太平洋戦争終戦直前に東条英機元首相が書いたメモが、国立公文書館に所蔵されていたことがわかりました。この時期のメモが見つかったのは初めてで、国民の犠牲に責任を痛感すると述べる一方で、無条件降伏には強く反発する心中を綴っています。
「一億一人となるも、敢然戦うべきは当然なり」(昭和20年8月10日)
「新爆弾に脅え、ソ連の参戦に腰をぬかし」(昭和20年8月10日)
8月10日の段階でも戦争継続を訴え、ポツダム宣言受諾当時の政府の姿勢を批判する言葉。東条英機元首相が終戦直前の1945年8月10日から14日にかけて書いたメモです。「無条件降伏すれば、『安きに流れる国民』が軍部をのろう」と綴っています。
「無条件降伏受諾の影響は、ややもすれば一段安きに考えたる国民として軍部をのろうに至るなきや」(昭和20年8月11日)
また、ポツダム宣言の受諾などに関して「国政指導者と国民にあまり気迫がない」と批判しています。責任転嫁とも取れる言葉を残していました。
「簡単に手を挙ぐるに至るが如き国政指導者、及び国民の無気魂なりとは夢想だもせざりし」(昭和20年8月13日)
戦争の目的を「自存自衛」「東亜の安定」としていた東条元首相。終戦前日の14日には、秘書官あてにこう綴っています。
「国民の難きを忍び、皇軍将士の神国日本の不滅を信じつつ、大義に殉ぜる犠牲も遂に犬死に終らしむるに至りしことは、前責任者としてその重大なる責任を痛感する」(昭和20年8月14日)
(12日22:24)