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【明解要解】中国語を支える日本語 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:言語・語学
■外来語の1割が日本からの“輸入”
「中華人民共和国 共産党一党独裁政権 高級幹部指導社会主義市場経済−という中国語は中華以外すべて日本製(語)なのをご存じですか」−。東京都台東区の中国語講師、劉美香さん(51)からこんなお便りをいただいた。産経新聞の「朝の詩」と「産経抄」を教材に毎日、音読と書き写しで日本語を磨くという劉さん、「明治時代の日本人が、欧米の学問を漢字で翻訳してくれたから、当時の中国は世界を理解できた。平仮名や片仮名に翻訳されていたら今ごろ、中国はどうなっていたでしょうね」。(特集部 押田雅治)
中国語には約1万語の外来語があり、その大半が「仏陀(ぶっだ)」や「菩薩(ぼさつ)」「葡萄(ぶどう)」「琵琶」などインドやイランなど、西域から入った言葉といわれている。
その残り1割、1000語余が清朝末期以降、日本から取り入れた言葉で、社会科学や自然科学などの学術用語の約7割が、英語やドイツ語などから翻訳した和製漢語といわれている(『現代漢語中的日語“外来語”問題』・王彬彬著)。
日本語導入のきっかけは、欧米列強によって亡国の危機感に襲われていた清朝の志士たちの「日本に学べ」の精神だった。
王氏は「われわれが使っている西洋の概念は基本的に日本人がわれわれに代わって翻訳してくれたものだ。中国と西洋の間には、永遠に日本が横たわっている」(同著)と指摘。日中戦争が始まる1937年までの40年間に、留学生だけでも延べ6万人が来日。明治維新を経て近代化を急ぐ日本で西欧を学び、そして和製漢語を取り入れたのである。
本来、漢字だけで成立する中国語が外来語を取り入れる場合、「電視機」=テレビや「電氷箱」=冷蔵庫などの意訳型と、「可口可楽」=コカ・コーラなど音訳型の2つに大別される。