(cache) chapterⅡ

2008.07.12 Saturday 10:07

コレクション-1

旧ブログ時代、過去作品集のカテゴリを作っておきたいと思っていたのだけれど、結局できずじまいだったので、少しずつ、UPしてみたいと思う。

これは、ちょうどブランドを立ち上げた2005S/Sのもの。

ジュート麻のふんわり丸っこいフォルムに、鳥とお花の形にカットしたアイボリーのレザーを縫いつけ、甘ったるさを中和するためスタッズをアクセントに。

鳥が羽ばたいているその羽を持ち手に見立てて作るバッグは、以前勤めていた会社の販売事業部でショップ店長とエリアマネージャーをしていた頃に考えていたデザイン。
春の花畑の上を白い鳩が飛んでいく、ピースフルなイメージ。
因みにこれの前身でオフホワイトの綿麻生地にベージュのレザーを使ったものがある。

「とにかく可愛いのでどこに持っていっても褒められる」と言っていただいたのがとても嬉しかった。

私が絵画の道を諦めたにもかかわらずバッグづくりに目覚めたのは、平面の世界では限界が見えていた自分の表現力が、立体になった時に自分の想像を越えて広がることを知ったからと言える。

例えば紙のキャンバスに、花畑の上を鳥が飛んでいく絵を描いたって面白みはないけれど、こうしてバッグというキャンバスに落としこんでみたら、思いがけず独自の世界ができあがった。

2WAY SHOULDER BAG.jpg

これは2006S/Sに制作した、ドラム型のショルダーバッグで、革をくり貫いた部分にアンティークレースを嵌め込んだもの。
レースは一つひとつ違い、最初は普通の斜め掛けショルダーバッグだったのを、途中に接続部分を作って分割して2WAYで使えるようにした。
バックサイドには定期や鍵など入れられるポケットつき。

前年度つまりブランド立ち上げシーズンに、これのシルエット違いのものも出していたのだけれど、このシリーズは人気で、どれも入荷してすぐ売れていたのだそう。

オーダーメイドで黒レザーバージョンを作ったこともアリ。

CANVAS×SNAKE BAG.jpg

これは、2005S/Sのオーダーメイド。

綿麻キャンバスに、白の牛革とベビーパイソンをリボン状に縫製したものを、メッシュにして乗せたもの。

私のオーダーメイドには、大きく分けて、お客様の「こんなデザインでこんな素材でこんな色で…」という希望をそのまま形にするパターン(希望の素材がバッグに向いていない場合や配色や素材の組み合わせが合わない場合などはアレンジさせていただく)と、サイズや大まかな形、メインの色や素材の希望を聞いて、そのお客様のイメージに合うデザインを提案するパターン、以前作っていたものをご覧になってマイナーチェンジをご希望の場合にお客様のご希望の素材や色みを聞きアレンジをしていくパターンがある。

そして、これは二番目の、お客様のイメージに合うデザインを提案させていただいたもの。

大きめのワンショルダー、横長シルエット、ヘビ革を使うこと…等の条件を踏まえ、スラリと長身でとびきり美人、モデルもこなすピアニストで人気のカフェを切り盛りする素敵な女性のお客様からご依頼いただいて、瞬間的に思い浮かんだデザイン。

けれど、ブランド立ち上げ間もない、未熟すぎる私にはとてつもなく難しいデザインだと、作り始めて気がついた(笑)
何でもそうだとは思うけれど、バッグは生産行程通りに縫製していかないと最終的に綺麗に仕上がらないので、このバッグみたいに複雑なデザインになればなるほど、縫製していく順序が大切になっていくのである。
専門学校を出たわけでもないヒヨっ子レベルの私にはいきなり高すぎるハードルを自ら設置してしまったわけだけれど、そこは腹をくくって、受験の時並みに頭をフル回転させてなんとか仕上げたのだった。

パイソンの革は牛革等と違い紙のように薄いので、カットして両端を折り、牛革を裏に張ってステッチをかけ、牛革にも両サイドにステッチを施し、リボンを作っていく。それをサイドの型紙に合わせてメッシュを編んでいき、下地の綿麻キャンバスに固定する。
底部分の牛革とキャンバスの間にもパイソンを挟みこんで、アクセントに。
そしてセンターのバックルに通すベルトには、もちろんパイソンの一番いい柄の部分を使用。

と、こんなふうにできあがったバッグは本当にとても喜んでいただけて、私も感激!!

