お金に執着するヨウコ

テーマ:ケイのケース 2006-10-06 09:56:00

上司が電話を受ける。


「手紙受け取って頂きましたか?」

「ええ」

「主人は生活費を入れてくれないんです。主人に何か言って下さいました?」

「いえ、これはご夫婦の問題なので、二人で解決して下さい」

「それができないから、手紙を出したんですよ」苛立ちながら言うヨウコ。

「夫婦の問題を会社に持ち込まれても困るんですが」と、極常識的なことを言う上司。

「そんなこと言ったって、社員の家族の面倒も見るのが大きい会社の勤めなんじゃないですか!」と、無茶なことを言う。

「とにかく、家庭の問題には会社は口出ししませんので、夫婦で話し合って下さい」と、上司は電話を切った。


電話を切ると、ケイの方へ目線を向けた。

視線を感じたケイが、上司を見る。

上司は目配せをし、廊下に出るよう促した。


喫煙スペースでタバコを燻らせる。

「何かあったんですか?」

「今、カミさんから私に電話があったよ」

「そうなんですか?それはすみません」

「私は構わないよ。社員の家族面倒まで見るのが大きい会社の勤めじゃないですかだと。どうしてそんな発想になるのかねぇ」

「そんなこと言いましたか」

「ところで、生活費は入れてるよね」

「もちろん。給料をかなり入れてます」

「しかし、聞きしに勝る女だね。生活費もらってないって言うんだから」

「そんなこと言いましたか」

「ありゃ、簡単に別れないだろうなぁ」

「それを考えると憂鬱になりますよ」

「夫婦のことに会社は口出ししないって言ったから、もう電話がかかることもないだろう。まっ、私のことは気にするな」

「ありがとうございます」


また、この様なことがないようにケイは、給料のほとんどをヨウコが管理する口座に振り込み、この年の夏のボーナスは100万振り込んだ。お金さえ入れていれば文句はないだろうと。

しかし「ユウにお金が要る」と、ケイの携帯に頻繁に電話がかかった。この頃には住宅ローンは完済し、他にローンはなく十分に生活できるだけのお金は振り込んでいるのに、それでも飽き足らず金の要求をするのだった。


家を出る前に、通帳を見せるように要求するとケイの通帳には100万ほどの金しかなかった。

そんなはずはないと思い「他にあるだろう!」と言うと「これだけしかない」と、ヨウコは言うのだった。

ウソだと思うケイ。


自分の生活が成り立たないぐらいに送金していたので、ケイは、また借金する羽目になった。でないと生活できないのだ。

毎月の送金額を見ると、ケイの生活が成り立たないなど一目瞭然である。ヨウコはケイの年収を把握しているのもかかわらず、金を要求するのだ。一体ケイにどうやって生活しろというのか?借金をするしかないことなど簡単に推測できる。


電話がかかっても金の要求だけで、ケイを労わる言葉や生活の心配をする言葉など一切ない。帰ってきての言葉もなかった。

住所を知っているのにも拘らず、下着の一枚も送ってくることはなかった。


正しく、亭主元気で留守がいいというところだろう。

ヨウコは、お金さえ送金されれば良かったのだ。


そして、この状態で2年の年月が流れた。。

ついに、家を出たケイ

テーマ:ケイのケース 2006-10-05 09:48:05

「本当に法事なの?」と言われ、言いようのない怒りがケイの中を突き抜けた。

なんなんだ!こいつは!


そんなヨウコに我慢ならず、ついに家を出る決心を固めた


今住んでいる家から電車で1時間ほどかかる、昔、伯父が住んでいた町にワンルームマンションを探すのだった。
その日の内に、日当たりの良い部屋が見つかりすぐに契約を交わした。

姉に電話で事情を話して、保証人になってもらった。


布団やテレビなど最低限、必要な物を買い部屋に運び込んだ。

数ヶ月は空家賃を払い、出て行くタイミングを見計らった。
母の法事が良い時期だと思った。


ついに、その日が訪れ、取りあえずボストンバッグに必要な物を詰めた。

法事が終ってから、ヨウコの住む家には帰らず、そのまま借りた部屋に帰った。

一人部屋に居るとほっとするのと同時に、ヨウコとの出会いから今までのことが思い出され涙が流れた。


両親に申し訳ない気持ちが溢れ嗚咽するケイだった。

ヨウコには家にはもう戻らないと電話を入れた。
怒りながら喚くヨウコの声が聞こえたが、それを無視して電話を切った。

「もういい。うんざりだ」

次の日、ヨウコはユウを伴い会社に来た。
ユウは「帰って来て」と懇願したが、ヨウコからその言葉は出なかった。
ユウに対しては「大学を卒業するまではちゃんと面倒を看るから」と、二人を帰した。

