事件・事故・裁判

　フリースクール入所者の少女に暴力をふるってけがをさせたとして、京都府警捜査１課と南丹署は９日、同府京丹波町の「丹波ナチュラルスクール」経営者、江波戸聖烈（えばとせいれつ）（６０）と責任者の森下美津枝（５５）の両容疑者を傷害容疑で逮捕、施設の家宅捜索を始めた。スクール側が保護者から入所費用として１人当たり数百万円を受け取っていたとの情報がある一方で、入所者の居室に外鍵を３重にかけるなど出入りを制限していた疑いがあり、府警は施設の全容解明を進める。

　調べでは、江波戸容疑者らは８月３日、スクール内で、兵庫県内の中学生の少女（１４）に殴るけるの暴行を加え、顔などに全治１７日間のけがをさせた疑い。少女は自力で施設から逃走。保護した同署が他の入所者数人に事情を聴いたところ、いずれも「暴力を振るわれた」と話しているという。

　スクールは丹波地方の山間部で、寺院の境内にある。プレハブの事務所２階に男女別の居室があり、ともに外から３重の鍵が掛けられ、室内からは外せないようになっていたという。

　ホームページなどによると、スクールは引きこもりの若者らの就業支援などを目的としており、江波戸容疑者が家族らと共に運営。「２０年の実績」があるとうたっている。

　関係者によると、現在は１０代の若者を中心に十数人が入所しているとみられる。保護者は入所時におおむね２００万～３５０万円を支払っていたが、金額はまちまちで多い人は約７００万円を支払っていたという。【珍田礼一郎、細谷拓海】