大阪府の橋下徹知事は6日、廃止方針を打ち出している府立国際児童文学館(吹田市)の館内の様子を調べるため、職員に内緒で2日間、ビデオ撮影したことを明らかにした。橋下知事は「何の努力の形跡もうかがわれない」と映像を見た感想を述べた。「隠し撮り」について「民間なら当たり前のリサーチ」と話したが、その手法は議論を呼びそうだ。
橋下知事の私設秘書が8月、撮影した。知事は「(来館者を増やす)取り組みは一切感じられなかった」と酷評。子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして、「実際は漫画図書館」と不満を表した。映像は府議会などでの公表を検討する。
文学館の北田彰常務理事は「びっくりした。いつ誰が来ても、きちんと対応している」と困惑気味。「7月の来館者は昨年の4割増、8月は5割増になった」と反論し「『漫画ばかり』と言われるが、70万点のうち14%に過ぎない」と話した。
府は財政再建案で、文学館を来年度中に廃止する方針を示している。橋下知事は「行政は予算を付けても、執行の管理ができていない。本当にやっているのかチェックするのが僕のやり方」と話し、廃止を検討する他の施設についても「隠し撮り」させる方針を示した。【長谷川豊、田中博子】
毎日新聞 2008年9月7日 東京朝刊