ケイは家を出る前に用意周到に給料の振込口座を変更した。
故に、ヨウコが管理しているケイの口座に給料が振り込まれることはない。
しかし、ヨウコに何をされるか分らない恐さから、かなりの額をヨウコが管理する口座に振り込むのだった。

そして、一月が過ぎた頃、ヨウコから手紙が届いた。
ケイは彼女に住所を伝えてはいない。どうして、住所が分ったのか?それは、ヨウコが日記を盗み読みしてたからである。

ケイの素直な思いと日々の出来事を綴った日記は、常にケイの部屋に無造作に置いてあった。

ケイは真実を書いているのだから、見るなら見れば良いと思ったいた。その日記に、ケイが借りたマンションの住所を書いていたのだ。


ヨウコからの手紙には反省の言葉もなく、強い口調で「帰ってきなさい!」と、書かれていた。


それだけでは終わらずに、ヨウコはケイの上司にまで手紙を送ったのだ。

その手紙には、ケイの悪口と自分の辛さが延々と書かれていた。


ヨウコにとってはケイの立場などどうでも良いのである。

ただ自分の腹立ちを誰かにぶつけたいだけなのだろう。


普通の上下関係なら、ケイにとってはマイナスになり得るかもしれない。だが、その上司はケイを非常に可愛がってくれており、よく飲みに連れて行ってくれる人物である。すでにケイはその上司には、ヨウコがどんな女か話していたので痛くも痒くもなかった。

上司はケイの両親の葬儀にも参列してくれており、妻のヨウコがそこにいなかったのも知っている。彼女が如何に非常識な人間か分かっていて「あんな女とは早く別れろ」と、ケイは言われていた。


ヨウコが手紙を出したことで、ヨウコの汚点が増しただけであった。

手紙が届いたことを上司に聞いたケイはそれを見もせず「破り捨てて下さい」と、言った。

「だから、早く別れた方がいいって言ってるだろ?」

「息子が大学を卒業したら行動します」

「そうか」


手紙の返事がないことに業を煮やしたヨウコは、次はその上司に電話をかけるのであった……。

重なる不幸

テーマ:ケイのケース 2006-10-05 09:35:00

モラハラの被害者になったことのない人は、なぜケイがこんな仕打ちを受けていながら家を出ないか?離婚に向けての行動を起こさないのか?不思議に思うことだろう。

私も元は被害者のなでよく分るが、そう簡単に逃れられるものではないのだ。まず、加害者は自分の異常さに気付いていない。その上、モラハラをしてるという自覚がないのだ。これが恐ろしく、またタチの悪いところである。

自覚がないので、自分が正しいと信じて疑わない。悪いのは全て他者のせいとしか考えない。

持って生まれた性質?というのか、被害者に異様さを感じさせないように巧みに被害者を貶めていく。
自分の言い分に賛同しないと、被害者を馬鹿にし最低の人間のように言いダメージを与える。

そんなことが繰り返されると、いつの日か被害者は自分が悪いかもしれないと加害者に従ってしまうことも多々ある。

ただ、ケイも私も加害者の異常さに気付くとこができたので、逃げ出すことができ今があるのだ。
気付かずに、あのまま支配しつつけられたらと思うと背筋が寒くなる。
世の中にはモラハラの被害者でありながら、それに気付くとこもなく、配偶者の愛情故のことだと思い込んでいる人もいると言う……。

葬儀を済ませ家に戻ったケイにヨウコから慰める言葉もなかった。

ケイの父が他界する少し前に、ケイを幼い頃から可愛がってくれた叔父も亡くなっている。この時もヨウコは知らぬ顔であった。
悪いことは重なるもので、ケイの悲しみが癒えないうちにまた不幸が襲ったのだ。


そして、父が亡くなって間もなく母が入院した。
見舞に駆けつけるケイ。母が長くは生きれらないと思ったケイは忙しい中、何度か帰省し病院に顔を出した。
だが、やはりヨウコは一度も顔を出さない。ケイの悲しみなど慮ることもない。

母の病状が思わしくなくなった時にも病院に顔を出し、外せない仕事があったケイはとんぼ返りで帰った。だが、その日の夜に母は危篤状態になり、またすぐに帰省したが間に合わず、母を看取ることはできなかった。
帰らなければ良かったと後悔するケイ。

