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米リーマン:破産法申請 負債総額は米史上最大64兆円

15日、経営破たんが決まり、米ニューヨークのリーマン・ブラザーズ本社から個人の荷物を詰めた段ボールを運び出す社員たち=AP
15日、経営破たんが決まり、米ニューヨークのリーマン・ブラザーズ本社から個人の荷物を詰めた段ボールを運び出す社員たち=AP

 【ワシントン斉藤信宏】深刻な経営難に陥っていた米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を裁判所に申請、経営破綻(はたん)した。米メディアによると、負債総額は6130億ドル(約64兆3600億円)で米史上最大。一方、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は同日、米証券大手メリルリンチを500億ドル(5兆2500億円)相当の株式交換で買収すると発表した。事実上の救済合併となる。巨額損失を抱える米保険最大手AIGは増資交渉が難航、株価が急落している。

 昨年8月から深刻化した低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題は、ついに米国を代表する老舗の大手証券の経営破綻に発展した。今年3月のJPモルガン・チェースによるベア・スターンズ救済以来、わずか半年間で米証券大手3社が再編される。米金融業界では連鎖破綻の可能性が高まっており、戦後最悪の金融危機に直面している。

 リーマンは、8月末までに140億ドルを超すサブプライム関連損失を計上し、2四半期連続で大幅赤字に陥っていた。増資交渉を進めていた韓国産業銀行との交渉が不調に終わったことを機に、9日以降の4日間で株価が80%下落。12日夜から米金融当局と大手金融機関の代表が、バンカメや英金融大手バークレイズなどによる買収を軸に救済策について協議したが合意に至らず、破産法申請に追い込まれた。

 一方、先週1週間で株価が38%超も下落した米証券3位のメリルリンチは、当初はリーマンの買収を検討していたバンカメに救済合併されることになった。買収完了後のバンカメの顧客預かり資産は、2.5兆ドル(約260兆円)と、シティグループを抜き米金融最大手となる。

 バンカメのルイス最高経営責任者(CEO)は「統合による相乗効果で、企業価値がさらに向上する」と合併の意義を強調した。両社によると、合併交渉は13日から始まり、2日間で決着した。

 買収発表を受け、メリルの株価は、ほぼ横ばいを保ったが、バンカメの株価は同21%安の26.55ドルとなった。メリル買収に伴う先行きの不透明感が投資家に不安を与えたものと見られる。

 また、株価が急落している米保険最大手AIGは、100億ドル(約1兆500億円)規模の増資計画、リストラ策に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)への400億ドルのつなぎ融資申請などを公表した。しかし、15日の株価の終値は前週末終値比61%安の4.76ドルまで暴落、深刻な経営危機に陥っている。

 【ことば】リーマン・ブラザーズ 1850年にリーマン3兄弟が創業。経営危機に陥った1984年にアメリカン・エキスプレスに身売りし、その後、社名が何度も変更され、93年に現在の社名に戻った。米証券4位で、本社はニューヨーク。東京、ロンドンなど二十数カ国で展開し、従業員数は約2万5000人。08年6~8月期決算は、サブプライム問題に伴う評価損など78億ドル(約8400億円)を計上し、2四半期連続の赤字になった。

 メリルリンチ 1914年創業で、米証券業界第3位。本社はニューヨーク。従業員数は約6万人。サブプライムローン問題関連などで、08年4~6月期までに、計419億5000万ドル(約4兆4470億円)の損失を計上し、経営不振に陥った。98年に自主廃業した旧山一証券の社員、店舗を引き継いで日本市場に本格参入したが、業績が伸び悩み、日本での個人向け分野からは事実上撤退した。

 バンク・オブ・アメリカ 1784年創業。地方銀行との合併を繰り返して拡大し、全米に6100超の支店を展開し、個人向け取引網では全米最大級の規模を持つ。従業員約21万人。本社は米ノースカロライナ州シャーロット。今年7月には経営難に陥っていた住宅金融大手カントリーワイド・フィナンシャルの買収を完了した。08年4~6月期決算の純利益は前年同期比40.8%減の34億1000万ドル。

毎日新聞 2008年9月16日 11時03分(最終更新 9月16日 13時19分)

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