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NHK:万引きの元富山放送局長と委嘱契約

 NHKが、万引き事件を起こして依願退職した元富山放送局長と、番組を視聴、批評する「専門モニター」を委嘱する契約を結んでいたことがわかった。NHKでは、セクハラ行為で熊本放送局長を更迭された元職員が定年退職後に子会社に再雇用されたことが判明したばかり。今度はNHK本体で、しかも依願退職した職員と雇用契約を交わしていたことは、不祥事に対するNHKの問題意識の希薄さを鮮明にした。

 元富山放送局長は06年10月に停職3カ月の懲戒処分を受け、同月依願退職した。だが昨年11月、番組に問題がないか審査する考査室が、報道番組を中心に月20本程度を視聴して意見を提出する「専門モニター」として1年間の委嘱契約を結んだ。

 さらに、出張旅費の精算で不適切な経理処理をしたため、06年6月に停職1カ月の処分を受け、依願退職した元山口放送局長が、昨年10月に視聴者対応などを受け持つ関連団体「NHKサービスセンター」(東京都渋谷区)に1年間の契約職員として再雇用されていたこともわかった。主に視聴者から寄せられた電子メールの対応をしているという。

 サービスセンターもNHKも「依願退職で責任を取り、社会的制裁も受けている。制作現場での経験を生かしてもらうためお願いした」と口をそろえ、何の問題もないことを強調している。

 服部孝章・立教大教授(メディア法)は「税金に準ずる受信料で成り立つ事業体は、社会保険庁を解体してできる組織が懲戒歴のある職員を雇用しないのと同様に考えないといけないことを自覚すべきだ。制裁を受けたからといって、懲戒処分を受けた職員を受け入れる感覚には首を傾げざるを得ない」と非難している。【丸山進】

毎日新聞 2008年8月16日 2時30分(最終更新 8月16日 2時30分)

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