DOUBLE BELTED SHOULDER BAG.jpg

2005A/Wのオーダーメイドの斜め掛けショルダーバッグ。

これは、本体がツイードで蓋がレザーのデザインを、オールレザーで作ってほしいとご依頼いただいたもの。
本体のシルエットも、底に丸みがありマチが広めだったのを、四角く薄くというご希望に合わせてアレンジ。

この蓋は、二本のベルトを、バックルの下側の短いベルトでバッグ底のマグネットに固定し、ベルト穴の位置をずらすことでフラットにしたりドレープを作って革の表情を楽しめるようにしたデザイン。
そのため、蓋部分の革はラフにカットして敢えて切りっぱなしにしてある。

後にメンズのビジネスバッグにも使用することになったこのデザインは、私が自ら考案したデザインの中でも特に気に入っているものの一つ。

長く使って革が味わい深く変化していく過程を楽しんでもらえるよう、色はキャラメルのようなブラウン、厚みがあって、自然な艶としなやかさがあるオイルドレザーを使用した。

「職場でも可愛いって褒められるし、彼氏にも「いい革だね、どこで買ったの?」って訊かれるし、合わせやすい」と、とっても気に入っていただけて、つい先日も「今もヘビロテで最高です」なんて言っていただいて、私は嬉しすぎて思わず泣いてしまった。

「また素敵なバッグ作って下さい」

そう、私は‘そこ’に、成長した自分で再び戻るために、今、メーカーで企業デザイナーをしているのだ。

オフィスでは小さな音量でFMがかかっているのだが、最近流れていたある名称に耳が反応した。

『DRAFT!神戸クリエイターセレクション』

自分を選んでくれたセレクトショップで半年間の商品展開ができるという企画。
私が2年前に参加したコンテストだ。

私は書類審査を通過して最終選考に残り、大丸百貨店やアクアガールから商談の申し込みを受けたが、当時の私には量産できる背景がなかったため、結局話はまとまらなかった。

しかし、雑誌等でも有名なアクアガールのディレクター、笠原さん(実物もエレガントでキュートで素敵な女性!)に言われたことは、今でも強く心に残っている。

当時の私は、取引先のショップのテイストに合わせてバッグを作っていたのだけれど、それが自分が全面的に好きで目指したいフィールドでなく、少しズレてきていたことに悩んでいたのだけれど、その私に、初対面の笠原さんがこう仰ったのだ。

「作品と、あなた自身の雰囲気に少しズレがあるのね。
オリジナリティがあって可愛いけれど、本当にご自分が作りたいものを作れていないんじゃないかしら?
量産のシステムとか、人脈もだけれど、あなたが本当に作りたいものを作れるようになった時、きっと私たちが「欲しい!」と思えるものを作れると思う。
期待しています」
と。

生地や金具のメーカー、国内の縫製工場、そしてそういう業者との取引に必要な専門用語、知識…個人のままではなかなか得られなかったものを、今少しずつ吸収している。

自分のデザインの能力がどこまで通用するか、量産でどこまで自分の作りたいものが作れるのかというのも試したうえで、私だからこそ作り出せるものとは一体何なのか、それを追求することが、私が企業デザイナーになった目的である。

2008.07.10 Thursday 08:27

がけっぷち

先週誕生日を迎え、気持ちも新たに仕事に精を出している今週。

展示会を来週に控え、社内の空気はますます慌ただしい。
展示会のカタログ制作に追われているところに、社長からあまりに酷なお達しが。

展示会向けのサンプルのバッグ計12品番とポーチ計15品番のカラーバリエーションを2色ずつ増やせと言うのだ。
中には単に生地の色を替えればいいものもあるが、このブランドはプリント主体であるため、8割方はプリントの配色を作り直さなければならない。
3色くらいならまだいいけれど、5、6色の組み合わせを替えていくのは相当頭を使わねばできない。
単なるパズルゲームではなく、それぞれの色がバランスよく、可愛くなければならないからだ。

例えばベースカラーが白・黒・ピンクなど、もちろん1型ごとのカラーバリエーションのバランスも必須である。

27型×2色ずつ考えてフォトショップのデータにして保存していくのだが、何せオリジナルデータが重すぎて、ファイル一つ開くのに数分はかかり、保存するのにも同じくらいかかるのだ。

