ワシントン(CNN) 1988年に起きたパンナム航空103便爆破事件をめぐり、米国務省は14日、リビアとの間で遺族への補償などを定めた正式合意に調印したと発表した。
デビッド・ウェルチ米国務次官補が同日リビアの首都トリポリで開かれた調印式に出席し、両国が合意文書に調印した。これにより、犠牲者の遺族らが起こしている損害賠償訴訟が終結するとともに、米国とリビアの関係正常化に向けた道が開けることになる。
パンナム機爆破事件は英スコットランドのロッカビー上空で起きたことから通称ロッカビー事件と呼ばれ、米国人189人を含む270人が死亡した。米国はリビアによるテロ事件と断定、犠牲者の遺族らがリビアに対して損害賠償訴訟を起こしている。
パンナム機爆破事件遺族の弁護団代表によると、今回の合意に基づきリビアは約5億ドルを払って未解決の訴訟を決着させる。さらに、1986年に独ベルリンで起きたディスコ爆破事件についても遺族に2億8000万ドル強を支払う。
また、リビアが責任を認めていないほかの複数の事件についても基金を創設し、遺族への補償に充てる。補償総額は10億ドル強となる。
一方リビア側も、米国が1986年に行ったトリポリ爆撃で民間人40人以上が死亡したとして、米国に対し補償を求めていたが、遺族補償のための基金を設置してこの問題も決着させる。
米国とリビアは14日、トリポリで「それぞれの国民に対する正当な補償提供の手順が確立されたことを歓迎する。これにより、焦点は今後の二国間関係へと移る」とする共同声明を発表した。
今後米国は、米国大使の派遣や援助を含めたリビアとの関係改善を図る。ライス国務長官も年内にリビアを訪問する見通し。