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市町村・学校別結果は非開示 全国学力調査で鳥取県教委

2008年8月11日

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 鳥取県教育委員会は11日、文部科学省が小学6年と中学3年を対象に07年4月に実施した全国学力調査で、市町村別と学校別の結果を開示しないことを決めた。県情報公開審議会からは「開示すべきだ」とする答申を受けていたが、「序列化が進み、点数至上主義を招きかねない」といった学校現場からの意見を尊重した。

 この日、臨時教育委員会が開かれ、教育委員6人が公開の場で話し合った。「開示には教育現場の不安が大きく、学校現場が混乱する」「調査結果の開示は教育について考える良い機会になる」と開示に賛否両論が出たが、採決で非開示を決めた。また、実施済みの08年度の調査結果も非開示とし、09年度分以降は再検討することで合意した。

 鳥取県教委は、地方紙記者から07年10月に市町村と学校別の結果の開示を請求され、開示しないよう求めた文科省通知に沿って非開示とした。記者は異議を申し立てた。県情報公開審議会は7月8日、文科省通知に法的拘束力はなく、開示で事業に支障がでることも考えづらいとして、開示すべきだと答申した。これを受け7月15日に開かれた県教育委員会は、意見が分かれ結論を出せなかった。

 県情報公開条例には、11人以上の学級については学力調査の結果を開示することになる条項がある。今回の決定は条例に沿って判断した答申に従わない形で、開示請求者が納得できない場合は行政訴訟になる可能性もある。(北村有樹子、徳永悠)

    ◇

 鳥取県元知事の片山善博・慶応大教授の話 非開示は論外。情報公開は、出すのが嫌な情報でもルールに従って出すものだ。ルールとは県の情報公開条例で、県教委がねじ曲げることはできない。どうしてもというなら、従った上で、今後、条例改正を議会に提案すべきだ。大分県の例を見ても、教委は独善的傾向がある。教委の独立とは教育内容についてのことで、法律や条例に従わないことではない。

 お茶の水女子大大学院の耳塚寛明教授(教育社会学)の話 市町村教委から多くの反対がある中で公開には踏み切れなかったのだろう。全国学力調査の結果を公開するかどうかは、情報公開の文脈だけで議論すべきではない。今後、結果を公開するとしたら、教育施策としてどういう意味をもつのかを詰めなければいけない。他の県や市町村もひとごとと思わず、公開することも一つの選択肢として検討していくべきだ。

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