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危険運転致死傷罪

 酒酔いなど危険な運転で人を死傷させた場合に適用される。東名高速で1999年、飲酒運転のトラックに追突されて車が炎上、女児2人が死亡した事故などを契機に交通犯罪の厳罰化への機運が高まり、2001年12月に施行された。  ただ、(1)飲酒などの影響で正常な運転が困難な状態(2)制御困難な高速で走行していた−などを認識していた「故意」が構成要件で、適用のハードルは高いとされる。3児死亡事故の裁判で検察側は、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)と道交法違反罪との併合で懲役25年を求刑したが、福岡地裁は「過失」である業務上過失致死傷罪(同5年)などを予備的に訴因に追加する命令を出し判決でも同罪を適用した。

3児死亡事故 今林被告終始うつむく 福岡高裁初公判 顔色青白く

2008年9月4日掲載)

 福岡高裁で3日開かれた、飲酒運転による三児死亡事故の控訴審初公判。一審福岡地裁で懲役7年6月を言い渡された今林大(ふとし)被告(24)は今年1月の判決以来、8カ月ぶりに法廷に立った。約一時間の公判中、終始うつむき加減で、静かに陳述を聞いていた。
 
 一審判決時と同様、黒いスーツにネクタイ姿の今林被告は、入廷直後に傍聴席に向かって深く一礼。顔色は青白く、緊張したような面持ちで被告席に座った。公判では検察、弁護側の双方が控訴趣意書を陳述。弁護側は冒頭、「処罰感情を優先させ、適用法令の変更をあおるような言論は、人民裁判の愚を繰り返すことになる」と強調して報道を批判したが、今林被告は視線を下げ、手元のファイルを見つめたまま。時折、ファイルにペンでメモを取る以外は体を動かすこともなかった。
 一方、3児の両親、大上哲央(あきお)さん(35)とかおりさん(31)夫妻の姿は法廷になかった。公判後、代理人の羽田野節夫弁護士は両親の近況について「心無い誹謗(ひぼう)中傷を受け、心を痛めている」と説明。被告弁護人が大上さんの居眠り運転を再び主張した点を「心外。反論したいが今のところは裁判の成り行きをみたい」と話した。また、1審判決後に今林被告から夫妻に謝罪の申し入れがあったが、拒否した事実を明らかにした。

 ●飲酒事故遺族らも傍聴
 三児死亡事故の控訴審の初公判には、全国で飲酒運転撲滅を訴える、事故の犠牲者の遺族など約10人も駆け付けた。
 閉廷後、危険運転致死傷罪新設の契機のひとつとなった飲酒運転のトラック事故で二児を亡くした井上保孝さん(58)、郁美さん(39)夫妻=千葉市=は「この事故で危険運転致死傷罪が適用されなければ、悪質なドライバーは『自分の飲酒でも適用されない』と感じるだろう。今回の判断は、今後の裁判に大きな影響を与えると注視している」と語気を強めた。
 この日、法廷に姿を見せなかった大上哲央(あきお)さん、かおりさん夫妻について、2003年に次男を亡くした佐藤悦子さん(57)=大分県国東市=は「遺族にとって、裁判を傍聴するのは精神的にきつい。周囲の人は心配りをしてほしい」と思いやった。
 その後、遺族らは福岡市東区の妙徳寺を訪問。三児を供養するために建てられた「3人地蔵」に花束とお菓子を供え、静かに手を合わせた。

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