今まで担当してきた仕事はほとんどイラストレータのみで事足りてきたが、今回の展示会から担当することになったこのブランドの仕事はデータが全てフォトショップの形式で入稿されるため、カラーバリエーションを増やすにはフォトショップを使いこなせねばならない。

しかし、ここにきて初めてまともに教わり始めたフォトショップでの作業なので、作業時間を短縮する為のテクニックも全然知らないために要領を得ず、先輩デザイナーSくんに助けてもらいっぱなしだ。

昨日は今日の朝イチの商談の際にカタログを見せたいと言われており、データを完成させてメールで送らなければならなかったため、残業が最長記録を更新してしまった。

私一人でこなそうとしていたら到底完了できなかったが、先輩デザイナーSくんが助けてくれたおかげでなんとか終えられた。

Sくんは、普段は目が合う度に変な顔やポーズをしたり、突拍子もない冗談を言ったり、私をモデルに変なイラストを描いては笑わせてくれる。
いわゆるムードメーカーだ。
最近のヒットは、私の頭から肩までの後ろ姿を、エッシャーみたいに上下どちらからも見ても成立するよう描いた絵。
ボブヘアの私の後ろ姿が、逆さにして見るとサンタクロースか仙人かというようなおじいさんの絵になっていたのだが、巧いうえに絶妙なユルさのあるイラストがあまりにも面白くて、元々笑い上戸な私は始業早々20分くらい笑いが止まらなくて大変だったのだ。
気が合うのは、Kくんと同じAB型のせいだろうか。

Sくんは、仕事は確実に正確にこなすけれどどんな時でもユーモアを忘れないし、切羽詰まって泣きそうな時も、冗談を言って笑わせてくれる。
そして、自分の仕事がとっくに終わっていても、私の残業が終わるまで出荷場でサッカーのリフティングなんかしながら待っていてくれるのだ。

実は一昨日もそれまでの最長記録で遅かったのだが、ようやくキリをつけて帰り支度をしていると、誰かが出荷場に向かって
「Sくーーーん!!foggieさんもう帰るってー!!」
と大声で呼んだ。
私はますます申し訳なくなり、
「待ってもらってすみません」
と言ったが、彼は
「あ、別に僕待ってたわけじゃありませんから」
とぶっきらぼうに返した。
いつもこうだ。

人にはすごく気を遣ってくれるのに、人には気を遣わせまいとする。
なかなかできないことだと思う。
7つ年下だけれど、私なんかよりよほどしっかりしているなぁ。
というか、私がしっかりしてなさすぎるのだが。

Sくんには仕事のことでもプライベートなことでも色々お説教を食らっているけれど、今日も怒られてしまった。
「わからないことはどんどん訊かないと!覚えるまで何回でも訊いたらいいんです。一人で何とかしようと抱え込んでたら、自分の首を絞めて屍になるだけですよ」

私は子どもの頃から、教えてもらうより自分であれこれやってみて体得するのが好きだったので、集中しているとつい、その作業自体の面白みに没頭してしまう傾向にある。
個人のお客様相手の仕事の時は、少しくらい遅れたとしても丁寧であればOKと言って下さる場合が多かったが、会社ではそういうわけにはいかないのだ。

データを作りながら、F社に来月頭に納品の迫るバッグの使用生地の色を確認し、加工先に指示、加工先からは先に仕様を間違って縫製を完了してしまったとブランドネームと品質表示の再発注を依頼される。
カラーバリエーションを決めたデータを順次、版権元にファイル便で送りながらカタログ用にバッグやポーチの絵型に嵌め込んでいく…
もう、神経を張りつめっぱなしで、Yahoo!ニュースやメールをチェックする暇もない。
Sくんがメールをチェックして「F社のネーム各1000枚だって」と教えてくれた。もう今日は連絡する時間がない。明日だ…
あぁ、先日発注をもらった財布の生産前に仕様の最終チェックと修正指示も出さないと…

テンパって余計なミスを連発する。情けない。
しっかりしろ、私。

2008.07.02 Wednesday 21:26

衝撃!!

『コム・デ・ギャルソン』と『ルイ・ヴィトン』のコラボショップが、南青山のドーバーストリートマーケット跡地に9月4日、12月までの期間限定でOPENするとか!!!

今から大興奮で待ちきれない!

