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インターネット上部落地名総鑑全国版 ダウンロードファイルの流出について

 すでにマスコミ報道で情報を得ている方は多いであろう。10月1日、新聞等で掲載された「部落地名総鑑フロッピー版」の発覚では、「ネット流出に懸念」の見出しで始まり、地名総鑑の問題性について北口末広さんが述べられていた。

 この報道を期に、2ちゃんねる人権問題には「部落地名総鑑フロッピー版確認」という名のスレッドが作成され、その中に今回の地名総鑑がテキストファイルにて貼り付けられていた。
 ダウンロードのため、地名総鑑にアクセスするURLは冒頭の「h」が抜けていた。ダウンロードに必要なパスワードは「buraku」であった。現在は閲覧できない。

 しかし、事実は報道によって歪曲され、「実在してはいなかったのではないか」、「人権センターのガセネタなのではないか」と、ネットニュース等で流されるようになった。これこそ全くの事実無根である。本来メディアは事実を報道すべきものであるにも関わらず、ガセネタを流したことによって、現在さまざまな場で三重県人権センターに対する批判が飛び交っている。実際に私はデータを23日にデータで保管した。22日に社団法人 三重県人権教育研究協議会の方が三重県内某市の行政職員から連絡を受け、16時過ぎに私の携帯電話に連絡を受けた。翌日職場で確認し、データで保管した。こうした事実すら確認していないのにも関わらず、連日の「同和バッシング」報道にのっかかるようにして、今回の報道が流された。メディアリテラシーは日本には未だ根づいていない。疑問に感じるのであれば「聞く」ことが大切である。

 私のもとにも、「松村君も関係しているのか」という問い合わせが何十件か入ってきた。その度に、「あれは事実であり、データで保管している」と説明しなければならない現状である。
 情報発信をする責任がいかに重要なことかを、ネット上の問題に取り組み始めた私は、周囲以上に心がけているつもりである。安易な判断で、事実を歪曲され、批判的な目で見られている私たちは、この事実を発信していくしかない。人権大学でも10月31日に全体の場で実態を遠くからであるが見てもらった。また講演では、部落地名総鑑が発覚した1975年から現在までの状況、更に、今回の地名総鑑についても触れなければ、その問題性や緊急性等について理解されがたい状況が三重県にはある。今回のような勘違いやメディアに惑わされている人々が非常に多いのである。

 今回の報道では21日に発覚としているが、事実は22日に発覚である。
 2ちゃんねる上で事実無根の議論をされているのは、「三重県のB」に三重県人権センターのIPアドレスが載せられたからである。私がトラップだろうとわかりながらも部落地名総鑑フロッピー版の発覚の記事が、多くの新聞に掲載されたことから、万が一を考慮して、「ふしあなトラップ」に入ったところ、今回のようにIPアドレスが掲載されてしまった。決してやましいことをしているのではないので、名前が出ても何ら問題はない。このことについて、『実際には「部落地名総鑑」を閲覧できない「三重県のB」に作成されたトラップでひっかかった三重県人権センターは、そのことを怒りに思い今回のような事実でないことを国に訴え、メディアはそれを流した』という間違った報道が今回のような事態を引き起こした。常識を考えれば、行政の立場から事実でないことをメディアに流すはずがない。私はここにも「差別性」が伺える。それをうわさがうわさを呼び、うわさが偏見や差別意識と迎合して「偽りの真実」になったのである。
 IPアドレスが載せられてしまったことについて、問われるようなことがあれば、責任をもって県へ謝罪に行くが、しかし、実際には以上に述べた経過であったのである。

 今回の地名総鑑には、「部落でない地域であっても、被差別部落として扱われている」という問題性がある。このため、何が起きるかというと、部落でない地域の人々も、今回のデータを所持した人々にとっては「被差別部落出身者」ではないかと判断されることとなり、就職時や結婚時に差別が起きる可能性があるということである。
 以前、フロッピー版が発覚した記事について述べさせていただいたが、今回も同様に、「身元調査等規制等に関する条例」の制定が必要であり、国には「差別的身元調査の禁止/ILO111号条約の批准」を要請していかなくてはならない。

