さすが弁護士!プロだ!

テーマ:調停 2006-10-16 09:51:23

この日、ケイは次の調停に向けて弁護士さんと打ち合わせの日だった。

7時過ぎから、三時間弱、話をして店に来た。
カウンターに座って、他にお客さんが居たが、カラオケを歌ってたので話が聞けた。

「どうだった?」
「今日はじっくり話せたよ」
「そうなんだ」
「るみかが作ってくれた、離婚調停に至った理由とか、この間の奴側の反論書が上手くまとまっていたから、最終的な反論書を作りやすかったって、先生が言ってたよ。あなたの気持ちになって作りましたって」
「あれを読んだら誰でもそうなるよ。私もケイちんの気持ちになって作ったんだから」

私は、弁護士さんに対して少し不信感を抱いていた。
依頼した弁護士は紹介してくれた人が言ってたように、優秀な人のようで超多忙な人だったのだ。
多忙な中依頼を受けてくれたというのもあるけど、ケイが仕事を早く終えて事務所に行くとお互いに疲れてて、イマイチ話が進まない様なことをケイが言ってたのでね。

でも、今回は「お待たせしましたが、出来上がりました」と言うことだったようだ。

12時前に店は終わり、ケイと話す。
「今日反論書を見せて貰ったんだけど、順序が前後しているとこがあったから、手直しして月曜にメールしますって、るみかにそのまま送るね」
「うん」
「それが問題なければ、向こうに送りますって。それにはね、協議離婚か?調停離婚に応じるなら、今、奴が持っているものは奪わない。家も土地も差し上げます。もし、応じなければ、離婚訴訟を起こして、共有財産など洗い出し、法に則りきちんとしますって言う様なことが書かれていたよ。幾つか?るみかが書いた効果的と思われる文章を使わせて貰いましたって」
「そう。何か、いよいよって感じだね!」
「向こうの返事次第で次の調停は不調に終わらせて、訴訟しましょうって。楽しみだよ!奴がどう言ってくるのか?」

おぉ~いい感じだ♪

向こうの弁護士はケイ側のことを何も知らない。今のところ、彼女の言い分だけを聞いているので、届いた反論書を見ると驚くに違いない!
全く、言い分が違うのだから。。
それに、ケイ側には嫁の不誠実さを示す証拠が幾つかある。
弁護士は、裁判になるだろうことを想定して、調停ではその証拠は提示しない。それを私は言おうと思っていたけど、弁護士はプロなのでそこまでの必要もなかった(^^ゞ

裁判になれば、勝つ可能性がかなり高いような気がする私であった。


翌日の夕方、シャワーを浴びて出てくると、スカイプが立ち上がっていた。
「先生から、出来上がった反論届いたから送るね」と、ケイ。

すぐに読みたいけど、店に行く用意をしないといけない(ーー;)
「夜帰ってから見るんだよ」と、ケイに釘を刺された。

でも、見たい!
少しだけと、思いながら添付ファイルを開く。。
見てしまったら、少しだけで済む訳がない^^;

どんどんと読み進めて行く。
私が書いた物が、弁護士口調で理路整然と書き換えられていた。

おぉ~その通り!さすが弁護士!プロだなぁ、と、感心する私。
全てが、有無を言わせぬような文体で、読んでいてとても気持ちがいい♪

弁護士さんは、ケイが言っていた様に、ケイの気持ちを全面的に汲んでいる。
姑のことなど、ケイの好意に感謝するどころか、年金を貰っているのに、あたかも収入がなく、ケイに面倒を見ろと言うのはあつかましい。と、いうようなことも書いてくれている。

嫁に対しても、ケイに愛情の欠片も、思いやりもないのに、まだ十分働ける年齢にもかかわらず、働こうともせず、婚費の調停を申し立てたのは、離婚を先送りさせ、ケイから搾り取れるだけ、取りたいとの思いを表す申し立て以外の何物でもない。と、ピシャリと言い切っており、痛快であった。。

しかし、これには、嫁が持っている物を全てあげるとはかかれていなかった。きっと、先のことを考えてこれを入れ込まなかったのだろうをするからだろう。協議離婚するにしても、財産のことは話し合う余地が残される。

婚費は、彼女が健康で働ける状態なのに働こうとしないので、彼女の年齢の平均収入分を婚費から減額されるべきであるとも書かれいた。

先生、あなたは遠山の金さん?シビレますぅ~!
あの、冷酷な彼女を成敗して下さいませ。。

婚費のことは、全て全面的に争うと、書かれている。と、私の言いたいことが、全て織り込まれていた!

かなり長い文章なので、読むのにも時間がかかって遅刻をして店に行った。
でも、気分は晴れやかだ(^_^)v

店に着いて「今から帰って、反論を読みます」と、ケイからメールが届いた。
うぅ~早く帰って話がしたいぞ~と、思うけど仕事をせねば!

お客さんが来てくれても、時間ばかりが気になる私であった。
でも、ちゃんと仕事はした!

そして、閉店時間になり、うちに急いだ……。


金銭面だけでケイを餌食に

テーマ:調停 2006-10-15 13:52:12

調停が行われた週の日曜、ケイはアルバムや日記など自分の物を取りに行った。


「弁護士に言われたの?」と、聞く彼女の言葉に「煩い!」の一言を浴びせた。

そして、二度と戻ることのない家に置いていた自分の物を袋に詰め帰って来た。


ケイのアルバムを見る。
中学時代のケイは坊主頭でめっちゃ可愛かった!頭じゃなくて顔だ。
高校生になると、髪を伸ばして一段と可愛くなっていた。
ケイは自分で「ケイは可愛かったんだよ」と、よく言っていたけど、それは本当だった!正しく今で言うジャニーズ系だったのだ。

「モテた?」
「決まってるでしょ!こんなに可愛いんだから」とのことらしい^^;

中、高と優等生で、優等生に贈られるバッチを幾つも持っていた。
成績が良くて優等生で可愛いなら、モテない分けないよね!?

