アフガンで死亡の伊藤さんお別れ会、中村医師が涙の弔辞
伊藤和也さんの「お別れ会」に参列する「ペシャワール会」の中村哲代表(1日午前10時15分、静岡県掛川市で)=鈴木毅彦撮影
アフガニスタンで拉致され死亡した民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」職員・伊藤和也さん(31)=静岡県掛川市出身=の「お別れ会」が1日午前、実家に近い同市内の斎場で営まれた。午前11時から始まった式には、親類や友人、NGO関係者が参列し、伊藤さんに別れを告げた。同会は今後、伊藤さんの遺骨の一部をアフガンの地に納める。
ペシャワール会の現地代表・中村哲医師(61)は「お別れ会」で「彼は、すべての平和を愛する人々に代わって死んだ」と涙声を詰まらせながら弔辞を述べた。
中村医師は、大干ばつに襲われたアフガニスタン東部で、かんがい用水路建設や農業振興に尽力した伊藤さんの業績を紹介。「愚痴一つこぼさず、村人たちの生活を思いやり、必死で汗を流す姿は多くの者に温かい励ましを与えた」とたたえた。また「和也君は言葉ではなく、その平和な生き方によって、困った人々の心に明るさをともしてきた。彼の生き方こそ私たちへの最大の贈り物」と強調した。
さらに「平和は、戦争以上の忍耐と努力が要る。和也君はそれを愚直なまでに守った。和也君を倒した暴力主義は私たちの心の中に潜んでいる。今必要なのは、憤りと悲しみを友好と平和への意志に変えることだ」と訴えかけた。
(2008年9月1日 読売新聞)