施設2階の窓から格子越しに外をのぞく入所者=9日午前11時20分、京都府京丹波町中台、高木友絵撮影
京都府京丹波町のフリースクールで9日、経営者らによる入所者への傷害容疑事件が発覚した。「豊かな自然で心の回復」とうたった施設で何が起きたのか。静かな山村に驚きが走った。
寺境内にある丹波ナチュラルスクールには9日午前7時ごろ、府警の捜査員らが家宅捜索に入った。午前11時40分以降、入所者とみられる若い男女12人が順次、捜査員に連れられ、車で現場を離れた。
同スクールの関係者らによると、入所者の少女への傷害容疑で逮捕された江波戸聖烈容疑者(60)は、約20年前に寺の境内を借りてスクールを開設。現在は18〜35歳の男女計十数人が入所している。入所者はふだん田植えや稲刈りなどの農作業をし、格子付きの窓で「脱走」を防いでいたという。この関係者は「逃げる子どもがいたのは事実。逃げた先で悪いことをすることもあるので、格子をはめていたのではないか」と話した。
スクールのホームページでは、キャンパスと称する寺の境内や建物、庭園の写真を紹介。「野外での農作業(中略)など、人情豊かな山里で子供達が生きがいを探求していけるスクール」とアピールしていた。
近くの女性によると、数年前、府外に住む塾生の母親から電話で「毎月十数万円も支払っているのに、一体どんな暮らしをしているのかわからない」と相談を受けたことがあるという。
寺のある中台地区の区長(66)は「代表者が入所者を殴っているという話は耳にしたことがある」と話した。
寺の住職は「寺とは全然関係ないことだ。寺の一部を貸しているだけで、何をしているのか分からない。迷惑な話だ」と話している。