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漢族支配、緊張の新疆 ウイグル族怒り

8月12日8時1分配信 産経新聞


 【クチャ(中国新疆ウイグル自治区)=野口東秀】公安(警察)局など十数カ所に対する連続爆破事件から一夜明けた11日、ウイグル族の間では、中国の地元政府や公安当局によるウイグル族抑圧が事件の背景にあり、玉砕覚悟の攻撃も「起きて当然」との声が多い。北京五輪に対するしらけた空気がウイグル族の間に蔓延(まんえん)しており、現地では一切、五輪を歓迎するスローガンを見ることはなかった。北京では平和の祭典、五輪が開かれているが、胡錦濤指導部は、漢族支配に反発するウイグル族との「戦争状態」に突入しているかのようだ。

                   ◇

 ■「人権なんか…」

 「漢族とウイグル族の関係はまあまあだったのに。腹が立つやつらだ」。

 ジュースや果物などを売る漢族の商店主(40)は、爆破で破壊された店内を片づける作業中、こう怒りをぶつけた。

 クチャ県内はあちこちに銃痕や容疑者自爆の跡が路上に鮮明に残る中、警官が街を巡回し、緊張した雰囲気が漂う。中心部の商業施設「華琳商場」。1階部分はシートがかぶせられているが、中に入ると玄関が爆発で変形していた。表通りに面した窓ガラスは粉々だ。

 爆破された美容院が入居するビル前で、漢族の男性は容疑者が多数射殺されたことについて「共産党が反撃し、テロリストをつぶした」と顔を紅潮させた。このビルでは「オートバイに乗った男が40キロの爆薬を投げて爆破させた」という。公安局もガラスが割れた。

 しかしウイグル族の男性(30)は「どこでも漢族が権力を握る。だからこういう事件が起きるんだ」と言い放った。さらに「この国には人権がない。何か事件が起きると遠く離れた村でも好き勝手に(ウイグル族を)拘束し連行していく。派出所での暴行は頻繁だ」とも語った。

 男性が政府を最も腹立たしく思うのは、イスラム教を尊重していない点だという。「学校ではイスラム教を教えず、しかも断食月(ラマダン)の時に子供に食事を強要するんだ。子供にイスラム教を教えていた人は密告されたのか連行された」。

 10日午後、クチャ中心部一帯は戒厳令が敷かれたかのように外出が禁止され、外出していた数百人のウイグル族が拘束されたという。「人権なんかありゃしない!」。この男性はこう繰り返した。

 ウイグル族の間では、警察は「抑圧」の象徴でもある。今回の事件で武装グループは路上で銃撃戦の末、射殺されたり、自爆したりした。死を覚悟して公安局などを襲撃したことからも、政府・警察、さらには漢族に対してウイグル族の人々が強い怒りと憎しみを抱いていることがうかがえる。クチャ県ではかつて、公安局長が射殺されるなどの事件も発生した。

 ウイグル独立派「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」は、国際テロ組織アルカーイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンと関係があるとみられている。

                   ◇

 ■「何が五輪だ」

 ウイグル人男性(46)は今回の事件について「五輪が開幕した直後の事件。(中国政府への)影響は大きい。ウイグル族の怒りが世界に伝わったはずだ」と述べた。

 街頭や食堂などではテレビで北京五輪での中国人選手の活躍ぶりが映し出されていた。しかしそれにウイグル族が見入る姿を見かけることはついになかった。

 「五輪なんか関心ない。街に五輪のスローガンなんか一つもないだろう。反感を買うからさ。五輪はウイグル族にとっていいことなんか何もない。何が五輪だ」。男性はこう吐き捨てるように言い切った。

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最終更新:8月12日12時1分

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