米大リーグ歴代1位の通算4256安打を誇るピート・ローズ氏(67)が、日米通算3000安打を達成したマリナーズ・イチローについて語った。ラスベガスでインタビューに応じ、打者としてのスタイルの違いからトレード移籍の勧め、4000安打の可能性などについてローズ氏らしい奔放で過激な発言が相次いだ。(聞き手 田代学)
−−率直にうかがいますが、イチロー選手があなたの記録に追いつく可能性はありますか
「それは日本の記録を含めての話かい? まだ大リーグでは2000安打にも達していない。素晴らしい打者で、ヒットをたくさん打っていることは認めるが、大リーグ記録と単純に比較できるかは難しいところだ」
−−昨季までイチローは1シーズン平均227安打。41歳までプレーすれば抜けそうですが
「だんだん厳しくなるだろうね。あの脚力を維持しなければならないし、もっと強いチームでプレーすべきだ。何のためにヒットを打つのか分かるだろ? 試合に勝つためさ。自分はチームに恵まれて世界一にもなった。イチローは何のためにヒットを打っているのか。試合に勝てなければ球場に来るのも楽しくないし、打ってもうれしくないはず。いいチームが、いい記録を生むものなんだよ」
−−今季は微妙なペースですが、8年連続でシーズン200安打を記録しそうです
「監督をした経験からも言えることだが、気になるのは四球の数が少ないことだ。四球を選ばないで毎試合出ていれば、200安打できる大リーグの選手はもっといる。チームの勝利を考えたら、1番打者は安打だけでなく、四球での出塁も大事。もっとチャンスを作れて、得点を稼げて、チームの勝利に貢献できる選手だと思う」
−−あまりイチローは好きではないですか
「そんなことはない。いい選手だし、自分が監督なら欲しいよ。でも1番打者は自分で、イチローは2番。さっきも言ったが、東海岸の強い球団へ移籍して、もっと全米のファンに彼のプレーをライブで見せてほしい。それがイチローの将来にもプラスになるんじゃないかな」
−−打撃スタイルで共通点はありますか
「自分の方が身体が大きいから、もっとバットを強く振っていたし長打も多いはずだ。イチローのような打撃スタイルで足もあれば5000安打していただろうね」
−−37歳で3000安打を達成したときの気持ちは
「入団したころは、タイ・カッブが保持していた最多安打記録なんて考えたこともなかった。意識したのは3000安打のころから。このままプレーできればチャンスがあると思い、努力した。ヒットを打つことでは、だれにも負けたくなかったからね」
−−長く現役を続けられた秘訣(ひけつ)は
「決して満足しないことだ。2安打したら3安打、3安打したら4安打とドン欲に挑戦し続けることだ。そして体調を常に整えておくこと。現役時代から酒もタバコもしなかった。今じゃ当たり前だけど、当時は両方とも好きな選手が多かった。とにかく毎日小さなことの積み重ねだ」
−−イチローの殿堂入りについては
「野球が、最も難しいスポーツといわれる理由を知っているかい? 10回中7回失敗しても殿堂に入れるスポーツなんて他にないからさ。アメフットのQBのパスや、バスケットのシュートで成功率が30%だったらベンチにも入れない。だから10年プレーして3割以上打ったら、その資格は十分にある」
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