【カイロ高橋宗男】30年前に起きたレバノンのイスラム教シーア派宗教指導者、ムーサ・サドル師の失踪(しっそう)事件で、レバノン司法当局は27日、誘拐教唆などの容疑でリビアの最高指導者、カダフィ大佐らリビア人計8人の逮捕状を取った。AFP通信が伝えた。
サドル師はリビア訪問中の78年8月31日、随行者2人とともに行方不明となった。リビア側は同師らがローマに向け出国したと説明してきたが、イタリアに入国記録はない。レバノン当局はリビア政権が関与し誘拐、殺害した可能性が高いとみている。事件から30年後の現在も同師の人気は絶大で、今回の強硬措置には新内閣で発言力を増したシーア派民兵組織ヒズボラなどシーア派の意向が働いているとの見方がある。
リビア側はレバノンの喚問要求を無視。逮捕の可能性はゼロに近い。
毎日新聞 2008年8月29日 東京朝刊