いわゆるそのあたりのロゴ系ブランドには昔から全く興味が持てず、『ルイ・ヴィトン』に関しては、“マークジェイコブスのクリエイション”という観点からの興味しかなく(ちなみに数年前の秋冬のコレクション(もちろんバッグ以外)は最高に素敵だった!)このまま行くとおそらく『ルイ・ヴィトン』のショップには一生足を踏み入れることがないだろう私の人生。

逆に、『コム・デ・ギャルソン』は大好きで、両者は対極に位置すると思っていただけに、川久保さんがヴィトンをどう表現するのか興味津々だ。

MEN'Sの2009年春夏コレクションはモノトーンに限定され、スカートというフェミニンの最たるアイテムを取り入れたものだが、川久保さんの、いつもこちらの予想を良い意味で裏切る新鮮な切り口に感嘆。

川久保玲とマーク・ジェイコブス。
国籍も性別も年齢も違う二人。

その留まることのない、変化し進化し続けるクリエイティビティに、当時は自分が将来ファッション業界に身を投じるとは予想もしなかった学生の頃から、私にとって常にリスペクトするデザイナーである。

2008.07.02 Wednesday 08:45

声はすれども姿は見えず

工場からのサンプルはギリギリで間に合うことになった。

つまり私が昨日明け方4時半までかかって編んだメッシュ生地も、会社で2時間かけて編んだ色ちがいのそれも、無駄になったわけである。
結果として必要なくなったが、工場からのサンプルが間に合わなければそれを使わなければならなかったのだから、プロとして当然の仕事だ。

そうして昨日は少々脱力感にとらわれながら、ここ2週間忙しくて残業続きだったために何度か予約をキャンセルせざるを得なかった歯医者へ。

会社の最寄り駅から目と鼻の先にあるこの歯科には、今の会社に勤め出して間もない頃に親知らずが痛み始め、今まで何度も詰めものをしてはすぐ取れるものだから半ば諦めて放置していた奥歯まで痛み始めたので、駐輪場の斜向かいにたまたま発見してその場で電話で予約して通い始めた。

結果、会社もとても自分に合った会社だったうえ、素晴らしい歯科だったのだ。
角ビルの3Fで治療台が5台ほど並んだ壁面はガラス窓で開放的でまるで美容室のように明るく(このビルの2Fは美容室だ)清潔感に溢れ、最新設備が整い、平均30前後とおぼしき先生が男女2人ずつ、歯科助手や受付の女の子は可愛く(←なぜかここはオヤジ目線)、治療も懇切丁寧で上手く、おまけに治療費も今まで通った歯医者は皆詐欺だ!と言いたくなる低料金。
といいことずくめなので予約はわりと取りづらいが、ここにきてようやく、悪いところは全部治しておこうという気になれた。
今まで詰めてはすぐ取れていた部分がどうしてそうなっていたのかを解明し、ちゃんとそうならないよう治療してくれたからである。
因みに今は昔詰めものをした部分の奥が深部まで虫歯になっていたため、初めて神経をとるという治療の最中。
昨日の治療費は200円也。

そのあとはこれまた2週間ぶりに、弟が勤めるマッサージ店へ。

最初は店内の男性スタッフ中指名ナンバーワンの弟を指名していたのだが、弟がオススメしてくれた‘ゴッドハンド’と言われている女性に乗り換えてしまった。

元々実家の経営する美容室に勤めていたのが、そこからの流れでマッサージに目覚めたほどなので、未だに美容室で「あの子のマッサージは本当に気持ち良かった!お金払ってもいいくらい」というお客様が何名もいるというし、確かに他のスタッフより抜群に巧いから私も指名していたのだが、やはり同じ女性だからなのか、力加減が絶妙なのだ。
昨日はこのところずっと来られなかったうえ、昨日のメッシュを編む作業のおかげで「うわ～すごい!(笑)酷使されたんですねぇ」と笑われるくらい末期症状だった。
俯いた耳に、弟がお客さんと楽しく話す声が聞こえる。
弟が指名ナンバーワンなのが技術によるものだけでないことは私がよく知っている。
3人の姉の下で育った弟は大人ばかりに囲まれていたので、頭の回転が速くて気がきくのだ。そして優しい。

マッサージが終わり、カウンターでお茶とお茶菓子をいただいていると、店長らしき人が「あの、今日の更新の年会費お返しします。弟さんから、お誕生日プレゼントだそうです」
そもそもここに通い始めたのも、弟が私のために年会費を払って会員カードを作ってくれたからだった。

