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auが提供するEZwebの着うたフルのメニュー。J−POPだけでなく、洋楽やクラシックなど、さまざまなジャンルの着うたフルが増えてきている。 |
ケータイに電話が掛かってきたり、メールが届いたときに鳴る着信音。着信メロディは幅広く利用されていますが、ここ数年、急速に普及したのが「着うた」です。着うたは着信メロディと何が違うのでしょうか。今回は着うたと着信メロディの違いについて、説明しましょう。
ケータイの着信音で、もっともベーシックなものと言えば、「ピピピピ」という電子音です。多少の音色の違いこそあれ、ほとんどのケータイにシンプルな電子音による着信音が用意されていて、出荷時の着信音として設定されています。この電子音を利用し、メロディを表現したものが『着信メロディ』です。
着信メロディは今や世界中で愛用されるほど、普及しましたが、実は世界ではじめて着信メロディを搭載したケータイは、NTTドコモの「デジタル・ムーバN103HYPER」(1996年発売)という機種でした。着信メロディは電子楽器の規格である「MIDI」をベースにしており、コンピュータを利用したシンセサイザーのように、入力されたデータに従って、楽曲のメロディを電子音で再現するものです。ケータイで着信メロディが流行り始めた頃は、ユーザーが自分で好みの曲を入力していましたが、同時に鳴らすことができる和音数の増加とともに、iモードなどのコンテンツサービスが充実してきたこともあり、現在ではサイト経由でダウンロードする方法が一般的です。
着信メロディは楽曲を電子的な音で再現したものです。そのため、和音数が増えても音楽CDなどに収録されているホンモノの曲とは、印象が異なります。これに対し、デジタル音楽プレーヤーなどでは、音楽CDを音源としたデジタル音楽データが使われています。デジタル音楽データは音楽CDの曲データを圧縮、保存したもので、若干、音質などに差があるものの、本来の楽曲がほぼそのまま再生されます。
こうしたデジタル音楽データをケータイの着信音として利用できるようにしたものが『着うた』です。デジタル音楽プレーヤー向けとは技術的な仕様が少し違いますが、音楽CDに収録されている楽曲がほぼそのまま再生される点は同じです。もちろん、ボーカルの含まれた曲なら、その歌声もそのまま再生されるわけです。
着うたは2002年12月からauがサービスを開始し、NTTドコモやボーダフォンも追随しています。ただ、着うたは着信メロディに比べ、ファイルサイズが大きいため、パケット通信料が割安、もしくは定額制が利用できる3Gケータイ向けにサービスが提供されています。着うたは曲のサビや特定部分のみを抜き出して、着信音として利用できるようにしたものですが、auでは2004年11月から楽曲を丸ごと一曲ダウンロードできる『着うたフル』のサービスを開始しました。パソコン向けの音楽配信サービスに比べると、一曲あたりの料金が200〜400円と少し割高ですが、お気に入りの曲をケータイだけで購入できる手軽さがウケ、今年5月にはauだけで累計5000万ダウンロードを突破するほどの拡がりを見せています。ボーダフォンは昨年末から、NTTドコモも今年6月から、それぞれ対応機種向けに着うたフルのサービスを開始しています。ちなみに、「着うた」及び「着うたフル」はソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標となっています。
着信メロディと着うたは、音楽データとしての仕様が異なりますが、どちらもケータイの着信音として利用できます。もし、自分の周りに着うたを利用している人が居たら、着信メロディとどれくらい違うのかを一度、聞き比べてみてはどうでしょうか。