「ミシュラン」に読ませたい【星付きレストラン ほうんとうの味とサービス】

PROFILE

友里征耶

ともさとゆうや●辛口レストラン評論家。有名グルメ評論家にありがちな、レストラン店主との馴れ合いによる店の宣伝や、味覚音痴の記者によるグルメ批評に日頃から疑問を感じ、趣味の食べ歩きが高じて、独自の評価を発表するようになる。徹底した覆面・自腹取材スタイルで、主に一流店を厳しく斬りまくり、歯に衣を着せぬ辛口批評で定評を集める。一方で、料理人との論争や事件が勃発することもしばしば。現在、『日刊ゲンダイ』でコラムを執筆中のほか、『週刊現代』など多くのメディアにたびたび登場。著書に『シェフ、板長を斬る 悪口雑言集』などがある。公式ブログ『友里征耶の行っていい店、わるい店

友里征耶の格付けの基準

★★★
高価格でも黙って一回はお試しあれ。CP(コストパフォーマンス)関係なく、そのジャンルの最高レベルの料理が経験できます。

★★☆
CPがよく季節ごとに訪れたい店。もしくは、料理、サービス、ワインなどいずれかのレベルが高い店。

★☆☆
話のタネに一回、もしくはご近所だったら訪問可の店

☆☆☆
わざわざ行く必要なし。

友里征耶の評価の特徴

「性格の悪い料理人の店に旨いものなし」、「多店舗展開会社の店にCPが良い

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  1. ランベリー(南青山)★
  2. 菊乃井(赤坂)★★
  3. オーグードゥジュール ヌーヴェルエール(丸の内)★
  4. あら皮(新橋)★
  5. トゥエンティ ワン(西新宿)★★
  6. 重よし(原宿)★
  7. 麻布 幸村(麻布) ★
  8. レ セゾン(日比谷)★
  9. 懐石 一文字(神楽坂) ★★
  10. 鮨 水谷(銀座)★★★
  11. 六本木与太呂(六本木)★
  12. シェ・トモ(白金) ★
  13. 醍醐(麻布) ★★
  14. 寿司幸本店(銀座)★
  15. レストラン カンテサンス(白金台)★★★
  16. 厲家菜(六本木) ★★
  17. エメ・ヴィベール(麹町) ★★
  18. 海味(南青山) ★
  19. レストラン・ナルカミ(銀座) ★
  20. ドン・ナチュール(銀座) ★
  21. 鮨 かねさか(銀座) ★★
  22. まき村(大森) ★
  23. 中国飯店 富麗華(東麻布) ★
  24. ピアット スズキ(麻布十番) ★
  25. 小十(銀座) ★★★
  26. サンパウ(日本橋) ★★
  27. とうふ屋 うかい(芝公園) ★
  28. ベージュ 東京(銀座) ★
  29. けやき坂(六本木) ★
  30. 翁(恵比寿) ★
  31. 石かわ(神楽坂) ★★
  32. メゾン・ド・ウメモト 上海(西麻布) ★
  33. ル・シズィエム・サンス(銀座) ★
  34. さわ田(銀座) ★★
  35. アロマフレスカ(南麻布) ★
  36. 万歴龍呼堂(東麻布) ★
  37. ロオジエ(銀座) ★★★
  38. 竹葉亭 木挽町本店(銀座)★
  39. 森本XEX(六本木)★
  40. 銀座 青空(銀座)★
  41. 臼杵ふぐ 山田屋(西麻布)★★
  42. かんだ(六本木)★★★
  43. 小笠原伯爵邸(新宿)★
  44. シェ・イノ(京橋)★
  45. 龍吟(六本木)★★
  46. ピエール・ガニェール ア 東京(南青山)★★
  47. 竹やぶ(六本木)★
  48. レストラン ひらまつ(広尾)★
  49. ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション(六本木)★★
  50. 田はら(西麻布)★
  51. つきじ やまもと(築地)★★
  52. 味満ん(六本木)★
  53. すし匠 齋藤(赤坂)★
  54. リストランテASO(代官山)★★
  55. すきやばし 次郎(銀座)★★★
  56. リストランテ 濱崎(南青山)★
  57. シェ松尾(松濤)★
  58. 和幸(目白)★★
  59. 銀座うかい亭(銀座)★
  60. キュイジーヌ[S] ミッシェル トロワグロ(新宿)★★
  61. やま祢(銀座)★
  62. クチーナ・ヒラタ(麻布十番)★
  63. と村(虎ノ門)★
  64. 久兵衛(銀座)★
  65. ル・マンジュ・トゥー(神楽坂)★★
  66. 菱沼(六本木)★★
  67. ジョエル・ロブション(恵比寿)★★★

