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中国:粉ミルク汚染 乳幼児430人が腎臓結石、1人死亡

 【北京・浦松丈二】中国衛生省は13日、大手乳製品メーカー「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)が製造した粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、同製品を摂取した乳幼児に腎臓結石などの健康被害が生じているとして、同社に生産停止を命じたと発表した。また河北省当局者は同日、粉ミルクの原料の牛乳にメラミンを混入させた疑いで警察が容疑者19人を拘束したことを明らかにした。

 ◇化合物混入、19人拘束

 中国では粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石となるケースが相次ぎ、これまでに国内各地から報告のあった患者数は432人にのぼる。報道によると、甘粛省で乳児1人が死亡したほか、北京、上海両市や江蘇、山東、安徽、湖南各省などで発症が確認された。いずれも三鹿集団の製品だった可能性が高い。

 同社でメラミン混入の疑いがあるのは今年3月から8月5日までに製造された粉ミルクで、約700トンが市場に流通しているという。北京の日本大使館によると、同社製の粉ミルクは日本には輸出されていない。

 同社がある石家荘市政府は「粉ミルクの原料の牛乳を買い取る過程で、不法分子が利益を上げるため牛乳を水で薄め、メラミンを添加した可能性がある」と説明。一般的に食品のたんぱく質含有量は窒素の測定値を基に計算される。メラミンには窒素が多く含まれており、牛乳を水で薄めたことをごまかすため、メラミン混入でたんぱく質含有量を多く見せかけようとしたと考えられる。

 一方、同社は8月上旬までには混入に気付いていたとみられるが、インターネット上などで「北京五輪開幕(8月8日)直前だったため隠ぺいしたのではないか」と公表遅れに批判が高まっている。

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 ■ことば

 ◇メラミン

 木工製品の表面材の接着や食器の製造などに利用される合成樹脂の主要原料。体内に摂取すると腎臓障害を引き起こす。07年にはカナダのペットフード会社が原料として輸入した中国産小麦に混入し、米国で同社製品を食べた犬や猫4000匹以上が死んだ。

毎日新聞 2008年9月14日 東京朝刊

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