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社会   トップページ小1女児誘拐・殺害事件 詳報

小1女児誘拐・殺害事件 詳報


●小林被告に死刑求刑-更正は不可能【論告求刑公判】 (2006.06.06)

 奈良市の市立富雄北小学校1年女児(7つ)が平成16年11月、下校途中に連れ去られ殺害された事件で、わいせつ誘拐や殺人、死体遺棄、死体損壊など8つの罪に問われた元新聞配達員小林薫被告(37)の論告求刑公判が5日、奈良地裁(奥田哲也裁判長)で開かれ、検察側は「自己の性欲、支配欲、自己顕示欲を満たすための計画的な犯行で卑劣かつ極悪、残虐極まりない。被害児童の両親の処罰感情も峻烈(しゅんれつ)。被告人は真しな反省や謝罪の態度を示していない上、更生意欲が欠如しており、矯正はもはや不可能」と指摘し、小林被告に死刑を求刑した。

 今月26日に弁護側の最終弁論、小林被告の最終意見陳述が行われ、公判は結審する。

 起訴状によると、小林被告は平成16年11月17日午後1時50分ごろ、奈良市学園中五丁目の路上で、下校途中の女児に声を掛けて車で連れ去り、自宅マンションの浴槽に殺意を持って女児を沈めて水死させ、同日午後10時ごろ、平群町菊美台二丁目の道路脇側溝に遺体を遺棄した。

 また同年12月14日午前零時ごろ、河合町中山台一丁目の中山田池公園東側駐車場で、持っていた女児の携帯電話から母親の携帯電話に「次は妹だ」という新たな犯行を予告するメールを母親の携帯電話に送りつけるなどして脅迫した。

  小林被告は平成16年12月30日、わいせつ誘拐の疑いで逮捕され、同17年1月19日に殺人と死体遺棄容疑で再逮捕された。その後、死体損壊と脅迫容疑で追送検され、同事件でが強制わいせつ致死罪を加えた6つの罪で起訴。

  さらに、北葛城内の別の女児への強制わいせつ罪、滋賀県内の民家から子供用を含む女性の下着や水着を計31点を盗んだ窃盗罪で起訴された。

  平成17年4月の初公判からこの日の論告求刑公判を含む計9回の公判で検察側は、犯行は計画的で事件の背景には女児への異常な執着心や加虐性、世間に対する顕示欲があったと指摘。一方、弁護側は起訴事実は争わず、小林被告が幼少時代から受けたいじめや母親との死別、父親からの暴力など生い立ちが犯行に影響を与えたとし、情状鑑定を申請。同鑑定では小林被告は犯罪傾向を伴う「反社会性人格障害」「小児性愛」と診断されていた。

  論告で検察側は「被告人には反社会的性向、特に性犯罪に対する傾向と人命軽視の態度が顕著な上、更生意欲が欠如しており、犯行後の行動も最悪。その危険な犯罪性向の矯正はもはや不可能」と指摘。「これほど人倫にもとる冷酷な犯行はかつて例がないほどで、犯行に至る経緯、動機のいかなる面からみても被告人に有利にしん酌すべき事情は皆無」と述べた。


●被告、表情変えず-“望み通り”の求刑 (2006.06.06)

 「まさに極刑をもって臨むしかない」―。奈良市の女児誘拐殺人事件の論告求刑公判で、殺人罪など8件の罪で起訴された小林薫被告(37)に、検察は死刑を求刑した。小林被告は目をつむったまま、時折、顔をかくなどして論告を聞き、死刑求刑にも表情を変えることはなかった。

  「早く死刑になりたい」と公判で繰り返していた小林被告に、その望み通りとなる死刑求刑。

  論告は、殺害を決意した時期など、小林被告が捜査段階での供述を公判でひるがえした点について「信用できない」とし、「自己中心的で卑劣かつ極悪」な動機、「残虐極まりない」犯行、遺族感情、社会への重大な影響などから死刑を求刑した。

  被害者一人の殺人事件としては異例といえる厳罰だが、さまざまな観点から見た犯行の重大性などで量刑を判断するという過去の最高裁判所の判示から「被害者が一名であることが必ずしも死刑の選択を回避する要素でない」とした。

  弁護側は、死刑を求める小林被告の言葉を「ちょっと反省しただけでなく、命をもってつぐなわなければならないというところまで反省の念を強めないといけない」(第7回公判後、取材陣の質問に対して)と、反省の気持ちの強さだとしてきたが、検察は「真しな反省悔悟の情が皆無」と切り捨てた。

  論告が読み上げられる間、小林被告は目を閉じて、うつむき加減で聞いていた。時折、首をひねったり、耳や鼻をかいたり、あくびをしたり。新聞販売店での勤務態度について述べられたときは、首をひねって笑ったような表情を見せた。死刑求刑にも動じた様子はなく、淡々と退廷した。