大学に進学したかったみたいだけど、経済的理由で諦めたらしい。
高校を卒業して就職したのだ。その頃、田舎には清いお付き合いの彼女がいた。でも、大阪に出てきて遠距離になって別れた。清いお付き合いって言うのがケイらしくて良い♪

その後、大阪でも彼女ができたんだけど、別れて、21歳の時に嫁と出合ったのだ。心根が優しくて純粋無垢なケイを手玉に取るのは簡単なことだったのだろう。

付き合って二年間、彼女は気の強さや、我が侭さを一切見せなかったと言うのだから、絶対にケイを仕留めようと思っていたに違いない。

純粋って言うのも、時には厄介だ。。

その頃のケイに言ってあげたい。
その女は止めなさいってね。。

でも、これもケイの人生においては、必然だったのかもしれない。
嫁との結婚生活が順調に進んでいれば、私とケイは出会うことなんてなかった。店に来ていたとしても、恋愛関係になどには、きっとなっていなかっただろう?。。


「あのさぁ、向こうのお婆さんは年金貰ってないの?」ふと、思ったことを言ってみた。
「言うの忘れてたけど、税金控除かなんかで年金内容の書類があった気がして探したら出てきてね、年間150万貰ってた」
「150万?それを少しも出さなかったの?」
「そうだよ!」
「家もあるし、ケイが援助しなくてもお婆さん一人だと十分に食べて行ける額だよね?」
「うん。もっと少なくて生活してる人一杯居るよね?」
「そうよ!お婆さんの面倒も見ろみたいなこと書かれていたけど、これでケイが経済的援助する必要がないってことが証明されたじゃない」
「それを先生に渡して来た」

本当に恐ろしい母娘だ!
年金のことなどおくびにも出さないんだから。
ケイの両親は経済的に裕福ではなかった。
ケイは両親に援助をしてあげたかったが、嫁にお金を握られていたので、それさえも出来なかったのだ。

何だかなぁ~。。


それなのに、嫁は自分の母親には、ケイが稼いだお金で車や高価な服を買い与え、好きな物を食べさせ贅沢をさせて来たのだ。

この神経が私には理解できない!
まっ、そんな人だからKケイが離れて行ったんだけどね。

「母親が病気で働けない、みたいなことも書いてたけど、お婆さんの歳から言ったら介護保険が使えるから、ヘルパーさんお願いして病院の送り迎えして貰えばいいし、それだったら、払うお金もしれてるよ。お婆さんの世話で働けないなんて言い訳に過ぎないよ。寝たきりでもないしね」
「そうだね。働く気がないだけだよね」
「ホントだよ!働く気があれば、パートでも探すよ」

はぁ~ぁ~って、感じだ。。
お婆さんも散々ケイに散々嫌な思いさせといて、自分が都合悪くなったからってケイを頼るとは!

この二人の目を覚ます方法はないのだろうか?……。

彼女の主張

テーマ:調停 2006-10-15 13:14:22

ケイは弁護士と会った日の夜、店に寄った。
契約をしてきたのだ。お客さんが引けてから話す。


「どう言ってた?」
「この頃、男性からの離婚したいって言う依頼が多いんだって。これまで断ってきたけど、男性の気持ちは分かるし、これから受けて行こうかなって」
「ふ~ん」
「取り合えずね、離婚に応じるなら、今、彼女が持っている物は全てあげますっていう方向で行きましょうって。それで、向こうが納得しないなら、裁判して、財産も明確にして、きちんとしましょうって。今持っている物を渡せって言ったら、離婚に応じないでしょうって」
「やっぱりね。でも、それで納得する様な人じゃないよね」

「委任状も交わしてきたから、奴と話すことはもうないよ。調停の書類とか、提出している物をコピーして渡して来た。先生ね、今日メガネが壊れちゃって、読めないんだって」
「何それ?」
「調停までに目を通しておきますって」
「そう。あれを読めばケイちんが言ってること納得してくれると思うよ。弁護士さんは、まだ、そこまで詳しく知らないんでしょ?」
「うん。裁判してケイが勝って向こうが上告してきたら別料金になりますって」
「そりゃ、そうでしょうね。でも、良いじゃない!今まで、ごっそり吸い上げられてきたんだから、弁護士に払うのは有意義な使い方だよ。あの人に持って行かれるよりずっといいよ」
「そうだね。婚費のこともあるし、ゆっくりしている場合じゃないので、さっさと進めて行きましょうって」

今週、調停があるので向こうが何を言ってくるのやら?

