国際環境ソリューションズから土壌汚染、地下水汚染に関する情報や土壌調査・土壌汚染対策関連のセミナー情報です。
国際環境ソリューションズ株式会社国際環境ソリューションズオフィシャルサイト
HOME論文・書籍サイトマップ
ソリューション土壌汚染とは?ブラウンフィールドとは?事例紹介Q&Aニュースお問い合わせ
HOME > NEWS & TOPICS

NEWS & TOPICS

NEWS


2008.06.02 豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する
専門家会議について  5月31日

 東京都中央卸売市場(築地市場)の移転予定地である豊洲新市場予定地の土壌汚染問題への対応について、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議(以下、「専門家会議」とする)の第6回が5/19(月)に、第7回が5/31(土)にそれぞれ東京都庁で開催されました。
 第6回専門家会議では、新市場予定地(約40.7ha)を10m区画(100m2)で詳細に調査された4122地点の調査結果等が報告され、ベンゼン、ベンゾ(a)ピレン、芳香族炭化水素画分についての土壌中からの汚染空気の曝露による影響が評価されるとともに、土壌汚染等の対策について、対策に必要な要件と実施すべき土壌汚染対策等の基本方針案が示されました。
 第7回専門家会議では、シアン化合物についての土壌中からの汚染空気の曝露による影響が評価されるとともに、土壌汚染等の対策について対策に必要な要件、対策を満たすために必要な調査(絞込調査)、実施すべき土壌汚染対策等の基本方針、対策実施後の土壌の状況とその評価が示されました。
 次回(第8回)の専門家会議では、対策実施後の管理のあり方を中心に検討を加え、専門家会議としての提言案が示されるとともに、現在東京都により進められている441地点での絞り込み調査の結果が報告される予定です。
 なお、専門家会議における配布資料および議事録は東京都中央卸売市場のホームページに掲載されております。詳しくはそちらをご覧ください。

【詳細調査結果の概要】
 詳細調査では、東京ガス竃L洲工場の操業に伴い当時の地表面付近から供給された有害物質による土壌汚染の残存状況を把握するために表層土壌の調査が行われ、深い位置の汚染状況を把握するために地下水の調査が行われました。詳細調査は、新市場予定地(約40.7ha)全体を10m区画(100m2)で分割した区画毎に1地点ずつ、計4,122地点で行われました。
 この詳細調査の結果から、新市場予定地内の土壌・地下水汚染状況は以下のとおり評価されています。

@ 表層土壌および地下水の汚染物質はベンゼンおよびシアン化合物が中心であり、他にヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムによる汚染があることが確認された。
A 表層土壌ではベンゼンの土壌溶出量が最高で430mg/L((東京都環境確保条例の汚染土壌処理基準(以下、「処理基準」とする)の43,000倍)、シアン化合物の土壌溶出量が最高で86mg/L(処理基準の860倍)検出されたが、処理基準を10,000倍以上超過した地点はベンゼンの1地点のみであり、100倍以上超過した地点はベンゼンで3地点、シアン化合物で1地点であった。
B 表層土壌で処理基準を超過した地点の全調査地点に占める割合はベンゼンが0.8%、シアン化合物が2.2%であった。
C 地下水では、ベンゼンが最高で100mg/L(地下水環境基準の10,000倍)、シアン化合物が13mg/L(地下水環境基準(定量下限値)の1300倍)検出されたが、処理基準を10,000倍以上超過した地点はベンゼンの1地点のみであり、100倍以上超過した地点の全調査地点に占める割合はベンゼンが1.3%、シアン化合物が.01%未満であった。

【詳細調査結果による東京都が当初予定していた対策の評価】
 東京都が当初予定していた土壌汚染等の対策の内容について、詳細調査までに得られた情報をもとに、汚染物質の曝露による人の健康への影響、および市場用地としての食の安全・安心の観点から有効性が評価されました。
 この評価の結果、汚染土壌の直接暴露、汚染地下水の曝露については人の健康リスクおよび生鮮食料品への影響が生じる可能性はないと考えられました。しかし、地下水管理が行われた際にA.P.+2m以深の地下水からベンゼンおよびシアン化合物が揮発してガスとして隙間や亀裂から建物内に侵入していくことによる人の健康リスクおよび生鮮食料品への影響の懸念に対しては、地下水中最高濃度をもとにリスク評価のための計算方法を用いてこれより高くなることはないと考えられる安全側に見た地上空気中濃度および人の空気吸入によるベンゼン曝露量(吸入量)が試算された結果、大気環境基準の定められているベンゼンについて大気環境基準を上回り、ベンゼンとシアン化合物のいずれも人の健康リスクが目標とされるレベルを上回るという結果が得られました。

