この日、ケイは次の調停に向けて弁護士さんと打ち合わせの日だった。
7時過ぎから、三時間弱、話をして店に来た。
カウンターに座って、他にお客さんが居たが、カラオケを歌ってたので話が聞けた。
「どうだった?」
「今日はじっくり話せたよ」
「そうなんだ」
「るみかが作ってくれた、離婚調停に至った理由とか、この間の奴側の反論書が上手くまとまっていたから、最終的な反論書を作りやすかったって、先生が言ってたよ。あなたの気持ちになって作りましたって」
「あれを読んだら誰でもそうなるよ。私もケイちんの気持ちになって作ったんだから」
私は、弁護士さんに対して少し不信感を抱いていた。
依頼した弁護士は紹介してくれた人が言ってたように、優秀な人のようで超多忙な人だったのだ。
多忙な中依頼を受けてくれたというのもあるけど、ケイが仕事を早く終えて事務所に行くとお互いに疲れてて、イマイチ話が進まない様なことをケイが言ってたのでね。
でも、今回は「お待たせしましたが、出来上がりました」と言うことだったようだ。
12時前に店は終わり、ケイと話す。
「今日反論書を見せて貰ったんだけど、順序が前後しているとこがあったから、手直しして月曜にメールしますって、るみかにそのまま送るね」
「うん」
「それが問題なければ、向こうに送りますって。それにはね、協議離婚か?調停離婚に応じるなら、今、奴が持っているものは奪わない。家も土地も差し上げます。もし、応じなければ、離婚訴訟を起こして、共有財産など洗い出し、法に則りきちんとしますって言う様なことが書かれていたよ。幾つか?るみかが書いた効果的と思われる文章を使わせて貰いましたって」
「そう。何か、いよいよって感じだね!」
「向こうの返事次第で次の調停は不調に終わらせて、訴訟しましょうって。楽しみだよ!奴がどう言ってくるのか?」
おぉ~いい感じだ♪
向こうの弁護士はケイ側のことを何も知らない。今のところ、彼女の言い分だけを聞いているので、届いた反論書を見ると驚くに違いない!
全く、言い分が違うのだから。。
それに、ケイ側には嫁の不誠実さを示す証拠が幾つかある。
弁護士は、裁判になるだろうことを想定して、調停ではその証拠は提示しない。それを私は言おうと思っていたけど、弁護士はプロなのでそこまでの必要もなかった(^^ゞ
裁判になれば、勝つ可能性がかなり高いような気がする私であった。
翌日の夕方、シャワーを浴びて出てくると、スカイプが立ち上がっていた。
「先生から、出来上がった反論届いたから送るね」と、ケイ。
すぐに読みたいけど、店に行く用意をしないといけない(ーー;)
「夜帰ってから見るんだよ」と、ケイに釘を刺された。
でも、見たい!
少しだけと、思いながら添付ファイルを開く。。
見てしまったら、少しだけで済む訳がない^^;
どんどんと読み進めて行く。
私が書いた物が、弁護士口調で理路整然と書き換えられていた。
おぉ~その通り!さすが弁護士!プロだなぁ、と、感心する私。
全てが、有無を言わせぬような文体で、読んでいてとても気持ちがいい♪
弁護士さんは、ケイが言っていた様に、ケイの気持ちを全面的に汲んでいる。
姑のことなど、ケイの好意に感謝するどころか、年金を貰っているのに、あたかも収入がなく、ケイに面倒を見ろと言うのはあつかましい。と、いうようなことも書いてくれている。
嫁に対しても、ケイに愛情の欠片も、思いやりもないのに、まだ十分働ける年齢にもかかわらず、働こうともせず、婚費の調停を申し立てたのは、離婚を先送りさせ、ケイから搾り取れるだけ、取りたいとの思いを表す申し立て以外の何物でもない。と、ピシャリと言い切っており、痛快であった。。
しかし、これには、嫁が持っている物を全てあげるとはかかれていなかった。きっと、先のことを考えてこれを入れ込まなかったのだろうをするからだろう。協議離婚するにしても、財産のことは話し合う余地が残される。
婚費は、彼女が健康で働ける状態なのに働こうとしないので、彼女の年齢の平均収入分を婚費から減額されるべきであるとも書かれいた。
先生、あなたは遠山の金さん?シビレますぅ~!
あの、冷酷な彼女を成敗して下さいませ。。
婚費のことは、全て全面的に争うと、書かれている。と、私の言いたいことが、全て織り込まれていた!
かなり長い文章なので、読むのにも時間がかかって遅刻をして店に行った。
でも、気分は晴れやかだ(^_^)v
店に着いて「今から帰って、反論を読みます」と、ケイからメールが届いた。
うぅ~早く帰って話がしたいぞ~と、思うけど仕事をせねば!
お客さんが来てくれても、時間ばかりが気になる私であった。
でも、ちゃんと仕事はした!
そして、閉店時間になり、うちに急いだ……。