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質量の謎に迫る 超大型加速器、10日始動

2008年9月9日13時59分

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写真日本も開発・実験に参加する粒子検出器ATLAS。高さは25メートル、奥行きが44メートルある。中央下の人の頭上付近で陽子が衝突する=CERN提供

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 【ジュネーブ=勝田敏彦】生まれたばかりの宇宙の状態を地上に再現し、「物質に質量があるのはなぜか」など現代物理学に残された謎の解明が期待される世界最強・最大の粒子加速器が10日、ジュネーブ郊外で始動する。約5千億円かけて建設されたもので、170億円近くを拠出した日本からも約100人の研究者が参加している。

 この装置は大型ハドロン衝突型加速器(LHC)と呼ばれ、欧州合同原子核研究機関(CERN(セルン))が運営する。スイス・フランス国境をまたぐ1周27キロの地下トンネルのリングに世界最大級の超伝導電磁石約1700台を並べ、陽子の集団をほぼ光速まで加速して正面衝突させる。

 衝突のエネルギーは現在世界最強の加速器である米国のテバトロンの7倍で、宇宙誕生時の大爆発ビッグバンから1兆分の1秒後の超高温・超高圧状態を再現する。

 現代素粒子物理学の「標準理論」では、ビッグバン後、物質に質量を与えたというヒッグス粒子の存在が予言されており、発見が期待される。

 また宇宙の質量の約2割を占めるといわれる謎の暗黒物質の候補「超対称性粒子」や、私たちが住む宇宙が4次元(時間も次元と考えると5次元)以上である証拠が見つかる可能性がある。いずれもノーベル賞級の成果となる。

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