていた。

 同社は事故米約236トンのうち約233トンについては他の原料と区別をせずに混ぜて加工。でんぷんの製造過程でカビが付着するたんぱく質の部分が廃棄されることや、製品から基準以上の残留農薬やカビ毒が検出されなかったことから、「安全性に問題はないと認識していた」という。

 同社は事故米を区分せずにでんぷん製造したのは07年8月20日が最後と説明。製品の保証期限が1年であることから「製品による健康被害はない」としているが、販売先に連絡を取り、未使用の製品が見つかれば回収するという。

 同社は、農政事務所の立ち入り調査を受けた8日、朝日新聞の取材に「(事故米は)工業用のりにのみ使っている」と話していた。これに対し、島田社長は「虚偽の情報を伝達し、申し訳ない」と謝罪した。

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 農水省北陸農政局新潟農政事務所によると、島田化学工業の販売先は数十社に上るといい、同省や県が実態を調べている。県内では、製菓会社などが商品を仕入れており、16日、朝日新聞の取材に次のように答えた。

 岩塚製菓(長岡市)は「島田化学工業とはコメでんぷんの取引をしており、それらを原料にして米菓を製造している」とした上で、「詳しいことは現在調査中。ただ、島田化学工業からは『岩塚製菓との取引分に問題はない』との連絡を受けている」と話した。

 栗山米菓(新潟市北区)は「島田化学工業からは昨年8月に生産したでんぷんを同9月に
約2・5トン仕入れた。現在詳しく調べている」と答えている。

 ブルボン(柏崎市)は「島田化学工業と取引はあるが、事故米を使用した加工原料は納品されていない」と談話を発表した。

 三幸製菓(新潟市北区)は「島田化学工業からはコーンスターチなどを他会社を通じて仕入れていたが、コメ由来の原料ではないので、問題はない」。

 越後製菓(長岡市)も「取引はバレイショでんぷんのみ。コメ関連の取引はない」としている。

 一方、亀田製菓(新潟市江南区)は「過去に取引はあったが、コメ関連でなくコーンスターチ。現在の取引は全くない」としている。

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●立ち入り8回 不正見抜けず

 農水省北陸農政局新潟農政事務所は、過去5年間で計8回、島田化学工業に対して立ち入り調査に入っていたが、今月8日の調査まで不正を見抜けなかった。同事務所は、朝日新聞の取材に対し「事故米がきちんと加工されているかどうかに調査の焦点が絞られ、加工後どこに販売されているのかについて調査が不十分だった」としている。

●流通ルート判明後 県、回収命令方針

 県は16日、島田化学工業の流通ルートが確定し次第、同社に対して製品の回収命令を出す考えを明らかにした。また、消費者の不安に対応するため、県内の13保健所と県に相談窓口を設置する。

 問い合わせは県(025・280・5205)など。事故米の販売ルートが分かり次第、県のHPで公表する。

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