【今後東京都がとるべき対策のあり方】
 詳細調査までに得られた情報およびそれに基づき東京都が当初予定していた対策の評価がなされ、今後東京都がとるべき対策のあり方として、以下のことが示されました。

(1)対策に必要な要件
 新市場予定地で行われる土壌汚染等の対策は、以下の要件を満たしている必要があると考えられる。

@ 生涯曝露による人の健康被害を防止する観点から、汚染土壌を直接曝露、汚染地下水等を曝露、または汚染空気を曝露することによる人の健康被害が生じるおそれが継続して防止されること
A 食の安全・安心という観点を考慮し、揮発ガス成分(ベンゼン、シアン化合物)が隙間や亀裂から建物内に侵入することによる生鮮食料品への影響を防止する観点から、さらに上乗せ的な安全策が行われること。

(2)実施すべき土壌汚染対策等の内容
 実施すべき土壌汚染対策として、以下の内容が提案されました。

@ 各街区の周縁部を止水矢板でそれぞれ囲むことにより、市場予定地と外部との間での汚染物質の移動を防止。
A 各街区とも、建物の周囲を止水矢板等で囲むことにより、建物建設地とそれ以外の部分の間での汚染物質の移動を防止。
B 市場用地内の全ての場所で旧地盤面(A.P.+4m)からA.P.+2mの範囲の土壌を全て掘削・入れ換えし、さらにその上に予定されていた2.5mの盛土を行う。
C A.P.+2m以深について、操業由来により処理基準を超過した土壌を全て処理基準以下に処理する。
D 建物建設地の地下水について、ベンゼン、シアン化合物の濃度が地下水環境基準に適合することを目指した地下水浄化を行うとともに、地下水管理を行って地下水位の上昇を防止。
E 建物建設地以外の地下水について、地下水管理を行って地下水位の上昇を防止するとともに、揚水した際に処理を行うことなく下水に放流できる濃度レベル(排水基準に適合する濃度)で地下水管理を実施し、将来的にベンゼン、シアン化合物の濃度が地下水環境基準を達成することを目指す。また、液状化対策として地盤改良工事を行う際に、合わせて地下水中のベンゼン、シアン化合物の濃度の低下を図る。

 この対策内容は、地下水管理として雨水の浸透や毛細管現象に伴う地下水位の上昇防止および地下水位上昇が確認された場合の地下水の揚水・処理・公共下水道放流が行われ、地下水位がA.P.+2m程度に維持されていることを前提としています。
 この内容で土壌汚染対策が行われた場合、詳細調査および絞込調査で把握された汚染土壌は全て処理基準以下に処理されることになり、地下水中のベンゼン、シアン化合物についても排水基準(地下水環境基準の10倍)に適合する濃度で管理されます(建物建設地ではさらにベンゼン、シアン化合物の濃度が地下水環境基準に適合することを目指した地下水浄化が行われます)。地下水から揮発したベンゼン、シアン化合物等がガスとして隙間や亀裂から建物内に侵入していくことによる影響の懸念については、リスク評価のための計算方法を用いて安全側の試算を行った結果から、地下水中のベンゼン、シアン化合物の濃度が排水基準に適合する濃度で管理されるのであれば人の健康リスク上問題のない状態で地上空気環境が維持されると評価されています。

 国際環境ソリューションズ鰍ヘ、技術的な側面から議事を整理していく事務担当として、第6回から専門家会議に出席しております。

●専門家会議詳細
  東京都中央卸市場ウェブサイト
 「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」



▲TOPへ
個人情報の取り扱いについてサイトのご利用について Copyright (c) KOKUSAI ENVIRONMENTAL SOLUTIONS CO., LTD. All Rights Reserved.
国際環境ソリューションズオフィシャルサイト 国際環境ソリューションズオフィシャルサイト 国際環境ソリューションズオフィシャルサイト