そういえば今週は私の誕生日。

京の都は、祇園祭の支度で華やいでいる。

2008.06.30 Monday 22:26

残業はテイクアウトで。

今日も残業、帰りは10時半くらいかな…
しかも、今日は家に帰っても残業が。
あいにく今日は通勤のお供の本を忘れてしまった。
角田光代の『幸福な遊戯』。
続きが気になってたのにな…

テイクアウトの残業。
明日発送しなきゃいけない財布のサンプルのため、MAIN MATERIALのメッシュ(ボッテガ・ヴェネタのイントレチャートに代表されるアレ)を、なんとまあ一枚の生地を8ミリ巾にカットしたものを自分で編まなきゃいけなくなったのだ。
で、それを明日朝イチで社内のサンプル職人のおじさんに渡し、夕方までに仕上げてもらう、と。
元々メッシュになっている生地が自社になかったのだ。

こんな事態になったのも、加工先の工場が二度に渡ってサンプル納期を守ってくれなかったからなのだが、それは結局、「私が催促を怠ったせい」になる。
納期を守らない加工先の職人のお尻を叩くのも仕事のうち。
取引先に頭を下げなければいけないのは担当の営業マンなのだ。

そんなわけで、明日サンプルが到着すれば問題ないが、その保障がないため、万が一の場合に備えて自社でサンプル制作することになった。

サンプル職人のおじさんが、
「ここんとこ何にも言ってけぇへんからずっと心配しとったんやで。俺ぁ自分(私)のこと気にかけとるからな、へへっ」と言ってくれた。

父より少し上くらいだから、企画部の皆を娘や息子のように思ってくれているみたい。
「しゃあないなあ、間に合うか知らんで、そんなもん!」
口ではそう言いながらも目はいたずらっ子のように笑い、必ずやってくれるから、つい甘えちゃうんだな。

2008.06.28 Saturday 21:01

ランジェリーフェチの洋服

先日は、久々に私がいちばん好きなセレクトショップにてお買い物。
ずっと仕事が忙しくて行けていなかったし、この日もお店の滞在時間はほんの20分ほど。

もともと蔵だったというこじんまりとした、けれど素敵なスペース。
そこにゆったりとディスプレイされた洋服の数は決して多くはないけれど、国内外から選りすぐられたアイテムはどれも、酸いも甘いも噛み分けた、知的でユーモアのある大人の女性の心をくすぐるものばかり。

有名ブランドのものでも、大手や他のセレクトショップにはあまり出回ってないレアものが見つかったり、仕入れたブラウスにクリエイターが刺繍を施したりと、他では手に入らないものも。

とある高級メゾン出身のオーナーの、ありきたりでない独自のセレクトは、流行に左右されない自分のスタイルを持ったお客様たちから絶大な支持を受けていて、私もこのお店に出会って以来すっかり虜になった。

もともと自分自身のオリジナルブランドのバッグも取り扱ってもらっていたけれど、勉強のために企業デザイナーになったので、もちろん私は今はただの客の一人。

さて、私は昔からランジェリーが大好きで、よくランジェリーブランドのキャミソールを外着としてカーディガンやセーターのインに着ていたのだけれど、そんな私がハマったのがこのお店でも取り扱いのある「kyuis」。

下着メーカーの同僚の女性3人が「自分たちが本当に欲しいランジェリーがない」と立ち上げたというブランドの商品は、ただ甘ったるいだけの可愛さでなく、ポップだったりセクシーだったりエレガントだったりする中に、素材感やデザインやカラーリングでほんの少し毒がきいたエッジィなエッセンスが光る魅力的なブランド。

その「kyuis」が、今シーズンから洋服にも力を入れ始めたとか!
そんなわけで早速胸をズキュンと射ぬかれたアイテム。

オリーブ少女だった私にとっては永遠の定番柄であるギンガムチェック、しかも大好きなブルー。
ホルターネックって実は今まで買ったことがなかったのだけど、これには一目惚れ!
小・中学生時代に習っていたバレエ教室の先生からよく「肩が上がってる!」と注意されて、内心「骨格なのに…」と泣きべそかいてた怒り肩なので、大人になっても肩を出すのに抵抗がなくならないのだけど、まあカーディガン羽織ればいいや、と。

ストライプの織り柄入りと無地のチュールを2枚重ねにしたカーディガンも「kyuis」らしくて、パフスリーブも私の好みど真ん中。

しかも、黒やグレーがベースカラーで、そこにブルーやピンクやパープル、赤を合わせるのが大好きな私は、もう見た瞬間これを着ている自分が想像できてしまったので、ものの数分で「これとこれ、いただきます♪」と即決。
10代の頃から趣味が一貫しているし、自分に似合うものしか惹かれないので買い物がラクだ。

