桜井淳所長に拠れば、"カリフォルニア"から、James Lick Skywayに入り、サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ(San Francisco Oakland Bay Bridge)を経て、約20kmの位置にあるオークランド(Oakland)を通過し、なお東へ約20km進むと、EPRI(Electric Power Research Institute)があり、そのEPRIの専門家が、地震に遭遇した原子力発電所の技術評価基準(EPRI NP-6695とANSI/ANS-2.23-2002 Nuclear Plant Response to an Earthquake)を基に、新潟県中越沖地震に震災した柏崎刈羽原子力発電所の現場調査・検討をとおし、レビュー結果を公表しましたが(http://www.jaif.or.jp/pdf/2008_07_GHardy_en.pdf#search='EPRI<seismic' )、ただ、概要のみであり、専門的な考察はなく、新規性のある情報は、まったくありませんでした。
桜井淳所長に拠れば、時々見学するStanford Univ.のStanford Linear Accelerator Center(SLAC)は、"カリフォルニア"から南に約60kmにあり、1962年に設置され、最初、3kmの線形加速器で電子加速、後に、独自の技術で、線形加速器のまま、電子と陽電子の同時・並行加速、正面衝突が可能な4GeVのcolliderにし、次のステップとして、50GeVのcolliderに改良、これまで、高エネルギー実験(素粒子実験と素粒子理論の研究拠点)の世界の10拠点のひとつであり、米三大拠点(Fermi National Accelerator Laboratory, Brookhaven National Laboratory, SLAC)のひとつで、これまで、SLAC研究者だけでも、ノーベル賞物理3回(1976, 1990, 1995)・化学1回(2006)受賞し、研究投資・加速器規模・エネルギーの割には、世界でも、質の高い、非常に独創的で、効率の良い研究を実施しています。
桜井淳所長に拠れば、定期点検中の関西電力大飯3号機(電気出力118万kW, PWR,, 1991年12月18日営業運転開始)において、10年に1回の割合で検査している原子炉圧力容器ノズルと外径88cm肉厚8cm弱のステンレススチール製一次冷却系配管の溶接部付近の内面に、2008年4月17日、深さ3mmの応力腐食割れ(stress corrosion cracking ; SCC)が発見され、その後、深さが1.5cmにも達していることが分かり、亀裂を削り取り、その後で肉盛溶接による修理を行うことになっていますが、材料の常識からすれば、SUS304であろうが、SUS316Lであろうが、特に、驚くようなことではなく(石油プラントでも火力発電所でも原子炉でも、しょせん、エンジニアリングの世界で、想定範囲内の出来事であって、米国のエンジニアなら話題にもしない)、溶接時の入熱量によっては、たとえ、一次冷却材中の溶存酸素量が5ppb以下でも、運転20年弱でも、SCCが起こりえるし、今後、他の原子炉でも同部の検査を強化しなければならず、原因究明には、溶接記録を調査し、溶接時間と入熱量を評価しなければなりません。