ミシガン州イースト・ランシング(AP) スイスとフランスの国境にある欧州合同原子核研究機関(CERN)のサイエンスライターが、運転開始を9月10日に控えた大型粒子加速器「LHC」の紹介文を「ラップ」に乗せたビデオを作り、インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブに投稿したところ、再生回数50万回を超える人気となり、話題を呼んでいる。
高エネルギー粒子物理学とラップを結びつけたのは、米ミシガン州立大学の卒業生、ケイト・マックアルパインさん(23)。CERNから撮影許可を受け、運転開始を控えて作業する職員らと一緒にヘルメット姿でビデオに登場。軽快なリズムで陽子の衝突によって何が解明されるのかを説明。「ここでの発見は、君の頭をぶっ壊す」と歌っている。
マックアルパインさんは、「ラップと物理は、文化的に数キロ以上離れた者同士。でも、これを一緒にすればおもしろいんじゃないかと考えた」と、ビデオ制作のきっかけを説明している。
CERNの広報担当、ジェームズ・ジリーズさんも、「正直言って、最初はケイティのやりたいということを疑っていた。でも、出来上がったビデオを見れば、科学的な歌詞にラップのリズムが調和して納得してしまった。」という。
ビデオを見た物理学者らも、出来上がりを評価。ジリーズさんは、「ほとんど全員の物理学者が納得している、すばらしいものだ」と話している。
CERNの大型粒子加速器「LHC」は、地下100メートルに作られた、1周27キロの円形トンネルで、陽子を光速の99.99%まで加速して正面衝突させる実験装置。高エネルギーで陽子を衝突させることで、質量のもととされるヒッグス粒子の存在や、宇宙の成り立ちについて、研究が進むと期待されている。