デニムは全然持っていないけれど、これは前回「DIESEL」で買って以来5年ぶりくらいかな?昨年このお店で買った「PLEIN SUD」のもの。
「シルエットも綺麗だし、SUSみたいに出回ってないからオススメ」とオーナーからのアドバイス。
自分も販売経験があるから他のお店では基本的に販売員さんのアドバイスは的外れでほとんど当てにならないことが多いけれど、彼女は名スタイリストなので信頼を置いているのだ。
知り合いも同じことを言っていて「マジックにかかっちゃうよね!」と意気投合。

去年買った同じく「kyuis」のキャミソールと。
こちらはグレーのストレッチコットンベースの胸元に、黒のドット柄のチュールに白とベージュのボーダー柄のグログランリボンをフリルにあしらったもの。
ショーツとセットで持っているのだけど、このショーツがまた!!
バックサイドが全面このドットのチュールで、よくある胸元のデザインみたいに上部中央が丸くくり貫かれ、このボーダーのグログランリボンで結んであるのだ。
ネットで探したら画像は見つかるかも。
もちろん特別な夜限定(笑)。
褒めてもらえて嬉しかったな。

さて、そんな名スタイリストであるオーナーが、「これ、foggieさんが好きそうよ♪」とクローゼットから出してくれたとっておきアイテムが…

annemie verbeke1.jpg

季節はもう夏だけど、通勤で長時間乗る電車は冷房ガンガン!
ジャケットは暑苦しいし、普通のカーディガンでもいいけど、もうちょっとカジュアルにパーカみたいに羽織れるのが欲しいなぁ、でも私Tシャツとかパーカ似合わないし…と思っていたところだったのだ。
以前にもこのお店で大きな襟付きニットを買って惚れ込んだベルギーのデザイナー「annemie verbeke」のもので、一見スウェット地に見えるけれど、素材は目の詰まった上質なニット。
しかも合わせがジップアップでもボタンでもないデザインで、何よりこの繊細なビーズのデコレーション!!
ここここ好みーーー!!
「わぁ～探してたんです、こういうの。まさに理想通り!!こんなにピッタリくるのが今日ここで見つかるなんて!」
このお店は顧客メインなので、店頭に並んでいない「あのお客様に似合うもの」がたくさん隠されているのだけど、出してもらえて良かった!

いやもう、大好きなコム・デ・ギャルソンが上下買えるくらいのお値段でビックリしたのだけど(涙)、このビーズづかいなら仕方ない、いや何よりこの魅力に抗えなかったのだ。
「もうじきセールだから」と割り引いてもらったし♪

annemie verbeke2.jpg

クリアグレーのビーズが二つずつ丁寧に縫い付けられて、まるで星空みたい。
袖も七分丈でピッタリしすぎない美しいシルエットなので、展示会ではドレスの上に羽織らせてあったそう。

ところで「kyuis」のギンガムチェックのホルターネックにはセットアップで両サイドが胸元と同じく結び目になっているショートパンツがあって、この日は「あんまり穿かなさそうだしな…」と迷ったのだけど、やっぱり気になって頭から離れなかったので後日取り置きを。
近々迎えに行く予定。

それにしても夏本番を迎える前にすっかり日焼けしている。
通勤で毎日10分自転車に乗るのだけど、たった10分だからって油断できないなぁ…

2008.06.25 Wednesday 08:31

ポップ

先月、旧ブログ時代に出会い、いじくって…イヤ可愛がっていただいている(笑)ブログ師匠であり尊敬する人生の先輩ご夫婦とデートしていただいた時に、F氏より「BEAMSとセブンイレブンのコラボステーショナリー出てるよ～」との情報をいただき、ゲットしたボールペン。
全長10センチにも満たなくて、しかもこうやってピンチみたいに挟める！

普通のボールペンだとバッグの内ポケットにサイズが合わないし、見た目も可愛くないけれど、これならピッタリ♪

それにしても、子どもの頃からアンティーク好きな一方でこういうポップなデザインやカラーリングに弱いのは、お人形遊びよりもLEGOに夢中だった名残なのかしら?
車やジャンクなおもちゃが好きな父の影響か、実はミニカーが好きだったり(笑)、飛行機やトラックモチーフにも、花柄やレースに負けず劣らず弱いんだよなぁ…ちなみに原付の免許すら持ってないけど。
画像のポストカードもトラックの総柄みたくなっていて、買ったのは確か高校生くらいだったかな。