去年の今頃は、混沌とした中に居た私。
こんなに早く話が進んで行くとは思っていなかった。
ケイと一緒になる日が段々と現実味を帯びてくる。

お金に執着する彼女は、自分の行動で離婚の時期を早めたことになるのだった。

まだ、時間はかかるだろうけど、進んでいるのが少し嬉しい。


調停の数日前、お昼に起きて、PCで遊んでいるとスカイプが立ち上がった。ケイだ!チャットする。
嫁が依頼した弁護士が、家裁に提出した嫁の言い分を、Kの弁護士にFAXで送ってきた。それが、またKにFAXされてきたと言うのだ。

「なんて書いてあるの?」
「ケイだけが悪いんだって」
「何それ?」
「婚費30万って下げてきた」
「まだ、そんなこと言ってるの?」
「うん。一生懸命に家庭を支えてきて、自分には何も非はありませんって」
「何言ってんだろうね?」
「母親が病気なんだって」
「そんなことケイちんには関係ないじゃんね」

全く、何言ってんだ!?って感じだ。ムカつくったらありゃしない(ーー;)
ケイの両親が入退院を繰り返してた時に、見舞いにさえ行ってないのに!
危篤の時も行きもしなかったのだ。

「家にFAXしてよ」
「夜まで待って」と、言われて「分かった」と、答えるしかない私であった。ケイは仕事中なのでチャットと終わらせた。

夜、どんなことが書いてあるのか?気になる私。。
仕事を終えて、一杯飲んできたケイが店に来た。
だが、お客さんがまだいたので見せて貰う訳には行かない。
11時半前に「半で閉めま~す」と、お客さんに告げた。
そして、半になりお客さん達は帰られた。

「見る?」
「うん」と、さっそく読んだ。
ケイは愛人ができて出て行ったことになっていた(ー_ー)!!院に行っている息子君は研究が忙しくて、バイトができない。病気の母親の世話で忙殺されている為、働くことが出来ない。母親は夫婦が円満に暮らせるように、物心共に支えてきた。ケイが有責で、高額所得者なので、婚費30万と言う額は正当な要求である。婚費が減額された為、自らの貯金を切り崩し生活している。と、大まかに言うとこの様なことが書かれていた。

要は、哀れみを誘うことしか書かれていなかったのだ。

「何なの?これ?ムカつくー」
「でしょ?だからFAXしなかったの。先に見ると仕事するのに支障があるんじゃないかな?と、思ってね」
「そうだったの」
「これ見て」と、ここ三ヶ月分が記入されている家計収支表を差し出すケイ。
「どうして学費がここに書かれているよ!?」
「学費は半年に一度なのにね」
「そうだよ!弁護士もバカじゃないの?大学で毎月学費払うようなところまず、ないっちゅうの」
「これも奴に言われるままに打ったんだろうね?」
「でしょうね。こんなの全部覆してやるわよ」


取り合えず、嫁の主張のことは明日話すことにして北に飲みに行った。
二人共、少し酔っていたので、こんな時に話してもイマイチ客観的に見れないのでね。

でも、その苛立ちがあったので、かなり飲んで完全に酔っ払ってしまった。タクシーで帰ったが、店を出てからの記憶がほとんどない^^;

翌日、土曜、Kは会社のスポーツイベントがあった。
でも、朝から雨が降っていたので、中止になって、その場合はバーベキューをすることになっていた。12時半からだったので、11時頃まで寝て出かけて行った。

私は完全に二日酔いであった。
お昼になっても起きられず、ゴロゴロしていた。
それから、彼女からの主張を改めて読んだ。

その反論のベースを作っておこうと思ってPCを立ち上げた。

まず、全面的に母親がバックアップしてきたとあるけど、本当にちゃんと協力していたら、ここまで破綻はしていない!Kが愛人をつくって出て行ったと言うのなら、その証拠は???である。

生活が逼迫しているというのに、衣服費に9万ものお金を使いエアコンを買い替え、息子君の誕生日に3万ものお金を使って外食しているのだ!!只の贅沢としか捉えられない!常識的に考えて、この状況下こんなことをするだろうか?

反論でそのことを入れた。

通学交通費が毎月1万?おかしいと思って、息子君が住んでいる駅に大学の最寄り駅までの学割定期の料金を問い合わせた。
Kに言わせると、嫁は半年定期しか買わないと言うのだ。半年定期で4万強だった。もし、毎日切符を買っているのなら、学割が効かず1万円なんかで済まない。

そして、これもタイプする。

えっと、思って見てみると、自動車税と書かれた項目があった!車は姑しか乗らないと聞いている。それをどうしてケイが払わなければならないのか?姑の入院用品購入、約3万。医療費も書かれている。これもどうしてケイが?養子でもないケイに姑の扶養義務はない。

次に学費は半年毎なので、それがここ数ヶ月の家計費に含まれているのは理解できない。通学交通費も偽っている。自らの貯金と言うのであれば、通帳を提示しそれを証明すべきだ。息子のことは本人と直接話す。

収支表には、領収書が一切、添付されていない。書くだけなら誰でも書ける!

ケイが送金しているお金の他に、三ヶ月で貯金の引き出しが七十数万円となっていた。弁護士費用を合わせると、100万以上を自分の貯金から引き出し使ってることになるのだ……。



胃が痛む私

テーマ:調停 2006-10-15 12:30:11

彼女のやってきたことをケイから見聞きしてきたが、これだけを見てもウソではないことが分かる。

今までの話が、現実の話だったと思い知る私だった。

ケイの涙も止まり、お金の引き出し方の話になった。
「奴はね、生活費を毎日一万円って決めてたんじゃないかなぁ?一万円を使って残りは自分の口座に入れてたんだと思う」
「ざっと、見てみても合計すると毎月35万から40万引き出されてるよね。それが生活費って凄いよね!」

「全部あげるって言ったから、しめしめと思ってるよ」
「それは協議離婚に応じるならって書いてるし、こんなのを見てしまうとそんなことできないでしょ?」
「うん」
「協議離婚であろうと、そうでなくても、彼女の思いとおりにさせたくないでしょ?」
「そうだね」
「離婚に応じたら、応じたで、共有財産の分配で裁判すればいいののよ」
「そうっか」
「弁護士さんと相談して、一番いい方法を考えてもらってね」

何とか、ケイの悔しさを晴らしてあげたい!!


