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学力テスト:知事主導に市町村波紋 成績公表巡り

 全国学力テストの市町村別成績を公表すべきだ、と主張する一部の知事の動きが波紋を広げている。急先鋒の橋下徹・大阪府知事は、2年連続で低迷した府の成績に「なんだこのザマは」と激怒、一時は公表したかどうかで予算に差をつけることまで明言した。開示を要請された市町村教委の中には、今週にも公表を決断する教委が出る可能性もある。

 小中学校の4分類で34~45位だった大阪府では、橋下知事が今月1日、「市町村別に結果公表すれば、どこの市町村教委が仕事をしていないかわかる」と述べ、公表論議が一気に高まった。

 知事に押された府教委は10日、各市町村教委の教育長らとの会議で公表を要請した。市町村教委からは「公表で何を期待するのか」「知事の真意を尋ねたい」などの反発の声が上がる一方、「府教委に背中を押された」と公表に前向きの姿勢の教委も。田尻町教委は19日にも公表の是非を決めるという。

 小学生が2年連続トップだった秋田県の寺田典城知事は「活用は県民の利益につながる。市町村教委が公表しないのなら、知事の責任で公表したい」と、自主的な公表を促す強気の発言に出た。さらに「(山村の)東成瀬村が中学でトップだった」と漏らす一幕も。同じ考えを持つ根岸均教育長らも、11日から市町村教委に説得行脚を始め、今月中に全25自治体を回る。しかし、「点数や順位ばかりが重視される」(湯沢市教委)と、市町村側には公表に慎重な意見が根強い。

 県情報公開審議会が市町村別と学校別成績の開示を答申した鳥取県でも、平井伸治知事が開示を求め、「積極的な市町村にはモデル的に予算をつける」とも発言した。

 文部科学省は競争過熱を警戒し、都道府県による市町村の結果公表を実施要領で禁じている。一方、市町村や学校は公表を許されており、全市町村が公表すれば自治体ランキングができてしまう。しかし、ほぼ全小中学校が平均正答率を学校のホームページで公表する宇都宮市などを除き、公表派は少数だ。

 「切磋琢磨(せっさたくま)はあっていい」と寛容な姿勢を見せていた鈴木恒夫文科相は最近になって懸念を表明。「不適切な競争激化が進むと調査の意義が失われる」「(補助金で差をつけることは)あってはならない」と述べた。

 一方で「知事たちの気持ちは分かる」とも発言。文科省には公表が進めば学力改善につながるとの考えもあり当面は静観の構えだ。

毎日新聞 2008年9月13日 19時32分(最終更新 9月13日 20時48分)

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