SPECIAL COLUMN

昨年、日本上陸を果たし一大旋風を巻き起こした『ミシュラン』。
“ミシュランブーム”に振り回されたグルメ界を
辛口レストラン評論家・友里征耶が一喝!
覆面・自腹取材で、星付きレストランにホンモノの評価を下す。

毎週月・木更新

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フランス料理
ランベリー
(南青山)

ミシュランの格付け ★☆☆
友里征耶の格付け ☆☆☆
ランベリー


「オストラル」からのスペシャリテも
受け継がれ、ワインも意外に安い。
アラカルトが充実すれば2つ星の実力。

東京に「真の京料理」を紹介したいとその崇高な考えを披露してオープンしてきた「菊乃井」の主人・村田吉弘氏。しかし、デパ地下だけではなくネットショッピングに勤(いそ)しみ、TVはじめマスコミに露出し続けて店宣伝に明け暮れるこの料理人の口上をそのまま信じて良いのでしょうか。

これが本当の「京料理」なのか、久々の訪問で再確認させていただきました。

2万1000円コース(最高値)を予約、当日は超満席ではなかったですが、相変わらず盛況でありました。

まずは紫蘇(しそ)酒からスタート。続く青梅白ワイン煮は白ワインのジュレが甘すぎ。

八寸は鱧(はも)寿司、サフラン生姜(甘すぎ)、鱧の子落雁(らくがん)、川海老、甘鯛水玉胡瓜(きゅうり)などアイテム豊富でありますが、どれも出来合いでデパ地下物に毛が生えたようなレベルです。手の込んだものが見当たらない単なる造り置きでありました。

向付けは白瓜をくりぬいたものに盛ってくるなどパフォーマンスが鼻につきます。明石の天然鯛は妙に味(脂)が濃く、シマアジは養殖物にしか思えなかった。シマアジにつけるよう言われた味濃いポン酢ジュレは、変な脂分を隠すためなのか。鱧の焼き霜造りはまったく普通レベルのものでした。
煮物の豚角煮、中猪口(なかぢょく)のトウモロコシのソルベに疑問を持ちながら、その後出てきた鮎の塩焼きは焦げすぎでありました。

焼く前に威勢のよい生きた鮎を見せるパフォーマンスがあるのですが、それをそのまま焼いているかはわかりません。焼かれる鮎は別のものかも。勿論香りもなく凡庸な味でした。

酢の物として出てきたトマトのすり流し、ガスパチョみたいでこれが京料理かと思うもの。
そして強肴もだめ押しです。七宝蒸しと称する一品、鮑(あわび)、フカヒレ、スッポン、干し貝柱、冬瓜(とうがん)、椎茸、クコの実、松の実、生姜を煮込んだようで、まるで中国料理みたい。貝柱の味が強すぎて、一回しか経験がありませんが中国料理の最高級スープ「仏跳牆(フォティオチャン)」を思い出しました。
スタッフもこれは「京料理」ではなく「創作料理」と言っておりましたから驚きです。

締めのご飯は鱧。留め椀が枝豆のすり流しというのもひねりすぎではないか。赤出汁で充分と考えます。
最後の甘口は、生八つ橋のアイスにオレンジの蜂蜜のアイスでありました。

これが「真の京料理」というのか。干し貝柱を使うなどただの奇を衒った「創作料理」とどこが違うのか。同じ創作料理でも、「龍吟」や「小十」(創作色は薄いが)と比べると食材のクオリティや手間のかけ具合が劣ります。余ったご飯の持ち帰りで折り詰め代として200円請求する「せこさ」も「京料理の持ち味」というのでしょうか。

「必要以上に商売熱心な主人の店に旨いものなし」、ビールに竹酒頼んで1人2万円台後半はイマイチ納得できません。
「と村」や「京味」など東京のトップレベルの京料理店より食後感の落ちる本場京都の東京支店。この店より東京でもっと美味しい「京料理店」があることを逆説的に確認したい人以外、訪問する必要はなでいでしょう。

友里の個別評価

凡例

味  ○
サービス  △
内装・居心地  △
CP(コストパフォーマンス)   △

DATA

【店名】 ランベリー
【住所】 港区南青山4-17-33 B1
【予算】 昼コース4410円~、夜コース1万2600円~(税込み、サ別)
【HP】 http://www.lembellir.com/index.html

次回の更新は9月11日(木)です

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