翌日、会社に行くケイを見送って、再度寝る。

お昼前に起きて、銀行から送られて来た一覧表を見る私。

同じ日に、5万、一万、一万と引き出されてたり、また違う日には18万、
1万、次の日には二万と、本当に不可解な引き出し方をしている嫁。

分からん!何がしたいのか?どうして、何度も引き出しているのだろう?
普通、必要な分を一度に引き出すはずだ?
それが、朝の9時、1時過ぎ、夕方と引き出しているのだ。
毎月、同じことをしている。
多分、引き出しては自分の口座にスルーしていたのだろう。

ボーナスの度に100万を引き出しているのを見た時点で胃が痛くなる私!

このお金は何処に行ったんだ?

どうして、ここまでケイをコケに出来るのだろうか?
彼女に、ムカつくのと同時に、ここまで好きさせて来たケイのバカさ加減も腹立たしい。。

あまりにも胃が痛くなってきたので、見るのを止めた。

夜、店が終わって家に帰る。

「お帰り~るみかが熱くなってもしょうがないでしょ」
「あまりにも酷いんだもん!」
「だから、これからきちんとするんでしょ?」
「分かっているけど、感情はそう簡単にコントロールできないよ」
「熱くなるなって、ねっ」
「弁護士に通帳とカード、返却請求して貰いなさいね。一覧表見せて、婚費は送金しようと思ってましたが、銀行から一覧表を取り寄せて見ると、こんな状況なので、婚費も送金したくないって」
「うん」

「大体、彼女にも腹立つけど、ケイちんにも呆れるよ」
「おバケイちん?」
「そうだよ」
「うぅ~~」
「これはね、ケイちんだけのことじゃないんだよ。無念な思いを抱えたまま亡くなったケイちんのご両親、嫌な思いをし続けてきた二人のお姉ちゃん、それから私。みんなの気を晴らさないとね」
「うん」
「ねぇ、神様がこんなケイちんに私を引き合わせてくれたと思わない?」
「そうかもね?」

「嫌々ながらも、ちゃんとしてきたKちんを神様は見てくれてたんだよ。きっとね」
「私と知り合わなければ、Kちんは、ムカつきながらも、何も行動を起こさないで、悔しい思いを抱えたまま、年老いて死んで行ったかも知れないよ」
「そうだね。でも、絶対化けて出る!」
「あはは~そうじゃないと死に切れないね」
「うん」
「時間はかかりそうだけど、すっきりして乾杯したいね」
「そうだね」

木曜にKは弁護士と会う。
そして、来週、やっと次の調停の日だ!

どんな風になって行くのか?分からないが、ベテランで敏腕弁護士さんに依頼するので、安心して良いかも?

そして、ケイは弁護士と会った。
一応の話はしたらしいけど、実際、依頼しないことには、突っ込んだ話はできないようだった。

依頼することを話して、火曜に再度会うことになった。
相談料は、30分、5千円だった。相場だね。
依頼するので、次回、まず50万用意しないといけない。
後は、決着してからの支払いだ。

弁護士は男性からの離婚請求の依頼は、受けないらしいけど、紹介だったため受けてくれたのだ。最後には「何とかなるでしょう」と、言うことだったらしい。

ケイはどうも、嫁が持っている物を請求しようとは思ってないようだ。
何より離婚することができれば良いと思っている。
嫁にムカついたり、許せないと思うことは多々あるし、そんな奴にケイが懸命に働いて得た物を渡すと言うのは、忌々しく癪に障るだが、それで彼女が離婚に応じるなら、それも良いかな?とも思う。

ケイと話していて、私も元夫と離婚する時、何もいらないし要求しないから、判を押して欲しいと思ったんだった!と、当時のことを思い出した。きっと、ケイも同じ気持ちなのだろう。判を押してさえ貰えればね。
私は二年、判を押して貰えなかったのだ。

「るみかと、一から作って行くんだから」と、ケイ。
その言葉に改めて、そうだよね、と、思う私であった。
お金のことで彼女と戦って、長引かせても精神的に疲れるだけの様な気もする。でも、これはあくまでも彼女がが離婚に応じるならの話だ!


暴かれた彼女のウソ

テーマ:調停 2006-10-14 12:01:11

ケイが会社にが行ってからいつもの様に寝ていると、11時前に部屋のチャイムが鳴った。
煩いなぁ~と思いながら、覗くと郵便屋さんだった。
印鑑を持って、郵便物を受け取る。

A4の茶封筒でかなり厚みがある。
何これ?と、思って差出人を見ると銀行からであった。

ついに、取引一覧表が届いたのだ!