そこからの流れなのか何なのか、漫画やアニメも甘ったるい少女趣味なものよりむしろ少年漫画が好きで、高校生の頃は毎週月曜の朝にJUMPを買って登校するのが習慣だった。
そしてうちのクラスの男子はみんな私が買ってくるのを当てにして買ってこなくなり、私が読んだあと、みんなで回し読みしていたなぁ(笑)。
自分が買ったものなのにいつも急かされて、とりあえず『スラムダンク』(←単行本ももちろん揃えている)とか主要なとこだけ先に読んで、他のはみんなが読んだあとにまわしていた…(涙)

漫画と言えば、旧ブログでも恥ずかしながら告白したのだけれど、いちばんの愛読書は『パタリロ!』。
いやあれホント、下手な小説読むより文章や構成も高度だし、読後の満足感が違うんですよ!(笑)

あと『ゴリラーマン』なんかもかなりハマった漫画。

と、こんな趣味が災いしてか、女友だちはもとより、恋人を始めとする男性陣にまで「母性本能強いわりに、男の子みたいにサバサバしてるよね」と言われる性格になってしまいました。

2008.06.22 Sunday 17:05

KAORU

先月、色々リニューアルした勢いで、久々にネックレスを購入した。
大好きな「Atelier KAORU」で。

デザイナーの薫さんは、私の昔の勤務先の上司の知り合いで、お店が職場と近かったことからよくお邪魔していて、ハンドメイドのぬくもり溢れる柔らかな曲線が美しいアクセサリー達にすぐさまファンになったのだった。

東京に転勤になってからしばらくして久々に覗いた時、随分テイストが変わった気がしたのでしばらくお店に訪れていなかったのだけれど、先日、猛烈に
「ネックレス買いたい!!」
という気分になった私は真っ先に藤井大丸のお店へ。
(新宿伊勢丹にも出店していたのは知っていたが、京都から発信することにこだわる薫さんなので、私はKAORUは京都で買うものと決めていた)

するとなんと、通常店頭にはいない薫さんご本人が!!
最後にお会いしたのが東京に転勤になる前だったので忘れちゃったかな?と思ったけれど、私のことを覚えていて下さっていて嬉しかった。
昔話にちょっぴり花を咲かせる。
そしてさらに嬉しいことに、前に覗いた時にはなかった、昔のシリーズがたくさん店頭に並んでいた。

草花やアンティークレースからインスピレーションを得たアクセサリーたちは、アンティーク好きな両親のもとに育ち、子どもの頃からアンティークショップに入り浸っていた私の心をくすぐるものがたくさん。
アンティークのアクセサリーも色々持っているけれど、それらと組み合わせてもすんなり馴染むのだ。
まるで何年も前からずっと身につけていたかのように。

新しく仲間入りしたのは、2001年に発表された紫陽花モチーフの華奢なネックレス。

手持ちのアクセサリーはアンティークもそうでないものもゴロッとデコラティブなものが多いので、今まで持っていなかった華奢なものが欲しいと思っていたのけれど、‘細くてちぎれそうなチェーンにダイヤモンドやその他の小さな天然石’みたいなシンプルすぎるものは私にはあまり似合わなくて、自分にぴったりくるものは今までなかなか見つからなかった。

たぶん2001年に出会っていても当時はピンと来なかっただろう。
そして奇しくも紫陽花の季節。
シルバーの涼しげなチェーンに鈍い光を放つ真鍮の質感はまさに私好み。
今日出会う運命だったんだな♪
8年前に買って以来肌の一部のようにつけ続けている同じくKAORUのリングとも、以前勤めていた会社の後輩がプレゼントしてくれて愛用しているピアスとも相性ぴったり!

