大阪市交通局が9日、07年度交通事業の決算を発表、地下鉄は225億円の黒字、バスは15億円の赤字だった。地下鉄の経営状況は優良だが、ガソリン価格高騰で車から公共交通機関への乗換えを積極的に進めているとはいえないし、バス部門も乗客減を食い止める施策を更に工夫し、実施すべきだ。
ドル箱路線の御堂筋線
大阪市の交通事業で2007年度決算見込みとして、地下鉄は約225億円の黒字、市バスは約15億円の赤字だったことは前回も報告したが
(民営化必要なし)、9日、市交通局は詳細な決算を発表した。ほぼ決算見込み通りの数字だった。地下鉄、バスの路線別収支も明らかにしており、普段、利用している路線の収支状況が分かる。
交通局は、こうしたデータを元に赤字路線の改善に向けたキメ細かい経営施策を立てるべきではないだろうか。利用客を増やす努力が足りないように見える。
先ず簡単に決算概要を紹介する。地下鉄の収益は1,727億円で前年度比3.2%の増、費用は約1,500億円で支払い利息などを引いて約225億円の利益が出た。バスの収益は約229億円で前年度比0.7%減、費用は約244億円で約15億円の赤字だ。地下鉄は06年に開業した今里筋線の減価償却費や支払い利息の負担があったが、乗客増でカバーできた。バスは乗客減とともに、市の一般会計からの補助金減少も響いた。
地下鉄路線別では収支が明確に出た。「ドル箱」の御堂筋線は1日平均約119万人を運び、約351億円の黒字をはじき出した。車両には常に人があふれており、梅田、難波という2大ターミナルを結ぶ虎の子の路線だ。2番目に多いのは谷町線で1日約48万人を輸送した。だが、黒字は約52億円で優良だが、御堂筋線の4分の1でいかに御堂筋線が利益を上げているかが鮮明になった。以下、輸送人員では堺筋線(同31万人)、中央線(同29万人)で堺筋線は赤字、中央線が黒字。地下鉄8路線のうち3路線が黒字だった。バス路線は全105系統ある中で黒字は28系統だけだった。
大阪市営地下鉄は全国的に見ても優良な経営状況だが、ガソリン価格高騰による公共交通利用促進の波に乗り切れていないのではないか。7月、交通局にガソリン価格高騰によりマイカーから地下鉄への乗り換え状況が見られるか聞いたところ、「地下鉄の毎月の1日平均乗車人員を暫定税率失効中と暫定税率復活後について前年同月比と比較しても、現在のところガソリン価格の乱高下の影響が明確に表れているとは言えない結果となっている」との回答だった。私は、車から公共交通に乗り換えを促進する呼びかけを駅で見かけたことはなく、こういう時こそ公共交通の利用を促がすべきではないだろうか。
市バスの収支改善策としては業務の効率化や、広告付バスシェルターなどの設置などで収支改善を図っているが、乗客減を食い止める有効な手立ては見つかっていないようだ。バスについても、全路線での1回限りの乗り継ぎが出来るほか、バス→地下鉄の連続利用などで割引料金が適用されるなどのメリットをもっとアピールすべきだ。
ICカードの「PiTaPa」の利用促進にはかなり積極的だが、割引サービスも強調すれば車からの乗り換え利用をもっと促進できるはずだ。キメ細かい営業努力に欠けており、改善の余地は無数にある。
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大阪市交通局
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