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韓国の中小造船所、資金難でSOS

 韓国の中小造船所が資金難にあえいでおり、船舶建造に支障が出ている。一部造船所では資金確保のため、会社役員が月給を返納したケースも出ている。過去3‐4年間の造船景気で韓国の南海岸地域には中小造船所が雨後のタケノコのように建設されたが、一方で過剰投資の懸念が指摘されていた。

 造船業界によると、全羅南道木浦市のC&重工業は船舶約60隻、約3兆ウォン(約2800億円)相当を受注した状況で資金調達に行き詰まり、造船所建設と船舶建造が遅れている。同社関係者は「ドックをはじめ造船設備の建設に必要な3800億ウォン(約360億円)のうち1700億ウォン(約160億円)が不足しており、金融機関に融資を申し込んだがまだ資金を確保できていない。年末に最初の船舶を引き渡す予定だったが、スケジュールが遅れ、来年初めにずれ込む見通しだ」と話した。同社役員は最近、資金確保のため月給を返納したという。

 全羅南道海南市の大韓造船でも状況は同様だ。4000億ウォン(約380億円)を投じる第2ドックの建設に向け、金融機関に支援を要請したが、融資が受けられず建設に遅れが出ているという。同社関係者は「ドック建設が遅れている上、船主から前受け金の支払いを受けるのに必要な払い戻し保証を銀行から受けられず、船舶の建造スケジュールに支障が出ている」と語った。同社は現在、バルク船43隻(うち1隻は引き渡し済み)、総額3兆3000億ウォン(約3100億円)相当を受注している。

 中小造船所が資金難に直面しているのは、金融機関が金融不安、造船業の景気後退に対する懸念から新興造船所に対する融資審査を厳しくしているためだ。信栄証券リサーチセンター長のチョ・ヨンジュン氏は「原材料価格の急騰が中小造船所の収益悪化を招いている。そこに人材難までが重なり、技術力と資金力を持たない中小造船所は困難な状況に追い込まれそうだ」と分析した。

 しかし、C&グループのキム・チョルホ理事は「中小造船所も大型造船所が取り扱わない船舶を中心にすき間市場を攻略し、競争力を確保できる。韓国の造船業の足元を固めるため、中小造船所に対する政府レベルでの支援策が求められる」と指摘した。

金承範(キム・スンボム)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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