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【社説】外換銀の売却遅延、経済の負担とならぬように

 英系大手銀行のHSBCは19日、「世界の金融市場における現在の状況、さらには韓国外換銀行の資産価値などあらゆる要素を考慮した結果、ローンスターとの間で結ぶ予定だった買収計画を撤回することにした」と発表した。HSBCは昨年9月、外換銀行の大株主である米国系私募債ファンドのローンスターと外換銀行株51%を60億ドル(約6450億円)で買収する契約を締結し、その後およそ1年にわたり、金融委員会の承認を待ち続けてきた。HSBCが買収を撤回するというニュースが広まったことで、この日外換銀行の株価は前日よりも10%以上値を下げた。

 外換銀行売買契約の期限は本来7月末だった。HSBCはこの期限を延長する代償として、当初の買収価格をさらに引き下げるようローンスターに要求したが、ローンスターはこれを拒否したという。このように激しいやり取りが行われる中で、米国発の金融危機で資金難に陥ったウォール・ストリートの大型金融機関が一度に売りに出されたことから、HSBCは外換銀行買収を放棄する方向へと方針を転換した。

 HSBCが外換銀行の買収契約を撤回した背景には、韓国政府の政策判断の遅れと外資を排斥する国民感情も作用したという。金融委員会は昨年11月にHSBCの買収審査申請を受けたが、外換銀行の安値売却疑惑に対する裁判が行われていたという理由で判断を先送りし、その後昨年8月になって初めて書類審査に着手した。しかし裁判所がこの問題における被告の辺陽浩(ピョン・ヤンホ)元財政経済部金融政策局長と李康源(イ・ガンウォン)元外換銀行頭取に有罪を宣告したとしても、ローンスターの外換銀行大株主としての資格問題や売却には影響を及ぼすことはない、というのが法曹界の大方の見方だ。金融委員会もこのことを知りながら、国富の流出という世論の非難が起こることを恐れ、これまで何度も先送りしてきた。その結果、せっかくの売却のチャンスを逃したという非難を逆に受けるようになった。

 2006年から始まった外換銀行の安値売却問題以降、韓国を訪れる外国人投資家の数はめっきり減ってしまった。2007年の外国人直接投資(FDI)は前年に比べて7%も減り、今年に入っても第2四半期にかけて投資額が大きく減少した。外換銀行をこのまま放置していては外資の誘致を妨げるのはもちろん、韓国経済全体にとってさらに大きな負担になってくるということだ。

 これまでHSBC以外にも国民銀行やハナ銀行など、韓国の複数の金融機関も外換銀行の買収に関心を示してきたが、これには韓国政府が反対した。韓国の銀行がローンスターに資金を支払って外換銀行を買収すれば、国富が海外に流出しまう、というのがその理由だった。政府は今や韓国の金融機関に対しても、制限なしに外換銀行の買収競争に参加できるよう道を開く必要がある。ローンスターも捜査や裁判には積極的に協力し、韓国国民に表明した社会発展基金への寄付の約束も忘れてはならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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