赤ちゃんポスト　父母が外国人の例も　検証会議中間報告　「相談体制充実を」

2008年9月9日（火）10:30

　熊本県は８日、熊本市の慈恵病院が開設し、親が育てられない新生児を預かる「赤ちゃんポスト」（こうのとりのゆりかご）の課題を話し合う検証会議の中間報告書を発表。これまでに親が判明した１０件の中に、１０代の母親がいたことや、父母が外国人のケースがあったことなどが分かった。報告書は、国に「全国の児童家庭相談体制の充実」を求めている。

　検証会議は「ゆりかご」の社会的課題を中期的に検証するもので、医師や学者、弁護士などの専門家７人で構成、昨年５月の運用開始から今年３月末までの利用状況などをまとめた。

　中間報告書によると、既に公表されている期間中の利用件数（１７件）のうち、親の住所が明らかになったのは１０件。預けた母親は１０代が１割、２０代が３割、３０代と４０代が計６割。既婚は６割、ひとり親が４割で、未婚はゼロ。両親がともに外国人の場合もあった。出産場所は医療機関が７割、自宅や車内で１人で出産した事例が３割。さらに、預けた子どもの９割に「きょうだい」がいて乳児院で生活しているケースや、ゆりかごに預ける前に親が居住地の児童相談所に相談した事例が複数あった。

　検証会議は、来年秋をめどに最終報告をまとめる。柏女（かしわめ）霊峰座長（淑徳大教授）は「家庭のギリギリの状況が浮き彫りになった。議論を進めるために、背景を公表した。親の相談を受ける体制に問題点はなかったか、徹底的に研究すべきだ」と話している。

＝2008/09/09付西日本新聞朝刊＝