【北京=坂尻信義】北京市の女性2人が当局にデモを申請したところ、1年間の「労働矯正」を命じられた。五輪期間中、「公認デモ実施地」3カ所が指定されたが、デモが許されないうえ、申請が弾圧の端緒となるおそれがあるとの批判が出ている。
米国の人権団体「中国人権」によると、強制立ち退きに抵抗していた呉殿元さん(79)と王秀英さん(77)が8月5日以降5回、デモを申請したが、市政府が受理を拒否。5日の申請時に約10時間拘束され、17日に「公共の場所の秩序を乱した」として労働矯正1年間を命じられた。労働を通じた再教育をする労働矯正は軽微な違法行為に対する行政処罰で、裁判を経ずに拘束できる。
「公認デモ実施地」については、公安局が18日に新華社通信を通じ、77件の申請を受け付けたが1件も許可していないと発表した。不満を持つ人々をおびき出す手段になっている、と批判する声が上がっている。