露軍が撤退開始発表　グルジア情勢、焦点は「平和維持部隊」 (1/2ページ)

　【モスクワ＝佐藤貴生、トビリシ＝遠藤良介】グルジアに軍事侵攻したロシア軍参謀本部の幹部は１８日午後（日本時間同日夜）、グルジア中部の拠点都市ゴリを含む同国内の戦闘地域からの撤退を開始したと発表した。インタファクス通信などが伝えた。ただ、同軍は、撤退完了期限などは明確に設定していない。スムーズに撤退が実現されるかはなお不透明で、厳格な撤退を求める米欧との対立は解消されていない。

　ロシア軍参謀本部のノゴビツィン副参謀長は１８日、グルジア軍に対する軍事作戦を終了したとして撤退開始を宣言した。また、「グルジア側は１年以上前から（グルジアの分離派地域である）南オセチア自治州への攻撃を準備していた」と非難した。

　しかし、ゴリ市街への入り口では１８日午後、爆発音が数回にわたって聞こえ、白煙が上がるのが目撃された。首都トビリシ方面に向けてロシア軍の戦車数台と多数の軍用トラックが移動する光景も見られた。市街への報道陣の立ち入りは禁じられており、何が起きているかは不明だ。

　ただ、ゴリを初視察した国連難民高等弁務官事務所（ＵＮＨＣＲ）のスタッフは１７日、「大規模な略奪」の痕跡が見つかったとの声明を出した。建物はあまり損害を受けていないが、商店などで略奪が起きていた可能性があるという。

　一方、ロシアのメドべージェフ大統領は同日、「ロシア国民を殺害して罰せられずに逃げられるなどと考える者は、決して許さない。もし再びこうした試みがなされたら、破壊的な応酬を受けるだろう」とするメッセージを発した。