孫のユウを祖父や祖母の最後を見送る事もさせようとしないヨウコ。
この時も、ヨウコは通夜、葬儀に列席しなかった。

父が亡くなって半年後、後を追うように母も旅立ってしまった。

悲しみくれるケイ。


人の悲しみや痛みには異様なまでに鈍感なヨウコ。

まるで、人が悲しむことなどないかのように。

しかし、自分の痛みや悲しみは異様なまでに敏感で、ウソを交えてまでどれだけ自分が傷付いたか言い募るのだ。

この頃、すでに息子のユウは大学に入学し二十歳を迎えようとしていた。
それが、ケイの心を動かした。この時を待ち望んでいたのだ。

翌年、叔父の法事で帰省した。もちろんケイ一人でだ。
帰ってきたケイにヨウコは「本当に法事だったの」と、疑いの目を向けたのだ。

父の葬儀

テーマ:ケイのケース 2006-10-04 13:38:40

借りえば返さなくてはいけない。その為にまた借りる。それを繰り返すケイ。

ユウが中学3年になっても、ヨウコは息子と一緒に寝るのをやめなかった。
見かねたケイは「もう、一緒に寝るのはやめたら」とメモ書きをして、二人が眠る部屋の前のヨウコのスリッパに入れた。

ヨウコから「あなたにこんなこと言われて嬉しかったです。ユウが中2の時もう少し一緒に寝てと言うので、今まで一緒に寝ていました」と、メモ書きの裏に書いた物をケイの部屋に入れた。

これは、真実は分らない。この時期、男になりかけたユウが暴れたことを考えると、
ヨウコが勝手にユウと寝ていただけで、息子は嫌だったのかも知れない。それを、正当化するための言い訳としか取れない。
事実、一人で寝るようになったユウは暴れることもなくなった。