早く開けて見てみたいと思ったが、そんなことは出来ない!
ケイと二人じっくりと、お金の流れを見よう。

彼女がどんなお金の引き出し方をしていたのか?これを見れば一目瞭然だろう。


夜、仕事を終えてケイと飲みに行って、帰ったのは明け方近くだった。


お昼の1時過ぎにバリバリと言う音で、ぼんやりと目が覚めた。
銀行から届いた、封筒を開けているのだろうと思う私。。
でも、また眠りの中に。。

「るみか、起きて。起きてケイの相手して」
その言い方が、可愛くて起きる私^^;
ケイの物の言い回しが私は好き!この人はどうしてこんな言い方を出来るのだろう?と、いつも感心する。いつまで寝ているんだ!なんて言われるとムカつくけど、ケイのように言われると、起きてあげなきゃって誰でも思うだろう。

「これ見て」と、一覧表を差し出すK。
10年前の物から見る私。
「何これ?ガス代が3万5千円?水道も同じぐらいじゃん!ガスと水道だけで7万以上かかるって、どんな邸宅なの?4人で住んでたんでしょ?」
「そうだよ」

考えられますか?4人家族で電気代を入れると、光熱費だけで10万近くかかる家って?!

サプライズ!!

この口座を彼女は財布代わりにしていたようだけど、前の日に6万引き出して、次の日の午前中に一万引き出して、午後にまた一万引き出していたり、また、次の日に2万出してたりを繰り返ししている。何とも不可解な引き出し方だ!

「彼女は浪費家だったの?」
「ううん。食べる物も大した物出てくる訳じゃないし、物を買ってる風でもなかったよ」
「この引き出し方は、どう考えてもおかしいね?ケイちんは通帳を見せてもらったことなかったの?」
「出て行く前に見せるように言ったら、定期もこの口座でしているから、普通預金がなくなると、マイナスになって定期から引かれるから、そのマイナスのページだけを見せられて、ほらお金ないでしょ?って言われたら言いようがなかった。でも、任せていてこれって凄いねとは言ったけどね」
「ほら、ボーナスがすっかり抜かれてるよね?」
「そう。引き出して、そのまま自分の口座に入れてるんだろうね。薄々は気付いていたけど、ここまでされてるとは思わなかったよ」

「本当に酷いね!」

ボーナスは常に全額引き出していたのだ。それを定期にでもしてると言うのならまだ話は分かるが、彼女は10年以上前からケイを欺いて来たのだ!
ケイのことを思うと胸が締め付けられるように痛い。。


「ホントにムカつくね!」
「うん」
「こうなったら、最初言ってた全部あげる話は無しにすれば?あまりにもケイちんを馬鹿にしてるよ!法に則って分配して貰いなさいよ」
「そうしようと思う。例えばボーナスだけで年間で100万貯金してたとすると、10年として、かるく1千万は超えてるよね?」
「ケイちんが、彼女に家計を任せてからだから、そんなもんじゃないでしょうね?」
「弁護士に、このことも言うのよ」
「うん」

近々、Kは弁護士と会うことが決まっている。

「慰謝料も請求するって言えば?結婚してからずっとケイちんに嘘をついて欺いてきたんだから、十分に請求できるよ」
「そうだね」

私が思うに、彼女はケイと別れることがあってもいいように、給料からもお金を引き出しては、せっせと自分の口座に入れて来たのだと思う。
すっぽりと抜けているボーナスをどうしたのか?聞いてみたい!
彼女は自分が通帳を持ってるので、どのようなお金の引き出し方をしたのか、ケイが知っているとは夢にも思ってないだろう。

これを弁護士に見せて有効に使ってやる!!

お昼を食べて、横になってテレビを見てると、鼻を啜る音が聞こえた。
ケイの好きな二時間ドラマを見ており、丁度悲しい場面だったので、それで泣いているんだと思ったら違った。

「あんな風にされてたなんて…」
彼女の仕打ちに、悔しくて、情けなくて涙が流れたのだ。

かける言葉が見つからない私。

そっと、ケイの頭を抱きしめ、撫でてあげる。

「仇を討とうね。大丈夫だよ」

そう簡単に涙が止まらないケイ。。

彼女はどうして、ケイにここまでしないといけないんだろう?
血も涙もない女だとは思っていたけど、結婚当初から、夫にこんな仕打ちをする嫁が居るのだろうか?

もし、ケイは私と出会わなければ、彼女に好きなようにされたまま生涯を終えたかも知れない。。神様は見ててくれたのかなぁ~?と思う私。ケイにも幸せを与えてあげようと思ってくれて、私と引き合わせてくれたような気がしてならない。。

ケイも私もラブラブの新婚時代を過ごした訳じゃない。
そんな二人が出会って、お互いをさらけ出し、それでも喧嘩をすることもなく、お互いに労わり合い、仲良く暮らしている。

ケイと出会う前までは、こんな日が来るとは思ってなかった。
私は二度と恋愛することもないだろうと思っていた。

ケイは自分をさらけ出したのはるみかだけだよ、と言うのだった……。

ケイのお姉さんが来た。

テーマ:調停 2006-10-14 11:36:06

田舎に居るケイのお姉さんが用があって出てきてうちに寄る事になった。

駅で待ち合わせて繁華街の居酒屋に行った。

お盆にケイの田舎に行って会っているので、ケイと私の関係をすでに知っている。


お酒を飲みながら意気投合し、楽しい時を過ごした。店を出てタクシーに乗って家に帰った。
でも、これで終わるはずがない!
荷物を家に置いて、近くのスナックに。。

飲む内に歌わないと言ってたお姉さんも歌い始めた!
ケイとデュエットしたけど、さすが兄弟で声が合って上手かった。

楽しく時間は流れて、家に帰った。
そして、順番にお風呂に。。

家は広い訳じゃないし、お布団も薄いシングルのが一組余分にあるだけなので、ダブルの布団に私とお姉さんが寝て、ケイがシングルの薄いお布団で寝ることに。。

ケイは明日仕事なので、先に眠った。
キッチンで、お姉さんと二人飲みながら話をした。
ケイのことをかなり心配してきたようだ。そりゃそうだろう!

