第67回
フランス料理
ランベリー
(南青山)
「オストラル」からのスペシャリテも
受け継がれ、ワインも意外に安い。
アラカルトが充実すれば2つ星の実力。
東京に「真の京料理」を紹介したいとその崇高な考えを披露してオープンしてきた「菊乃井」の主人・村田吉弘氏。しかし、デパ地下だけではなくネットショッピングに勤(いそ)しみ、TVはじめマスコミに露出し続けて店宣伝に明け暮れるこの料理人の口上をそのまま信じて良いのでしょうか。
これが本当の「京料理」なのか、久々の訪問で再確認させていただきました。
2万1000円コース(最高値)を予約、当日は超満席ではなかったですが、相変わらず盛況でありました。
まずは紫蘇(しそ)酒からスタート。続く青梅白ワイン煮は白ワインのジュレが甘すぎ。
八寸は鱧(はも)寿司、サフラン生姜(甘すぎ)、鱧の子落雁(らくがん)、川海老、甘鯛水玉胡瓜(きゅうり)などアイテム豊富でありますが、どれも出来合いでデパ地下物に毛が生えたようなレベルです。手の込んだものが見当たらない単なる造り置きでありました。
向付けは白瓜をくりぬいたものに盛ってくるなどパフォーマンスが鼻につきます。明石の天然鯛は妙に味(脂)が濃く、シマアジは養殖物にしか思えなかった。シマアジにつけるよう言われた味濃いポン酢ジュレは、変な脂分を隠すためなのか。鱧の焼き霜造りはまったく普通レベルのものでした。
煮物の豚角煮、中猪口(なかぢょく)のトウモロコシのソルベに疑問を持ちながら、その後出てきた鮎の塩焼きは焦げすぎでありました。
焼く前に威勢のよい生きた鮎を見せるパフォーマンスがあるのですが、それをそのまま焼いているかはわかりません。焼かれる鮎は別のものかも。勿論香りもなく凡庸な味でした。
酢の物として出てきたトマトのすり流し、ガスパチョみたいでこれが京料理かと思うもの。
そして強肴もだめ押しです。七宝蒸しと称する一品、鮑(あわび)、フカヒレ、スッポン、干し貝柱、冬瓜(とうがん)、椎茸、クコの実、松の実、生姜を煮込んだようで、まるで中国料理みたい。貝柱の味が強すぎて、一回しか経験がありませんが中国料理の最高級スープ「仏跳牆(フォティオチャン)」を思い出しました。
スタッフもこれは「京料理」ではなく「創作料理」と言っておりましたから驚きです。
締めのご飯は鱧。留め椀が枝豆のすり流しというのもひねりすぎではないか。赤出汁で充分と考えます。
最後の甘口は、生八つ橋のアイスにオレンジの蜂蜜のアイスでありました。
これが「真の京料理」というのか。干し貝柱を使うなどただの奇を衒った「創作料理」とどこが違うのか。同じ創作料理でも、「龍吟」や「小十」(創作色は薄いが)と比べると食材のクオリティや手間のかけ具合が劣ります。余ったご飯の持ち帰りで折り詰め代として200円請求する「せこさ」も「京料理の持ち味」というのでしょうか。
「必要以上に商売熱心な主人の店に旨いものなし」、ビールに竹酒頼んで1人2万円台後半はイマイチ納得できません。
「と村」や「京味」など東京のトップレベルの京料理店より食後感の落ちる本場京都の東京支店。この店より東京でもっと美味しい「京料理店」があることを逆説的に確認したい人以外、訪問する必要はなでいでしょう。
友里の個別評価
味 | |
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サービス | |
内装・居心地 | |
CP(コストパフォーマンス) |
DATA
【店名】 | ランベリー |
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【住所】 | 港区南青山4-17-33 B1 |
【予算】 | 昼コース4410円~、夜コース1万2600円~(税込み、サ別) | 【HP】 | http://www.lembellir.com/index.html |
次回の更新は9月11日(木)です
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