【千葉】イージス艦事故海難審判 『反省とは受け取れず』2008年9月5日
「反省という感じは受け取れなかった」−。横浜地方海難審判庁で四日開かれた、イージス艦「あたご」衝突事故の第一回海難審判。前艦長の船渡健一等海佐(53)らが自らの過失を否定する姿勢を見せたことに、事故で亡くなった「清徳丸」船長吉清治夫さんのおい祥章さん(19)は傍聴後、残念そうな表情を浮かべた。 (イージス艦事故取材班) 祥章さんは、あたご関係者の「漁船の位置が違う」「清徳丸の右転で新たな危険が生じた」といった陳述を「自分には責任がないという発言」と指摘。「今後の審判で事実をちゃんと解明し、事故防止に役立ててほしい」と語った。 清徳丸が所属していた新勝浦市漁協の外記栄太郎組合長(80)は「百パーセントあたごが悪いとは考えていないが、きちんと見張りをしていれば事故は起きなかったのでは」と不信感をあらわにした。 事故時、清徳丸の後方を漁船で運航していた市原義次理事(55)も「清徳丸は右転していない」と、あたご関係者の陳述を真っ向から否定。「五人で口裏を合わせている感じ。われわれは静観するしかないが、言いたいことはある」と憤った。 傍聴席には、一九八八年に起きた「なだしお衝突事故」の海難審判で海事補佐人を務めた田川俊一弁護士(73)の姿もあった。「海自側は、進路を曲げた清徳丸の側に非があるということを主張しているのだろう。『自分たちに間違いはない』と言っているようで、自信過剰な印象を受けた」と分析した。
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