「ケイは私達には詳しい話はしたがらないからね」
「う~ん、心配かけたくなかったんだと思います」
「とにかく聞く耳を持たない人達だからどうしようもなくてね」
「ですよね。ケイさんから色んな話を聞いて呆れるやら、腹が立つやらでね」

お姉さんはケイがどんな仕打ちを受けてきたのか?ほとんど知らない様だった。

「それで、今るみかさんと居ることは、ケイの不利にならないの?」
「それは大丈夫です。破綻原因は私じゃないから。それに、別居して二年後に、ケイさんと付き合い始めたんで、私のことを持ち出すことは彼女はできません」
「そうなのね。だったら良かった。それがどうなのか?気になってたの」

「今までの経路を書いたのがパソコンにあるので明日見せますね」と、時間も遅くなったので、寝ることに。


翌日、ケイは仕事で会社に向かった。

お姉さんと二人朝食を食べた後、調停員に渡した上申書や、彼女に送った手紙等、全部見せてあげた。

途中で涙を拭うお姉さん。。

そりゃそうだろう。もし、私の弟がそんな仕打ちを受けていたら……。

「こんなことがあったなんて、知らなかった」

「でも、どうして息子はケイを庇おうとしないんでしょう?」
「それは私も思いますけど、結局、母親に世話してもらってるいるから、そう無下には母親に出来ないんじゃないかと思います」
「そんなものかなぁ」
「彼女がお父さんが働いて家計が成り立ってるなんて教えて来た訳でもないと思うし、ケイさんの血も流れてますけど、彼女の血も半分はあるので、私達がが思うようには行かないんじゃないでしょうか?」

「う~ん」
「婚費の調停のことも母親に、行って言って来なさいって言われて来たと思いますし、それからは連絡取るなと母親に止められているって言うのも考えられますよね?それから、息子君から一切連絡はありませんから」

「そうなの」
「はい。息子君を当てにしない方が良いと思いますよ」
「そうよね」
「調停では決着は付かない思うので、裁判になると思います。この間、どうして田舎にお邪魔したかと言うと、裁判になる前に、亡くなったお父さん、お母さんも無念だったと思うので、お墓参りをして今の状況を報告したかったんです」

「そうだったのね」
「そうです」
「ケイのことよろしくお願いするね」
「もちろんです」

お昼前にお姉さんは帰って行った。

弁護士を依頼するケイ

テーマ:調停 2006-10-14 11:19:26

次の調停日までにできることはないか?考えを巡らす。

ケイ口座の通帳、カード、印鑑は彼女の元に置いて来ている。

そして、良い事を思いつく私!


彼女がどの様な出金の仕方をしてきたか?ケイは知らない。
その通帳を見ればお金の流れが分かるはずである。
そこで、ケイに印鑑を紛失したと銀行に届けて変更して、取引明細書を請求するように言った。


ケイは、彼女が来ない次の調停の帰りに、銀行に行って過去10年分の取引明細書を請求した。
10年前のは、お蔵入り?になっているので一月ほどかかると言われた。
だが、届くのは間違いない。これで、ある程度お金の流れが分かる。


この調停日は、結局ケイの今までの経緯を印字した上申書を提出しただけであった。


裁判に移行させ戦う決意をしたケイはついに弁護士に依頼に行った。


ケイは婚費の調停をすると聞いた時、以来、息子君と会っていない。その後、彼からメールさえもないようだ。
私は、息子君は母親に言われて、婚費の調停を申し立てることを伝える為に、ケイと会ったと思っているけど、ケイはそうは思いたくないようだ。
暫く振りにKと息子君が会って、間もなく息子君がKを食事に誘ったのは、その事を伝える為に違いないと私は思う。

その後、何の連絡もないのが、それを物語っているように思った。
息子君は他の話もしながら「婚姻費用の調停をするらしいよ」と、如何にも婚費のことがメインではないような言い方をしていたようだが、私は婚費のことがメインだとすぐに思った。親なら自分の子供のことを悪く思いたくないのは痛いほど分るが。


しかし、彼は母親の血も半分入ってる分けで、その異常な母親に育てられているのだから、全面的にKの肩を持つことはしない
だろうと思う。実際、母親に日々世話をして貰っているので、必然的に母親の肩を持つだろう。

息子君に、ケイがどんな方向に持って行くかを話しとけばと言ったが、ケイは良い返事をしなかった。多分ケイも私が思ったことと同じことを感じているのだろう。


ケイの息子君への養育義務は息子君が大学を卒業した時点で終っている。
法的に言っても院までの面度を見る必要はない。
そこまで勉強したいのであれば、バイトなりなんなりして学費を稼げばいいのだ。学費は、国立なのでバイトで十分払える額なのだ。


ケイが一度目に会った時に、落ち着いたらバイトを探すって言ってたらしいが、そんな様子もない。現実に見たわけではないが、バイトを始めたならケイに何か言ってくるはずだ。
彼はケイが一所懸命に働いて家計を支えてきたことをまるで分っていない。そんなことを、あの嫁が息子君に話してきたとも思えない。親が子の面倒を見るのは当然と思っている。当然といえば当然だが、それには限度がある。