 具体的に規制をかけなければ、ただでさえ「差別が見えにくくなってきている」現状であるのに、差別は従来よりも悪質・陰湿化・急増する恐れが大きい。このため、被害者を出してしまう前に未然に防ぐとともに、一刻も早く差別を解消するための手だての一部としても、上記の法整備が必要であると私は思う。

 また、社会に気運を巻き起こすことも重要である。部落出身者のみならず、外国人や在日コリアンとも協働し、また同和問題の解決に真摯に取り組む方々を巻き込んで、さまざまな機関へ働きかけていけば、私は容易に制定できると思う。動くか否かでこれは決まる。


ライブドアブログに書かれていた記事である。まず読んで欲しい。

27日のPJオピニオン「ネット社会における『部落地名総鑑』の卑劣さ」では、2ちゃんねるに「部落地名総鑑」が掲載され、削除されたとの毎日新聞の記事を引用したが、騒動の経過を調べているうちに、掲載・削除が本当にあったのか疑問が湧いてきた。この記事では、今回の騒動を検証したい。

 同記事中の「部落地名総鑑が2ちゃんねるに掲載された」との記述は2通りに解釈できる。一つは「2ちゃんねるのスレッド(記事)に部落地名総鑑の内容が書き込まれた」、もう一つは「2ちゃんねるのスレッドに部落地名総鑑へのリンクが張られた」である。
 2ちゃんねるにおけるスレッド削除の手順は、1)削除依頼の専用掲示板に削除依頼が書き込まれる、2)「削除人」と呼ばれる運営ボランティアがその内容を確認する、3)「削除人」が当該記事を削除する、となっている。ボランティアによる削除の基準は、削除ガイドラインに明確に示されている。部落地名が掲載された場合、削除理由の「差別・蔑視の意図がある地域名または苗字等の書き込みは、その真偽を問わず削除対象になります」に該当する。これは、他の削除理由よりも優先度が高い削除理由の一つとされている。
しかし、三重県内の公務員が掲載を発見したとされる21日から、「すでに削除されていた」と報道される26日までの削除依頼掲示板には、該当する削除依頼は書き込まれておらず、少なくとも一般的な手順で削除された事実はない。2ちゃんねるではメールや電話での削除依頼は受け付けていないため、削除依頼掲示板への書き込み以外で削除されるとすれば、裁判所の決定・仮処分による削除だけである。今回、裁判所が削除を命令した事実もない。

 一方、現在の2ちゃんねるのシステムでは、2ちゃんねるのサーバーにファイルをアップロード・ダウンロードすることはできない。従って、画像ファイルや文書ファイルその他を流通させるためには、2ちゃんねる以外のサーバーにそのファイルをアップロードし、そのリンクをスレッドに掲載して、ダウンロードを可能にする必要がある。この場合、ファイルを削除できるのは、ファイルがアップロードされているサーバーの管理者で、2ちゃんねるはそのファイルの内容や削除について一切の責任はない。リンク先がファイルではなく、サイトの場合でも同様である。2ちゃんねるの利用者が多いため、社会的影響を考慮してリンクの削除を依頼することも考えられるが、今回の騒ぎでそのような削除依頼は出されていない。
 削除依頼掲示板を調べる限り、以上の理由から、今回、2ちゃんねるでの「部落地名総鑑」の流出はなかったと考えられる。では、なぜこのようなことが起こったのか。

 この問題に関して、2ちゃんねるに書き込みがある。その内容を見てみると、今回の騒ぎは20日のある書き込みが発端かもしれない。これは、「ふしあなトラップ」と呼ばれるいたずらで、掲示板の名前の欄に「fusianasan」と入力することで、入力者のコンピューターの情報(IPアドレスやドメイン名など)が掲示板に表示される機能を利用したものである。「無修正画像が見られる裏2ちゃんねるにアクセスする方法」などとして入力を促してドメインを表示させるいたずらが、一時期頻繁に行われていた。今回の「ふしあなトラップ」は、「被差別地域がどこにあるのかを記載したホームページへのアクセス方法」とする内容であった。