そして、ヨウコは息子と寝るのをやめたのだ。でも、ケイと同じ部屋で寝るわけではない。空いている部屋で一人寝るのだった。

しかし、部屋がないならまだしも、空いた部屋もあるのに中3にもなる息子と二人で同じ部屋で寝るとは異常である。

ケイの話を聞き日記を読んでいると、こんな人はいないだろ?と、思うことが度々出てくる。

このとこを彼女は裁判の時の反論で異常なことを認めず開き直っているのだ。それは、後ほど……。


ケイは家族とは名ばかりの家など、もうどうでもいいと思っていた。

ユウが高校生になり、ケイが飲み歩く毎日を過ごしている最中、実家の姉から一本の電話がかかった。

「お父さんが倒れたて入院したの」と。


電話を受けて、ケイはすぐに田舎に向かった。しかし、ヨウコが一緒に行く訳ではない。流産した時にケイの姉が言った言葉を悪意に取り未だに許していないのだ。


帰郷したケイはこの時やっと息子が居ることを家族に告げた。

それを聞いた家族は、もろ手を上げて喜んだ。

この時にはまだ緊迫した状態ではなかったので見舞いを済ますと家に帰った。


借金を重ねてきたケイは借り尽くしついにお金が回らなくなった。

家庭を崩壊させるべく家も抵当に入れた。


そして、そのことをヨウコに打ち明けた。

「なんてことしてくれたのよ!!あなたがした借金なんだから自分で何とかしなさい!田舎の親にでも言いなさいよ!」と、激怒するヨウコ。


自分が小遣いを渡さなかったからこうなったかもしれない、と自分の行いを省みることもないから反省などしない。

全てはケイが悪いのだ。


そう言われ仕方なくケイは父親に無心したのだ。

父親は「お前にやるのではない。孫のために出すのだ」と、言って350万出してくれた。


その後、父親は何度か入退院を繰り返し危篤に陥った。

駆けつけるケイ。その時もヨウコは行こうともしなかった。ヨウコの母親もそれを促しもしなかった。

情けなく悔しく恥ずかしい思いが一杯になり、帰郷を急ぐケイの瞳から涙が流れた。


「ヤツとは夫婦じゃない!」と。


そして、ケイの父はあの世へと旅立った。


孫の顔を一度も見ることもなく。。


葬儀にもヨウコは列席することはなかった。

モラハラなヨウコの理論では、自分が悪いのではなく自分を怒らせた姉が悪いのだ。

ケイや父親が可哀想ではなくて、あんなこと言われた自分が可哀想なのだ。


葬儀を終えて帰宅してもヨウコはケイの悲しみを共にすることはなかった……。



名ばかりの家族

テーマ:ケイのケース 2006-10-04 12:04:24

ケイは元々モラハラの被害者になりやすい性格である。

愛情が豊かで依存心の強さ罪悪感を持ちやすく、周囲の期待に応えて動いてしまう。

ヨウコは本能的にそれを察知し、ケイを標的にしたのだろう。

加害者は、被害者が自分の意に添うように自発的に動くように仕向けていくのだ。

ケイは人から承認されることを喜びにしており、元々寛大で思いやりがあるので加害者ヨウコの多少の我が侭には目をつぶるのである。それが仕向けられていることとも知らずに。


自分の思いどうりならないと「ユウを会社に連れて行きなさい!ユウの面倒は見ない!」と言われ、そんなことは不可能であるのに、どこかヨウコに洗脳され本当にユウを連れて行かされそうな錯覚に陥り、ヨウコの言うことを聞くしかないケイ。

せめてユウが成人すればとそればかりを考える。


誰の為の家なのか?どうして、結婚したのか?苦悩するケイ。
一人独房のような部屋で、毎日朝を迎える。

この時期、仕事が多忙を極めていたのがケイの唯一の救いであった。


その事を良い事に、母親と二人、ますますケイを蔑ろにし好き勝手に振舞うヨウコ。

けれど、勝手気ままに振舞うヨウコに我慢できず、離婚の言葉を切り出すと「あなただけが幸せになるのなんて許さない!離婚は絶対にしない!」と、跳ねつけられそれ以上の話には発展しなかった。
ケイは発展さすことが恐ろしいことのようにも思うのであった。


相変わらず、小遣いは全く渡されないケイ。
月に何度か、自宅から2時間くらいかかる事務所で泊りの休日出勤をしなければならなかった。その時でさえ、缶コーヒー代も渡さないのだ。

ヨウコは嫌がるケイをよそに、往復3千円ほどの電車賃を使って、わざわざ着替えと弁当を持って事務所にやって来た。愛情からであれば嬉しい話だが、単にケイを監視する為の行動なので、ケイに取ってこれほど迷惑な話はない。

このことを何度も「やめて欲しい」と、ヨウコに言ったがやめようとはしなかった。


そんな日々が続き、ケイは日記を付けるのをやめた。

数年間、日記はすっぽりと抜けている。


ユウが6年生になった頃、また日記を付け始めた。ヨウコはユウと相変わらず一緒の部屋で寝るのをやめようとはしなかった。それを咎めると、何倍にもなって返ってくるのでどうでもいいと思っていたケイは、見て見ぬ振りをするのだった。


責任感の強いケイは息子のユウが成人するまでは父としての責任を果そうと、それだけを考えていた。

そして、毎日締め付けられ束縛されるケイは次第に飲み歩くようになった。最初の頃は上司がご馳走してくれていたが、いつまでもそういう訳にいかない。家に帰るのが嫌だが飲みに行くには金がない。消費者金融に足を向けた。そこでは簡単にお金を借りることができた。

外に癒しを求めたケイ

テーマ:ケイのケース 2006-09-29 13:31:29

この家はケイの家であって、ケイの家ではないのだ。
姑は自分を誇示するように、家が出来上がったときにはすでに、ケイの表札と同じサイズの表札を門柱に掲げていた。
一緒に生活するようになり、まだ姑の本性を知らずにいたケイは体調を壊した姑に「仕事を辞めれば?」と労わり促した。

姑はすでに夫の遺族年金を貰っており仕事を辞めた。
しかし、家に金を入れることはせず、基本的な生活はケイの稼ぎで賄われていた。
故に、姑は遺族年金が全て小遣いになり、お気楽な生活をしていた。
だが、ケイに感謝の気持など微塵も持たなかった。


それどころか、自分がいるから家が成り立ってるなどと思う傲慢な考えの持ち主だった。

姑はお風呂に入るときに、お湯がバスタブから温泉のように流れていないと嫌だと言い、毎日バスタブからお湯を溢れさせたまま入浴するのだった。ヨウコは母親にそれを咎めもしなかった。その為、大きな家でもないのに水道光熱費は毎月7万を超えていたのだ。ケイは後にこのことを知った。


ヨウコもユウを妊娠前に会社を退職しており、お金を全て握られ二人に好き勝手されて、ケイは趣味を持つことさえ許されず、何の楽しみもなく馬車馬のように働くだけであった。