息子君の止めに今まで離婚に向けての行動を起こさないでいたのに、そんな思いは彼には全然伝わっていない。

なんとも、皮肉な話だ。

やはり、息子は母親の方が大事なんだろう。

ケイが可哀想になる私であった。


次の調停は一月半後だ。
弁護士がどんな風に言って来るのか?見物である。


うちでKと焼酎のウーロン割を飲む。
「お弁当はどんなのだったの?」裁判になることを想定して陳述書を作ってるのでより克明な事を聞く私。
「卵焼きが入ってたりで、普通のお弁当だよ」
「じゃ、美味しかったんじゃないの?」
「美味しいとか言うより、誰も弁当なんて持って来てないんだよ」
「何処で食べてたの?」
「社員食堂でだよ」
「そうなの?」

「そう。仕事が仕事だから、お昼にちゃんと食べられる訳じゃないし、社食が閉まれば机で食べないといけないから、すごくイヤだったよ」
「そりゃそうだよね。止めて欲しいって言ったんでしょ?」
「言ったよ!でも、一言、言うと、また何十倍になって返って来るから、鬱陶しいから言わなくなった」


はぁ~あ、聞けば聞くほど、嫁の普通じゃない!凄さが分る。


「取りあえず奴から逃げたかった」
「会社はどうだったの?」
「仕事は好きだし面白くて楽しかったよ」

小遣いは渡されなかったが、ケイはよく飲みには行ったらしい。常に上司にご馳走になってたようだ。可愛がられるキャラで、周りの人はケイの事情を知っていたからだろう。

ケイが唯一自分らしくいられる場所が、会社だとは、なんて虚しい寂しい日々を送っていたんだ?

「刺し殺したいと思ったこともあるよ」
言葉が出ない私。そこまで憎んだんだと。
今までの経路を知れば殺意を持つのも分かる気がする。


ケイの二十年はなんだったのだろう……。


嫁はケイのことを心から愛したことがあったんだろうか?……。



弁護士を依頼した彼女

テーマ:調停 2006-10-13 14:49:36

調停では話がつかず、裁判に移行するだろうと思った私は調査会社を経営する父親がいる親友に良い弁護士がいないか?
電話を入れた。彼はすぐに父親に連絡を取り、夫婦問題に強い弁護士がいるとのことで、いつでも相談に行けるように手筈を整えてくれた。

現時時点では調停で弁護士は必要ないので、預貯金などの資産状況を調べられないか聞いて貰った。
だが、今は個人情報保護法があるので、裁判になり裁判所の許可がなければ調べられないと言われた。


自分の言い分が通りそうにないと思った彼女は早々と弁護士を依頼した。
ケイは家裁から電話でそのことを知らされた。
次回の調停は弁護士の都合で、調停に行けないとのことであった。
しかし、ケイは自分の主張をしてくると一人行くつもりである。


この頃まだケイは、彼女の洗脳から解き放たれてはいなかった。
私が「送金を減額したら?」と言い「する」と、言ったのにケイは暫らくかなりの額の送金をしていた。
ここまで来て、どうしてそこまで出来るのだろう?彼女に蓄えがあるのは間違いないのに。
まだ情が残っているのだろうか?と、思ったものだ。


そして「ケイちん、まだヨウコさんに情が残ってるんじゃないの?」と、思っていたことを聞いてみた。
「何の情?」
「ここまで来て、そんなに送金するのは情が残っているとしか思えないよ」
「そんなの全くないよ~ケイを責めるの?」
「そうじゃなくて、納得がいかないから聞いてるの」
「責めてるじゃない」
「違うって。そんな風に思わないで。送金しないと何をされるか分からないってまだ思ってるんじゃない?」
「それはある」

これで、理解できた様な気がする。
ケイはは嫁に飼いならされ、結婚してからケイがお金を全て渡すのが当たり前のように洗脳されて来たと言っていいだろう。
まだ、モラハラ被害者から抜け出せていないのだ。


「お小遣いは、貰ってたの?。これはね、私が知りたいからじゃなくて、上申書や陳述書に、具体的により克明なことを書いてた方がいいから聞くのよ」
「うん。お小遣いはね、結婚した頃、月に3,4万貰ってたけど、後先考えずに貰ってすぐに使ってしまってね、それなら、奴がするってことになってね、任せたの。それからは、お弁当持たされて定期券を買われて、一切お金は持たせてくれなくなったんだよ」
「一切って、付き合いは、どうしてたの?」
「上の人にいつもご馳走になってた」
「会社の行事は?」
「一次会は書面で回ってくるから、それを見せれば、その会費だけはくれるんだけど、それだけね」

「ウソッ!それだけなの?一切、お小遣い貰ってないの?」
「そうだよ」

「ボーナスの時は?」
「服なんかは奴と一緒に行って買うけど、お金のことを言うと無いって言われてね」
「そう言われて黙ってたの?」
「黙ってた訳じゃないよ。でも、一言、言うと何十倍にもなって返ってきて、逆上されるから、揉めるのイヤで言わなくなったんだよ」
「それが何年続いたの?」
「ずっとだよ!」

「家を出る数年前にやっと、一日千円出すようになったの。昼食代込みでね」
「そうだっの!?なにそれ?!」


ケイの収入から言って、私は考えられない!あんまりだ!!