KAORUの歴代の作品たちを集めた素敵なカタログもいただいて大満足。

2008.06.21 Saturday 07:58

20080504

ナタネ

それはどの風景を切り取っても絵になる、素敵な空間。

Rさんのご結婚祝い＆海外赴任ということで送別会。
特別に作って下さったというショートケーキはこんな時にぴったりな、至福の味。
それにしてもRさん、お美しい!!
輝きが違います。

‘もちもち’、そんな言葉だけでは表現しきれない、あの食感は何だろう。
パンも、スープも、サラダもケーキも、
「(オーナーの)あっこさんに調理してもらえて良かったね」
と言ってあげたくなる。

愛情をたっぷりと注がれて丁寧に作られた味を提供するお店には、地域の人びとが足繁く通う。

連れて行ってくれたEさんはもちろん、そのひとり。

2008.06.20 Friday 22:52

☆イェーーーーーイ☆

来月ビッグサイトで開催される業界最大の合同展示会に出展するため、今月に入ってバタバタ慌ただしい。

特に先週から今週にかけては、展示会サンプルの仕様書作成の期限に追われてお昼休憩も削ったりしながら必死で、デスクとサンプルルームとコピー機を行ったり来たり。

手首から先はまるで、懐かしの『アダムスファミリー』の「ハンドくん」よろしく、私のカラダから取り外した別の生きもののように、もしくはその部分だけを早送りして見ているかのように、カッカッカ、カチカチ…と音を鳴らしながら高速テンポで踊っていた。

とんでもなくギリギリだが、なんとか展示会に間に合いそう…な気がする。というより、そう信じるしかない。

一人でテンパッっているのを見て先輩デザイナー(と言っても弟と同い年だし昔バンドやってたりで仕事を抜きにしたら本当に弟みたい)に手伝ってもらった。
「これは一人じゃ無理ッスよね」
その言葉を投げ掛けてもらって少し気持ちがラクに。

忙しいのは、出展する2つのブランドどちらも、バッグと財布等の小物は私が担当しているからである。
老若男女大抵誰もがどこかでその作品や商品を目にしたことがあるであろう世界的に有名なクリエイターと、日本に上陸して間もないカジュアルブランドのライセンスもの。

‘自分の好きなデザイン’以外の様々なデザインを手掛けることは自分にとって大きな糧になるだろうとは思っていたけれど、例えばブランドのロゴやモチーフのサイズ、本体との質感や配色のバランス、また本体そのもののシルエットやディテイルなど、ほんの少しの違いが絶妙なバランスを生み、そして売れるか売れないかの明暗を分ける。

自分が納得いかないものが受け入れられたり、逆に自分が「これはいい!」と気に入っていたデザインがあまり受け入れられなかったりもするが、個人でオーダーメイドや一点ものを手掛けていた頃よりずっと広い視点でデザインを考えるのは、当時とはまた違った楽しみがあるし、1番目より2番目と、回を追う毎に感覚を掴めてくる実感は大きな喜びだ。
そしてこのあたりの状況はまさに、私が企業デザイナーになることを志した目的を見事に叶えている。

ところで今日はとても、とても嬉しいことが。

私が担当している、とあるブランドのライセンスものの財布の企画で、我が社の一番大きな取引先から、初回にしていきなり大口の発注をもらったのだ!!

長い時間をかけ、オリジナルのデザインで作ったメタルパーツなんかも加えたりした、私が入社してから今まででいちばん自分でも気に入っていて、自信作でもあったため、喜びもひとしお。

発注書の4桁の数字を見つめながら、しばらく信じられないような気持ちと、自信があっただけに「やっぱり!」という確信と、会社に貢献できる喜びとで、なんだか感無量だった。

弟と同い年の先輩デザイナーが「おっスゴい!おめでとう!!」と言ってくれたのだが、なんだか放心状態で
「うん…」
と気のないような返事をしてしまうし、営業さんにも
「あっ多いなあ!」(しかもしばらく後にさらに数を上乗せした発注書がFAXで送られてきた)
と言われて
「はい…」
とまるで他人事のような状態だったのだが、今になってようやく実感が。

嬉しい!!
すっご～～～く!!!
ヤッタぜイェーーーーー!!!!!

自分が今までに服を買ったり、昨シーズンは久々に靴を一足買ったブランドで、10代から私よりも少し上の世代の女性なら誰もが知っているようなブランドなのだ。

私、本当にデザイナーになったんだな…
やっと、ここまで来たのだ。

私を、一度は諦めた世界に導いてくれたKくんの言葉を思い出す。

「自分の直感を、感性を信じて。
あなたはいつも、正しい道を選ぶことができる人だから。」

私の全てを愛してくれた人。
私が全てを愛した人。

「あなたが成長するのを見るのが自分の幸せ」

そう言ってくれたKくん。
もう二度と会うことはないかもしれない。
東京の空の下、今、彼はどうしているだろうかと、ふと思った。

<< 2/3P >>