2007年7月、周南市で親せき夫婦を死傷させたとして殺人と殺人未遂などの罪に問われた同市遠石1丁目、無職森本貞義被告(73)の控訴審判決が2日、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は山口地裁での公判前整理手続きについて、「殺意などの判断に必要な証拠まで排除され、審理が不十分だった」として、懲役18年とした一審判決を破棄、審理を同地裁に差し戻した。
必要な証拠を採用しなかったなどとして手続きの違法性を認定し、審理のやり直しを命じるのは極めて異例。
楢崎裁判長は、義理のめいへの殺人未遂事件で争点となった殺意について「顔のどこをどの程度包丁で切りつけたか不明」などと指摘。検察側が請求、弁護側も同意した写真撮影報告書や医師の調書などを地裁が採用しなかったことに疑問を呈した。
犯人性が争点となった義理のめいの夫原田輝男さん=当時(65)=の事件でも検察側が請求した複数の状況証拠を挙げ「調べるのが相当だった」と指摘した。
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