アフガン拉致殺害:伊藤さん、無言の帰国 家族らが出迎え

中部国際空港を出る伊藤和也さんのひつぎを乗せた車(手前)と親族を乗せた車=愛知県常滑市で2008年8月30日午後9時、竹内幹撮影
中部国際空港を出る伊藤和也さんのひつぎを乗せた車(手前)と親族を乗せた車=愛知県常滑市で2008年8月30日午後9時、竹内幹撮影
中部国際空港に到着した伊藤和也さんのひつぎが納められたコンテナ=愛知県常滑市で2008年8月30日午後5時53分、竹内幹撮影
中部国際空港に到着した伊藤和也さんのひつぎが納められたコンテナ=愛知県常滑市で2008年8月30日午後5時53分、竹内幹撮影

 アフガニスタンで拉致、殺害された「ペシャワール会」スタッフの伊藤和也さん(31)の遺体は30日夕、中部国際空港(愛知県)に到着した。父正之さん(60)ら家族4人と同会関係者らが出迎える中、志半ばでの無言の帰国となった。

 遺体を乗せた航空機は、午後5時半過ぎ、中部空港に降り立ち、コンテナに納められた棺(ひつぎ)がゆっくりと下ろされた。正之さん、母順子さん(55)、妹(30)、弟(27)の4人が遺体と対面した。

 対面を前に、記者会見した正行さんは「顔を見たら、お帰りと言ってあげたい。和也のやっていたことが、これほど大きかったのかと私もびっくりしている。自分のやりたい場が見つかり、出来ていた。本望と思う。葬儀でなく、お別れの会で送り出してあげたい」と、悲しみをこらえて話した。順子さんも「いつもと一緒のようにお帰りなさいと言葉を掛けてあげたい」と語った。

 遺体に付き添ってきた同会現地代表の中村哲医師(61)は、記者団に「まず両親に申し訳ないという気持ちです。お父さんから『和也も本望。幸せだった』と声を掛けていただき、子をなくした親の気持ち考えると掛ける言葉もなかった」と語った。

 さらに「私も含め認識が甘かった。第2、第3の犠牲者を出さないよう邦人の保護を徹底したい」と述べる一方、「アフガニスタンの人々が十分に食べていかれなければ安定はこない」と、伊藤さんが取り組んだ農業事業を継続させる決意を強調した。

 遺体は静岡県警による司法解剖の後、31日に掛川市の自宅に戻る予定。【河部修志】

毎日新聞 2008年8月30日 20時14分(最終更新 8月31日 1時21分)

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