【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信によると、粉ミルクなどに有害物質のメラミンが混入され、少なくとも乳幼児5人が死亡した事件の責任を取り、中国国務院(政府)で食品安全問題を担当する国家品質監督検査検疫総局の李長江局長(63)が23日辞任した。後任には国務院副秘書長の王勇氏が就任した。
中国では、閣僚級クラスの高官が事件事故などの責任をとり辞任に追い込まれることは珍しい。しかし、最近、山西省で260人以上の死者を出した土石流など大規模な災害や不祥事が続出していることで、胡錦濤主席は19日、「一部の幹部は責任感に欠けており、人民の生命にかかわる重大な問題に鈍感だ」と、党と政府幹部の無責任体質を厳しく批判していた。
李総局長は、国家出入国検査検疫総局長などを経て2001年国家品質監督検査総局長に就任。中国製の毒性のある玩具やペットフードなどが欧米諸国などに輸出された問題では、強硬態度を崩さず、今年初めに日本へ輸出した毒ギョーザ事件が判明した際にも、中国側の責任を否定する姿勢を貫いた。
今回の粉ミルク問題発生後、中国国内のネット掲示板には李氏の辞任を求める書き込みが多く寄せられていた。日本の太田誠一農林水産相が事故米などの問題で辞任したとのニュースが伝えられると、一部のネット掲示板では李氏の辞任を求める大合唱となった。
メラミンが混入した粉ミルク事件では23日までに、腎臓結石など健康に影響が出たと乳児がすでに5万人を超え、関係者など18人が逮捕されている。
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