夫婦は別に寝るようになってからセックスレスと言って良いほど、ヨウコは関係を持とうとしなかった。若いケイの性欲が満たされることはない。ユウが小学生になっても、ヨウコは息子と寝るのをやめなかった。
ケイに取ってなんとも暗い日々が続いた。

ケイが一番自分らしくいられるのは家ではなく会社であった。
会社の仲間と一緒にいる時間が一番楽しい時間だった。

そんな時、ケイは研修で遠方の事務所に行かなくてはいけなくなった。ホテル住まいをし、週末に家に帰った。
そこで、ケイは契約社員でバツ1年上のサヨコと出会った。

一緒に飲んだときに意気投合し、不倫関係になった。
サヨコのマンションは事務所から近く、ケイはそこで寝泊りするようになった。
ケイはサヨコが好きとか愛とかそういう感情はなかった。ただ、性的欲求を満たしたかっただけだった。サヨコもそれでいいと思っていた。

研修を終えても、一年ぐらいそんな関係は続き、仕事だと言ってはケイはサヨコの元に行った。

しかし、こんな関係に終止符が打たれる日がやって来る。

ケイは出張に、サヨコを連れて行った。
その時の二人分のチケットの領収書を自分の部屋に無造作に置いていた。
それを、掃除をする時にヨウコに見られてしまったのだ。

それを見たヨウコはすぐに会社に電話をし、ケイに「話があるから今日はどこにも寄らないで帰って来て」と言って電話を切った。

まさか、ばれた?

そう言われケイは仕事を終えたその足で家に帰った。

家では怒り狂ったヨウコが待ち受けていた。

「これは何なのよー!」泣き叫ぶヨウコ。

取り合えず素直に謝るケイ。

「もう二度と会わないって電話しなさいよ!」と、言われケイは仕方なくヨウコの目の前でサヨコに別れを告げた。

怒りの収まらないヨウコ。

「裁判するからね!離婚よ!」

ヨウコはまだ若いケイの性欲など考えることなどなかった。それを少しでも満たしてあげようともしなかった。
普通の妻なら自分も至らないとこがあったと反省するのだろうが、自分には悪い所は一つもないと思っているヨウコが反省するはずもなかった。

不倫が良いとは言わないが、こんな状態ではケイが他の女性に走るのも仕方ないことだと思う。ケイに聞いたが、結婚してから、数えられるぐらいしか肉体関係がなかったと言うのだ。

このことは後に、ケイの言ったとおりだろうなぁと想像できることがある。


この時に、別れていればケイはまだ良かったのかもしれない。
しかし、許されないことをしたと言う罪悪感がケイを苛み、謝るしかなかったのだ。

しぶしぶながらヨウコはケイを許した。
ヨウコの叔父が「今別れて子供を抱えて苦労するより、勤めてる会社が確りしているので将来的なことを考えると今別れるのは損だ。許す方が得だ」と言われたこともあった。

それから、ヨウコは弁当を作り一切ケイにお金を渡さなくなった。
元々一日千円では何もできないのだから、そんな必要などない。
この頃には、ケイはかなりの年収を得ていたが、預貯金や家計などヨウコは一切ケイに話そうとしなかった。不信感が募りケイが通帳を見せるように言うと「ほら、これだけしかないでしょ?」と、赤字のページを見せるのであった。

そんなはずはないと思い、問い詰めると鬼のような形相で食って掛かり、ケイの一言に何倍もの言葉が返っきた。もめるのがイヤでそのことに触れないようにするのだが、我慢できず問うと、同じことが繰り返された。

人を締め付ければ締め付けるほど、人は違う方向に行くのをヨウコは知らない。


そして、そんなヨウコの行動がケイに家庭を壊させる方向に向かわせるのだった……。


息子を引き離されるケイ。

テーマ:ケイのケース 2006-09-29 11:33:22

ヨウコに、通帳やカードを取り上げられてから年末のボーナスが出た。しかし、何だかんだと、ヨウコは言いケイには一切小遣いを渡さなかった。このことに怒り抗議すると「家族の為なのよ」と、尤もらしく丸め込まれケイはそれを鵜呑みにしてして「しょうがないなぁ」と、納得はしてないが諦めてしまうのであった。

息子のユウが生まれてから、一層口うるさくなるヨウコ。
自分が気に入らないことをケイがすると、息子の躾に悪いと逐一指摘した。

ヨウコは母親とよく言い合いをした。それが原因で母親が家を出ていくと言うことも度々あった。そう言いだすとヨウコは「お母さんに一緒に謝って」と関係のないケイにまで謝らせるのだ。

