2008年9月9日(火)「しんぶん赤旗」

物価高に見合う年金を

年金者組合が運動開始


 全日本年金者組合は、物価上昇に見合う年金引き上げと、後期高齢者医療制度の年金天引きに伴う所得控除を認めるよう新たな運動を始めています。会見をして社会にアピールするとともに、日本共産党をはじめ各政党に要請をしています。


抑制する仕組み

 日本の年金は、二〇〇四年に自民党、公明党が強行した大改悪で「マクロ経済スライド」が導入され、物価上昇に応じて引き上げられるべき年金額を抑制する仕組みがつくられました。

 年金者組合が新たにとりあげているのは、この「マクロ経済スライド」が、物価がいくら上がっても賃金が上がらなければ、物価スライドしない仕組みとなっている点です。

 現在、ガソリンや食料品など消費者物価の異常な高騰がすすんでいます。日銀生活実態アンケート(六月)では、10・2%アップという数字もでています。

 ところが賃金はここ数年低下の一途をたどっています。このままではことし物価がいくら上昇しても年金はまったく引き上げられないことになります。

 この矛盾について、「今日の状態は『マクロ経済スライド』をつくった〇四年の『年金改革』時に政府が想定していた状態と大きく異なっている」と年金者組合の久昌以明政策・調査部長は指摘します。〇四年当時の前提では、〇七年は物価が1・5%、賃金が2・3%、〇八年は物価が1・9%、賃金が2・7%それぞれ上昇するとしていました。

 また、物価が下がっても年金額を下げていない年度があるので、年金額は本来の水準より1・7%高い状態だというのが政府の言い分です。年金者組合では、異常な物価高騰に対し、この1・7%を棚上げし、当面、「マクロ経済スライド」を一時停止し、物価に見合う年金を緊急の措置として保障することを要求しています。

所得控除改善を

 もう一つの問題は、社会保険料の年金天引きに伴う所得控除の取り扱いについてです。

 後期高齢者医療制度の発足に伴い、保険料天引きがおこなわれるようになりました。被扶養者の保険料は扶養者の収入で支払うのがふつうです。これまでは扶養者が支払えば、扶養者の所得税などの社会保険料控除として認められてきました。ところが国税庁は、年金からの天引きの場合、控除を認めないとしています。

 年金者組合は、好んで選択したものでない年金天引きについてだけ、扶養者の社会保険料控除として認めないという国税庁の判断は、あまりに現実を無視しており、法解釈の誤りだと指摘し、二〇〇八年以降、被扶養者の特別徴収保険料を扶養者の社会保険料控除として認めるよう求めています。

 年金者組合の森口藤子社会保障運動部長は、「全県全支部を対象にした物価上昇の実態調査もし、全国会議員への要請行動や学習決起集会などを積み上げていく」と今後の運動方針を語っています。



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