児童虐待と子どもの権利擁護 
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最近における児童虐待の特徴

 以前から、児童相談所や保育所あるいは児童福祉施設の中で、入園入所してくる子ども達を通して児童虐待が増加してきているということは、指摘されていたが、表面化されてきていなかった。最近やっと、社会的な問題として取り上げられてくるようになり、児童虐待相談は10年間で約17倍になった。2000年度に全国の児童相談所によせられた児童虐待の相談件数は18804件で過去最高を更新している。虐待の内訳は身体的虐待が約50%、食事を与えない等の怠慢・無視(ネグレクト)が約36%、心理的虐待が約10%、性的虐待が約4%、虐待者は実母が約60%、実父が約24%、被虐退者では5人に4人が小学生以下となっている。
 これは増えたのか、潜在的にあったものが統計的に出たのか。あとで検証するが、ここに愛知県の医師会が医師にとったアンケートがありますが、47%の医者が虐待の通告義務を知らなかったという現実がある。
 身体的暴行、保護の怠慢・拒否、心理的虐待、性的暴行、不登校と言う順番で増えてきている。CAPNA(虐待防止ネットワーク愛知)が調査したところ、1998年に106件、99年には105件の死亡が新聞等で確認された。虐待でかどうかはわからないけれど、潜在的にはもっと多くの子どもたちが死亡している。厚生省(現在の厚生労働省)が、児童虐待防止法の前に、児童相談所の職員向けにマニュアルを作った。昨年の5月17日にこの法案が通ったので、改めて作り直しているが、現実は各自治体に任せたという内容になっている。
 従来の児童虐待は貧困社会をベースにした社会病理のものだったが、最近は都市部に多発する家族病理をベースにしたものに代わってきているのが特徴である。児童虐待防止法は短期間に成立してしまって、中身が伴っていない。例えば、児童相談所の整備をしていないとか、児童福祉施設の職員を増やしていないとか、通告の義務が市民にきちんと通達されていない等々問題が指摘されている。

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