ケイは仕事の関係で、年に数度海外へ行くことがあった。その度に、ヨウコは自分達を海外に連れて行けと言うのだ。

ある日、ケイに何の相談もなく「〇月〇日に海外へ行く」といわれた。姑がお金を出すというので「まぁいいか?」と思い着いて行った。現地に着いてツアーで観光をしたのだが、たくさんの人が乗っているバスの中で、ヨウコは母親と大きな声で口喧嘩を始めた。あまりにも恥ずかしい光景にケイがそれを止めると、姑は「親子のことに口を出すな!」と言うではないか!姑に対してかなりの不満を抱き我慢していたケイだが、心の中で何かが壊れる音を聞いた。

それ以来、姑とは必要最低限の言葉しか交わさなくなった。

そして、ユウが3歳になる前、ハードな仕事が続き帰宅したケイはユウを抱いてうとうととしてしまった。疲れきっていたのだ。
「ユウの躾に悪い!」と、ヨウコはケイからユウを完全に遠ざけた。ヨウコはユウと二人、別の部屋で寝るようになった。食事さえも一緒にさせてもらえず、ヨウコが盆に食事をのせ運んでくるのだった。ケイは一人部屋に篭るようになった。
この部屋には冷暖房はなくテレビさえなかった。
この部屋から会社に行き、この部屋へ帰って来る日々が続いた。

他者と親密になったことのないモラハラ加害者は、他者と親密になるのを恐れている。本当の自分を知られるのが嫌なのだ。だが、結婚対しては大きな理想を持っているのだ。自分が育った家庭が理想的なものでなければ、余計に理想的な家庭を築こうと理想を当てはめる。それを成し遂げるのは配偶者を支配し思いどうりの人間にしなければならないと脅迫的な考えを持つと思われる。


故にヨウコがケイから息子を引き離したのは「躾云々」ではない。ケイと同じ部屋でいるのはこれが限界だったのだろう。同じ部屋にいなくても支配はできるのだから。


そんな中「誰の為の家なんだ!」と悔しさが込み上げるケイであった。


ある日、ケイの母親が親戚の結婚式で、ケイの住む町を訪れた。
近くにいるのでケイの家に寄りたいと電話がかかった。だが、姑もヨウコもそれを拒んだ。
仕方なくケイは近くの喫茶店で母親とあった。母にはユウが生まれたことを知らせていない。そのことが喉元まで出かかったが「絶対にユウがいることは母親に言うな!」と、姑とヨウコに釘を刺されており、言うことができなかった。


この頃、ケイは会社で大事なでロジェクトをかかえていた。ヨウコは自分が気に入らないことがあるとケイのスーツや仕事用のバッグを隠し仕事に行くケイの邪魔をする事が度々あった。こんなことをして「パジャマのままで会社行け」と言うのだ。そんなこと出来るわけもない。ヨウコのお陰で会社に行けないことがあった。会社に行かないとみんなに迷惑がかかる。姑は何を思ったのか?「仕事を辞めさすよ」と言う始末である。ケイに仕事を辞めさせてどうやって食べようというのか?

つまり、ヨウコと姑にまた何をされるか?分らない恐さからもユウが生まれていることは言えなかったのだ。
ケイの母が帰った後、その喫茶店のママに「お宅の旦那さん、おばあさんとうちにきましたよ」と言われ「恥ずかしい!」と、ケイに怒りをぶつけるヨウコだった。年老いた夫の母が遠くから出てきて、一度は息子のうちに行きたいという思いを跳ね付けておきながら、自分達が恥ずかしいことをしてるとは思わない母娘であった。

悪いのは常に自分たちではないのだ……。


支配

テーマ:ケイのケース 2006-09-28 13:36:37

結婚した時に、ケイは自分の全預金を出して家を買った。なのに、ヨウコは結婚指輪が欲しいといい、そのお金を自分で立替ケイの小遣いから毎月差っ引くということをしたのだ。


このように、まだ、23歳と若いケイにはヨウコの言いなりであった。

交流を経つ実家の両親や兄弟の悲しみなど計り知ることはできなかった。


後に、ケイが流産直後の電話のことを姉に聞いたところ「若いから、子供はまたできるわよ。気を落とさないでね」と、言っただけであった。だがケイが聞いたのは「年下のケイを騙して子供をつくろうなんて大それたこと考えるな!ちゃんと働いて親に仕送りをしなさい」などと言われたと、ヨウコは話していたのだ。


