大阪市は9日、地下鉄や水道など公営、準公営の8企業会計の07年度決算を発表した。8会計を合わせると約308億円の単年度黒字を計上。しかし、6会計が抱える累積赤字は計1711億円、借金にあたる企業債残高も6会計で1兆568億円に上った。一般会計からの補助も5会計で678億円となっているが、いずれも前年度より改善した。
単年度で赤字だったのは、バス(15億400万円)▽市民病院(4億5000万円)▽中央卸売市場(14億5100万円)と、前年度は黒字だった港営事業(5億5800万円)の4会計。
黒字は、地下鉄(225億4100万円)▽水道(73億3300万円)▽下水道(46億7800万円)と、前年度は赤字だった工業用水道(2億2500万円)の4会計。
累積赤字が最も多いのは約556億円のバスで12年連続の赤字。地下鉄は465億円。市民病院は388億円で、産科などの医師が減った影響で患者数が減少しており、不良債務も123億円に上る。
中央卸売市場は271億円だったが、15年度には単年度黒字になる見込みという。【田中龍士】
大阪市が発表した07年度企業会計決算で、市民らの足となる市バスが08年度決算時に再建計画の策定が必要な経営健全化団体となる見通しとなった。影響が大きいだけに、早急な抜本策が求められることになる。
財政健全化法は、公営企業会計ごとの営業収益に対する不良債務の割合を見る指標として「資金不足比率」を算定するよう規定。健全化基準20%に対し、市バスは29・8%で経営状態の悪さが改めて浮き彫りになった。
市によると、08年度決算で経営健全化団体になると、国などに経営健全化計画を提出しなければならない。国が計画を妥当でないと判断した場合、路線削減の勧告を受けたり、起債発行を制限されてバス車両の購入が困難になることもあるという。
07年度は135路線のうち、107路線(79・3%)が赤字。うち、コミュニティー路線として短距離を走る小型の「赤バス」は30路線すべてが赤字だ。
市は対応策について、経営状態が比較的安定している市営地下鉄事業会計からの財政支援や路線の見直しなど9月市議会の議論をふまえて考えていきたいとしている。【田中龍士】
毎日新聞 2008年9月10日 地方版