インターネットのわいせつ情報を見て、その気になった男は、女子児童へのいたずらを決行した。
マンションに押し入り、女子児童の胸を触ったとして、住居侵入と暴行の罪に問われた男性被告(23)の初公判が16日、東京地裁で開かれた。
被告は保釈されており、黒っぽいスーツ姿で、開廷を待った。
起訴状によると、被告は平成19年4月19日午後4時10分ごろ、東京都葛飾区のマンションの室内に侵入したが、女子児童=当時(10)=が大声を出したため、逃走した。また、同年11月6日には、同区のマンションの室内に侵入し、女子児童=当時(12)=の胸を触って、逃走した。罪状認否で被告は、いずれの起訴事実も認めた。
検察側の冒頭陳述と証拠によると、被告は被害児童が赤いランドセルで下校している姿を見つけると、性欲が高ぶり、マンションまで尾行した。“心の傷”を負ってしまった被害児童らは「学校から1人で帰れなくなった」「思いだすと怖い」と供述しているという。
情状証人として、被告の父親が証言台に立った。家族の目から、被告は普段、普通に見えていたようだ。
弁護人「普段の態度はどうだった?」
父親「男らしい、普通の大学生だった」
弁護人「家族仲は?」
父親「よかった」
一方、検察官は被告と被害者の生活圏が重なる点を問いただした。
検察官「地元なので被害者は、また顔を合わせるのではないかと不安に思っている。その点、話し合っている?」
父親「そのために、家内の姉のところに預けている」
検察官「(被告は)自宅には戻る?」
父親「戻します」
検察官「被害者と顔を合わせないか心配だが、どう考えていますか」
父親「2度としないと思う」
検察官は「2度としないのは当然なんだけどね」といって苦笑いし、再度同じ点を追及した。
父親「被害者にすれば、地元にいることで不安だと思うが、当面、私の方で自宅に住ませて監督します」
被告は、今回の事件で在籍していた大学を退学処分に。また、内定していた企業からも内定取り消しになっている。
弁護人「無職になったが、今後はどうする?」
被告「早く社会に出て、人のため、社会のためになるように就職したい」
弁護人「勾留(こうりゅう)中、勉強していたことは?」
被告「ファイナンシャルプランナーと中小企業診断士の勉強です」
起訴された2件以外に、同種の犯行をしていないことを被告は強調した。
弁護人「2件でやめたのはなぜ?」
被告「大学3年だったので、自分の将来をボロボロにしたくなかった。被害者のことを考えると、できなくなった」
弁護人「2件とも被害届が出ていると知っていた?」
被告「はい。(警視庁)葛飾警察署の不審者情報に載っていたので」
家族や大学、被害者などに迷惑をかけることを考えることなく、犯行に及んだ点を、裁判官は問いただした。
裁判官「振り返って、なぜそこまで深く考えなかった?」
被告「今までの人生では、わりと自分がやろうと思ったことができていたし、スポーツも勉強も人並み以上にできたので、先を見越して考えなかった。そこがいけなかった」
裁判官「目先のことしか考えていなかった?」
被告「そうです」
検察側は「小学校高学年を、性の対象と考える屈折した性格を持っている」として、懲役1年6月を求刑した。
ところで、被告が少女を襲おうと考えたのには、あるきっかけがあったようだ。弁護人は最終弁論で、次のように語った。
「(被告は)ネットのわいせつ情報をみて、模倣したいと思った」
具体的なホームページの名前などは挙げられなかったが、困ったわいせつ情報が、ネット上に流されていることは、どうやら間違いなさそうだ。
公判は結審し、そのまま判決の言い渡しに移った。懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。(末崎光喜)
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