これも、モラハラの典型で「被害者を身内や友人との縁を切らせる」ということだったのだろう。

その上、モラハラ加害者は、極端な考え方で、敵味方で人を判断する。義姉はヨウコにとって邪魔者以外の何物でもなく敵だったのだ。

ケイが「実家との付き合いはしない」と言ったとき、ヨウコは「これで誰も邪魔する物はいない。自分の思いどうりにできる」と密かにほくそえんだことだろう。


着実にケイを支配して行くヨウコ。。


会社から帰ってケイはいつものように最後に風呂に入り、掃除をして上がり、バスタオルで拭いてるところに、ヨウコが掃除の点検に来た。拭いているケイに向かって「だから、バスタオルは汗を拭くもんじゃないって言ってるでしょ!!」と、食って掛かってきた。そして、自分のバスタオルを持ってきて「そんな拭き方をするから、あなたのタオルは臭いのよ!そんな拭きかたしないから私のは臭わないわよ!」と、臭いを比べさせるのだった。しかし、ヨウコの手にしてるのは洗い立ての物だった。何故かしら?タオル類を毎日洗おうとしないヨウコ。特にケイのバスタオルは週に一度ぐらいしか洗っていなかった。


ケイは自分達のモラルを押し付けてくる、ヨウコと姑にうんざりしていた。

ケイが何を言っても、ケイが間違っているとされるのだ。

口が立ち雄弁なヨウコは、言葉巧みにケイを手玉に取るのだった。


流産から半年後、ヨウコは第二子を身ごもった。


何事もなく予定日近くに、無事、男の子が生まれたユウと名づけられた。


孫が生まれてから、姑はますます口を出すようになった。

夫婦仲も良いとは言えず、ケイはどこか投げやりになるのだった。

常に自分は蚊帳の外なのだ。帰宅しても自宅は安らげる場所ではなかった。


家に帰るのが苦痛になっていったケイは、仕事帰りに上司に飲みに連れて行ってもらい酒を覚えた。

ケイの帰宅が12時を過ぎると、ヨウコはチェーンをかけてケイを締め出した。そのため、ケイは会社に戻り事務所で夜を明かすことも多々あった。


新婚当初、小遣いは月に3万程度渡されていたが、若いケイは後先考えずに覚えたてのパチンコに使ってしまった。

ヨウコはそれに怒り、それが、2,3月続くとケイに小遣いを渡さなくなった。その上ケイ口座の通帳、印鑑、カードを取り上げ、ケイのお金に関する自由を奪った。


それ以来、一日に昼食代込みで千円渡すのだった。

これは、ボーナスが出ようが給料が上がろうが変わらなかった。


その千円さえも渡されなくなる日が来るのだ……。



巧みにケイを実家から遠ざけるヨウコ

テーマ:ケイのケース 2006-09-28 12:40:07

「友達が結婚して、旦那さんの田舎の家の名義に友達もしてもらったんだって」

新居に入居して間もなく、奇妙な話を始めるヨウコ。

何が言いたいか分からないケイ。

「そう」としか答える他ない。

「でね、私もあなたの田舎の家の名義に加えて欲しいの」と、言い出した。

「そんなことする必要ないよ」

「加えてよ!」

「そんなこと言うなんておかしいよ!」

「あの人はしてもらったのに」

「そんなの関係ないじゃないか」

得体の知れない恐ろしさを感じて、ケイは頑としてそれを突っぱねた。


この時、ヨウコはまだ一度もケイの実家に行ったことはなかった。

行ったこともない田舎の家の名義に加えろなんておかしなことを言う女だ!と、不信感を抱くケイ。


大体、普通、夫の田舎の家の名義に妻を加えるなど聞いたことがない。余程の資産家なら税金対策でそんなこともあるだろうが。


その後も、繰り返しこの話をするヨウコだった。しかし、ケイは取り合わなかった。


ヨウコはケイの嫁になったという自覚はなく、何かにつけ母親に付従った。ケイの言うことに耳を貸すことはなかった。


結婚式をしていないので、顔見せでケイの田舎で小規模な披露宴をすることになった。

しかし、姑はそんなことはすることとない。なぜ行かなくてはならないのか!?と拒否し、ヨウコが輪をかけたように母親に従った。

普通の母親なら、娘が嫌がったとしたら「あなたは○○家の嫁になったんだから」とでも言うのだろうが、姑はケイを養子にでもらったような気になっていたのだろう。

姑もヨウコもケイの立場など考えることなどしない。自分達が良いと思うことだけが良くて、嫌と思うことは全て嫌なのだ。

二人は田舎育ちのケイを見下していた。方言が抜け切らないケイに「方言を直せ」と、言うのだ。


ケイはそれを何とか説得して田舎に連れて帰った。ケイは両親が高齢で授かった子だった。両親はかなり年老いており、父親は入退院を繰り返し、ヨウコを連れて帰った時には家で寝込んでいた。

