「サムシン・エルス」
トランペッターのマイルス・デイビスが演奏し、モダンジャズの代表的名演として知られる「枯葉(かれは)」の未発表録音が、20日からインターネット上で初公開される。EMIミュージック・ジャパンが企画した。
同曲を収録したアルバム「サムシン・エルス」は、58年に録音されたブルーノートレーベルの作品。サックス奏者のキャノンボール・アダレイのリーダー作で、「クール・ストラッティン」などと並んで日本では特に人気が高い。冒頭に収録された「枯葉」は印象的なイントロとマイルスの演奏で名高い。
「『枯葉』の名演はいくつもあるが、人の心をとらえたという点であのアルバムの右に出るものはない」(音楽評論家・悠雅彦さん)
今回公開されるのは、アルバム製作の際に、OKの出なかった幻のバージョンだ。
EMIジャパンの行方均さんによると、ブルーノート研究家のマイケル・カスクーナ氏が実は30年ほど前にこの録音テープを見つけていた。「プロデューサーも当時存命で、ボツにした判断を尊重すべきだと封印したようです」
今年はプロデューサー、アルフレッド・ライオンの生誕100年、来年がブルーノート設立70周年にあたり、EMIジャパンが記念サイトを開設。目玉として未発表音源の無料視聴を企画、ロサンゼルスの倉庫に保管されていた幻の録音がカスクーナ氏の協力で公開されることになった。
「マイルスの演奏は完璧(かんぺき)以上だが、キャノンボールのソロやリズムセクションが乱れる」とカスクーナ氏はコメント。マイルスやピアノのハンク・ジョーンズらの会話も含め約11分聞くことができる。
http://st−co.jp/bnjf/で公開する。(西正之)