「そんなことされて来て腹立たないの?」
「そんなのもうとっくに通り過ぎたよ」
「彼女が憎いと思わないの?」
「憎んでもしょうがないよ」
「でも、感情的にはあるでしょ?」
「ないことはないけど、こうやって離れられたんだから憎いって言うよりも自分の正当性を正直に主張して行くだけだよ」


これで、ケイがやけに冷静なのが分かった。
ケイは悔しい思いや情けない思い、怒り、全てのマイナスの感情を散々味わってきて、ついにそれを飛び越えてしまったのだろう。


「これで、通らないの?」
「そんなことないよ。しかしさぁ~婚費30万って言ってるんでしょ?」
「違うよ、37万だよ」
「調停員の人が、姑を食べさせる義務はケイにないって言ったら、30万に下げたって言ったって、言わなかった?」
「一度は言ったんだけど、帰りに37万無いと生活出来ないんです!って言い捨てて帰ったんだって」
「言い捨てたの?」
「うん」
「ホントすごい人だね」

「そうだよ。婚費のことで弁護士立てて額が変るの?」
「変らないよ。収入によって上限は決まってるし、その基準もあるしね。それに、Kには少しでも出したくない理由があるんだから」
「そうだよね。何考えて弁護士なんて雇ったんだろう」

「少しでもお金が欲しいからでしょ?弁護士に頼めば少しでも多く取れると思ってるんでしょ」
「そんなので、弁護士は依頼受けるの?」
「弁護士にも色々いるし、裁判で成功報酬じゃなければ、この件では幾らですって受ける人もいるんじゃない?」
「そっか~」
「分かんないけどね」


ケイの話を聞いて、嫁に対して、また怒りが込み上げてくる私であった。
彼女にすればケイの存在は、お金を運んでくる道具に過ぎなかったのだろう。

人をそんな風な扱いするなんて、はらわたが煮えくり返る。
しかし、私も冷静でいないといけない!

ケイは彼女に飼い慣らされて、家にお金を入れないといけないと言う呪縛から逃れられずに、送金しないといけないような気になるのかも知れない。

「ケイちん、もういいのよ。散々してきたんだから、もう彼女に縛り付けられることはないんだよ。もう、することないの。分かった?」
「分かった」


ケイ、もう、いい十分だよ……。

非常識なヨウコ

テーマ:調停 2006-10-13 13:41:54

飲んで帰ったケイの、食事の用意を整え調停の話をする。

「最初に奴が話して、次にケイだったのね。その時に奴が37万ないと生活できないって言っていますって言われて、今まで振り込んでいたのを書いてたからそれを見せて、自分の給料の手取りの3分の2以上を送金してきたしそんなに出来ませんって言ったら、そうですよねって」
「何処からでたんだろうね?その金額」
「分かんないよ。でも、自分は悪くないから、自分の言うことが通ると思っているのは確かだと思う。出せても15万が精一杯ですって、言ったよ。なんかね、私は夫が何があっても、一生母と私を食べさせて行くって言ったから結婚したんだって、だから責任を取るのが当然だって言ったんだって。調停員の人が、人の心は変るものですよって言ったらしいんだけどね」


「ケイだけにじゃなくて、そこでも言ってるの?バッカじゃないの?そんなのが通用する訳ないじゃない」
「だよね。それで、また交代したら、今度は30万って言ったんだって。仕事もケイが辞めなさいって言ったから辞めたって言うんだって。ケイはそんなこと言ってないんだけどね。調停員の人がそれはかなり昔の話ですよね?って言ったって言ってた。ケイは別居してから、働く努力をするように言ってきましたって言ったよ」


ケイは今までのことを思いつくまま話したらしい。
ケイの両親の葬儀に来なかったことや、姪の結婚式の招待状の封筒の自分と息子
の名前を切り取って送り返したこと、逆上すると手が付けられない事などを。
ケイが家を出る前に姪の結婚式があり招待状が届いた。それにヨウコは激怒し、ケイが「勝手にすれば」と言うと招待状の出欠には記入せず、封筒の自分と息子の名前の部分を切り取り、ケイに断りもなしに送り返していたのだ。娘の祝いことなので、姉は結婚式に出席したケイにその時は伝えずにいたのだ。ケイがこのことを知ったのは、かなり後のことである。


遣り切れなさに苛まれ涙を浮かべながらこのことを私に話すケイだった。姉はこの機会にヨウコとの関係を修復できればいいのに、と、思っていた。しかし、姉のそんな思いはヨウコには全く通じず、祝いことを控えた義姉に切り取った封筒と酷い手紙を添えて送り返したのだ。

この手紙と切り取られた封筒は姉の手によって保管され、後の裁判時にヨウコの酷い仕打ちの証拠として提出される。

円満調停の話になり、元に戻ることなど有り得ないし離婚を望んでいると言うと、今お一人ですかって聞かれて、ケイは私のことを話したようだ。だが、破綻後なのでこのことについては調停員はそれ以上触れなかった。
調停員の方は、彼女の言い分に「奥さんは、旦那さんの悪いことを並べ立てて、ではご自分は?って聞くと答えないんですよね」と、言ったそうだ。

自分は一切悪くないと思っている彼女に、そんなこと答えられる訳がない!

円満調停をする気がまるでないと、言ったケイに調停員は離婚調停の申し立てが出来るのでしてきて下さいと言ったのだ。

ケイは必要な戸籍謄本を持って行っていないが、彼女が先に提出しているのがまだ期日的に効力があるとのことだったようだ。


ケイは本当はもう少し先に調停を申し立てようと思ってた。
イマジネーションが欠如している彼女は、墓穴を掘り、自分が提出している物がケイの役に立っているなんて思ってもないだ
ろ。


調停員の人は、ヨウコにもっと現実を見られたら如何ですか?その上で考え直して次回来て下さいと帰した……。