実家は長男が嫁を連れて帰って来たことを祝い、賑やかな宴会が繰り広げられた。ケイの実家は姑やヨウコを精一杯もてなした。だが、そんなことが伝わる母娘ではなかった。二人の態度がそれを物語っていた。


家に帰って間もなく妊娠しているのが分かったのだ。ヨウコはケイの実家からかかってくる電話を嫌がるのだった。とは言っても、実家からの電話は頻繁にかかるわけでもなく、用がなければかかったりしない。たまにかかってくる電話にヨウコは苛立ち地団太を踏んだり、ドンドンと飛び跳ねたりするのだった。まるで、お腹にいる子供を追い出すようにそれは続いた。

ケイが止めると食って掛かり鬼の様な形相で、殴りかかってくるだった。


そして、妊娠中毒症にかかりヨウコは流産してしまうのであった。

ヨウコは流産したのはケイの実家からの電話のせいだ!と決め付けた。

流産したことを知り、ケイの姉から見舞いの電話がかかった。

「若いんだから、また子供はできるよ」との言葉をヨウコは「こんなことを言うなんて!」と悪意に取るのだった。

「お姉さんに酷いことを言われた!」と、仕事から帰ったケイに泣きついた。

流産後のこともあり、まだ、ヨウコに愛情を感じていたケイは姉にどんなことを言ったか?確かめもせず、ヨウコの話をそのまま受け実家との交流を絶った……。



妊娠

テーマ:ケイのケース 2006-09-26 14:12:04

新婚とは程遠い日々を送るケイ。

ヨウコと二人お風呂に入っていると、姑が「いつまで入ってるんだ!」と、早く上がれと急かした。

それ以来二人が一緒に風呂に入ることはなくなった。


風呂から上がり体を拭き汗を拭っていると「バスタオルはそんな風に使う物じゃない」と、ヨウコはおかしなことを言った。

「何が?」訳の分からないケイ。

「バスタオルはポンポンポンと、水分を取る物よ!汗を拭くもんじゃないわよ」と、言うのであった。

「そんなの、どうでもいいじゃないか。洗えば澄むんだから」

「バスタオルは私が言ったように使う物なの!」と、自分には決して間違いはないと信じて疑わないヨウコ。


お風呂上りにバスタオルを使うのに、汗か?湯の水分か?など区別がつかない。

なのに、このように自分の規範(モラル)をケイに押し付けた。


仕事を終え家に帰ると何故か?冷たい空気が流れていた。

ケイにはその理由が分からない。


ヨウコは仕事で疲れ切って帰っているケイに姑の酒の相手をさせるのだった。

本当ともウソともつかない話を延々とする姑。

その話にも疲れ、無意識のうちにコクリコクリと居眠りを始めるケイ。

それを見てすかさず「お母さんが飲もうって言ってるのに!」と、怒り出すヨウコ。


自分の家でありながら、くつろぐことのできないケイだった。


その後、風呂に入るのだが、いつの間にか?姑が常に一番風呂で次がヨウコ、最後にケイが入るという順番が決められていた。

出るときに掃除をするように言いつけられていた。言うとおりにしないと、ヨウコが怒るのでケイは仕方無しに毎日掃除をして風呂から上った。だが、それで終わりではない。ヨウコは掃除が終わった風呂を覗き、毛の一本でも残っていれば鬼の首を取ったように怒り狂うのであった。


風呂上りには、誰もが髪の毛が抜ける。だけど、ヨウコはそれさえ許さないのだ。ケイの髪を拾って「頭をちゃんと洗わないから、抜けるのよ!」と、怒るのだ。ケイにはそんなヨウコを理解できなかった。


寝室では、ケイが求めてもヨウコは滅多に応じず、まだ若いケイの性欲は満たされることはなかった。

しかし、少ない中でもヨウコのお腹には新しいに命が芽生えるのだった。


このことが、また、二人の関係を悪化させて行くのだ……。