 この「ふしあなトラップ」にかかってしまったユーザーが数人いた。表示されたドメイン名の解析によって、その中の一人は21日に三重県人権センターのパソコンからアクセスしたことがわかっている。つまり、人権に関する情報を収集していた三重県人権センターの職員が、「ふしあなトラップ」に気づかずに、被差別部落の地名が記載されているとされるホームページにアクセスしようとして「fusianasan」と入力したものの、存在しないホームページへのアクセスは不可能だったため、そのホームページが削除されたと考え、「ネットに流出したが既に削除された」と関係機関に連絡した、というのが真相ではないだろうか。

「部落地名総鑑」はこれまで紙媒体で複数が発見されているが、部落解放同盟大阪府連が先月30日、電子媒体を初めて回収したことを発表した。「ふしあなトラップ」はこのような状況で行われたいたずらで悪質だが、実際には2ちゃんねるでの流出はなかったにも拘わらず、関係機関がぴりぴりした中で騒ぎが大きくなったのではないか。
なお、今回の件に関して、「『部落地名総鑑』と題して37都道府県ごとに約430の地名リストを列挙。住所とともに『○○駅前』『○○大学隣』といった場所の目印や、『刑場跡』『朝鮮人』などの記述もあった。」と産経新聞が報道しているが、これは、部落解放同盟が初めて回収した電子媒体に関する別のニュースからの憶測記事である可能性が高い。

 ネット社会における「部落地名総鑑」の存在は、今回の騒ぎとは無関係に卑劣であると思う。しかし、事実に基づかない報道で、「2ちゃんねる」や「被差別部落問題」が実態から離れて一人歩きすることも避けなければならない。


こういった内容の文書が、新聞記事や報道、そして個人がメディアとなれるインターネット上において一斉に流されていったのである。今では、「三重県人権センターは早く謝罪をしろ」とまで、言われるようになっている。「e―キャストニュース」というネット上の報道機関と、「創」という出版社からは三重県人権センターへは電話取材があったのだが、研究所には未だ取材がないために、研究所としての具体的な動きを報道していただけない経過がある。

産経新聞、毎日新聞で10月27日に「部落地名総鑑全国版ネット上で確認」の記事が掲載されて以降、検索サイトで「部落地名総鑑」と検索する人が急増したと聞いている。しかし、発見できなかったので、恐らく「三重県人権センター」と検索をかけたからか、あるいは「三重県のb」というスレッドに三重県人権センターの名前が出たからか、安易な判断による間違った報道が盛り上がりを見せていったのである。
事実としては、三重県内某市行政職員が22日に発見。三重県人権センターはその日に連絡を受け、翌日の23日に地名総鑑に書かれていた県内関係市町へ連絡し、各地の法務局へ削除の依頼に動いてもらい、三重県生活部からは全人同教事務局へ連絡、そこから法務省へ削除要請を依頼してもらうよう、三重県人権センターにお願いをした。研究所は部落解放同盟三重県連へ連絡。そこから中央本部へあげてもらうよう要請。23日で以上のような動きをしたことから、私の推測として24日には閲覧不可能になっていたと思われる。
 また「ふしあなトラップ」に入ったのは研究所の私である。つまり三重県人権センター職員がどうのこうのというのは一方的に決めつけられた報道であったということになる。「ふしあなトラップ」は、今回のネット上地名総鑑の流出事件とは、まったく関係がない。別のスレッドから地名総鑑は発見されたのである。

 メディアは国民の関心が高まるように記事を編集し、ときには事実を歪曲する。
メディアの報道を批判的に受けとめなければならないことが、今回のこの記事でご理解いただけたのではないだろうか。


(財団法人 反差別・人権研究所みえ 事務・研究員  松村元樹)


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