●「死刑でも足りない」-女児の地元、憤りの声 (2006.06.06)

 「人間性のかけらもない」―。5日、奈良地裁で開かれた論告求刑公判で、元新聞販売店従業員、小林薫被告に対し、死刑が求刑されたことに対し、誘拐され殺害された女児(当時7歳)が住んでいた地元では「当然の求刑」「死刑でも足りないくらい」と改めて憤りの声が挙がった。

 女児が通っていた市立富雄北小学校(同市富雄北一丁目)の当時の校長、楳田勝也さん(61)は、昨年3月、定年退職した。事件発生直後は、児童のケアや教職員の指導に力を注ぎ、学校に押し寄せる報道陣の対応も一本化して一人で処理した。

  死刑求刑に「当然のこと。これは事件にかかわったすべての人に共通する思いです」とコメント。「時間は経ったが、体のどこかに事件以後時計が止まったかのような思いがある」と述べた。

  一周忌に当たる昨年11月17日は、楳田さんに「辛い一日」を思い起こさせた。子供の安全が叫ばれながら日々事件が起きている。「栃木の事件もそう。『まさかこんな所で事件が起きるなんて』ではなく、一人ひとりが周りの状況を主観的な目で見ることが大切」と再発防止を訴える。

  当時、富雄地区自治連合会長を務めていた馬場徹さん(74)も「死刑でも足りない、というのが地元の感情だよ」と癒せない心情を吐露。「量刑を軽くすることはご両親にはあまりに気の毒」と語った。

  安全対策を推進中の市教委の中尾勝二教育長は、同日、市立校・園長会に出席し「多くの目や手で子供たちの安全を守る取り組みを続けてください」と呼び掛けた。「類似事件が全国的にも多発しており、気を緩めず頑張る」と話した。



 本件は小児性愛の傾向にある被告人が、年少の女子に対する強制わいせつなどの事実で服役した前科があるのに、再度わいせつ目的で女児を誘拐して殺害した罪質は極めて悪質重大である。

  被告人の反社会的性格に犯行後の情状などを総合すると被告人の矯正は不可能。被告人の責任は重大であり、極刑をもって臨むほかない。

  一方で、本件の量刑において被告人に有利に考慮すべき事情の有無について検討するのに、(1)捜査段階から公訴事実を認めていること (2)9歳の時に母親が死亡するなど、生育環境が必ず良好といえない要因があること (3)公判において「被害者にわびる」との言葉を口に出している上、拘置所に収監されている間に作成した作文や知人あての手紙の中で「本当に後悔している」「被害者に大変申し訳ない気持ちでいる」などの文言を記述していることの三点を挙げることができる。

  しかしながら、(1)の公訴事実を認めていることについて、自白経過をみると、被告人は警察官から任意同行を求められて警察署に出頭した当初、犯行を否認していた。だが、被告人が所持していた携帯電話に被害児童の死体の写真画像が保存されていたため言い逃れできずに自白に転じたものに過ぎない。

 (2)の生育環境についても、同情すべき一面はあったが同じ生育環境にあった被告人の同胞は、立派に成長して健全な社会生活を営んでいる。生育環境のみが被告人の犯罪傾向を形成したとは考えられない。むしろ被告人自らが無反省、無軌道な生活態度を継続することで自己の反社会的な人格を形成。生育環境が良好でないことは、既に35歳(事件当時)になっていた被告人に特段有利な情状とは認められない。

  さらに(3)の反省の文言についても、被告人が上記文言を口にしたのは、裁判官から被害児童の死体を損壊した行為について質問され「現在は被害者にどうわびていいのか分からない」と供述。弁護人から拘置所内で、被害児童に対して具体的にしている行為を尋ねられても「時間はまちまちなんですけれども、就寝前に、まあ少しの間ですけれども、手を合わせて拝んでいます」と答弁。手を合わせての心の変化についても「前向きな気持ちで、物事に接するということですかね」など、心境を質問されても、何ら具体的な反省の情を述べていない。

  供述内容や態度からは、被告人において本件の非を悔い、心底から被害児童や児童の両親に対して謝罪するために口にしたとは到底考えられない。

  また、被告人は作文や手紙文中の文言についても、公判において「マスコミが傍聴しているから謝罪の言葉を言いたくない。マスコミは自分の発言をいつも否定的に評価する」などと述べていて、具体的な反省や謝罪の言葉を語っていない。

  公判で謝罪できないのは、公判にマスコミがいるせいであると、他人に責任転嫁する供述をしている。審判の終局段階でも、真摯(しんし)な反省や謝罪の態度を示していない。

  以上、作文や手紙文に反省や謝罪の言葉が記載されていないからといって、被告人に特に有利にしん酌すべき事情とは到底考えられない。

  被告人には、死刑の言い渡しを回避しなければならないほどの特に有利な事情は見当たらない。


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