■新曲『蛍 』を聴かせてもらったんですが、これ本当にいい曲ですね。
鬼束: そう言ってもらうのがいちばんうれしいです。ありがとうございます。
■奇をてらったところのない王道のバラードで、ただただいい曲だなと感じました。
鬼束: 『蛍』では小説のような曲を書きたいなって思ってたんです。けっこう昔は感情たれ流しで書いてたこともあったけど、今回はちょっと俯瞰(ふかん)というか。「美」というものを念頭において書きました。だから自分で言うのもなんだけど、すべての単語がきれいだと思います。
■鬼束さんの言う「小説みたい」っていうのは、具体的にはどういうことなんでしょう? ストーリーがあるってことではないんですよね。
鬼束: よくわからない。
■でも確かに感情むき出しではなく、世界があって、それをていねいに歌っているという感じはしました。そういう理解でいいでしょうか?
鬼束: はい。いや、もうお好みで。でも、自分でもすごくいい曲だと思います。映画を見て改めてそう思ったんですよね。
■映画「ラストゲーム 最後の早慶戦 」の主題歌になるという話は、あとから決まったんですよね? 映画にあわせて曲を書いたわけじゃなく。
鬼束: うん。めったにそういうことはしないですね。
■どうでした? 映画で流れるのを自分で見て。
鬼束: “いいのかなあ?”と思いますよね。この映画ってひねらずに、ズンと心に入ってくるんです。それがすごく感動的で。
■『蛍』というモチーフはどこから?
鬼束: たぶん私の中では比喩(ひゆ)なんですよね。だから「蛍」って歌ってるんですけど、実は蛍じゃないかもしれない。よくわかんないけど。なんかわかります?
■たぶん。個人的には蛍のはかなさみたいなものを強く感じたんですが。
鬼束: でも私、まず蛍の生態系を知らないんですよ。見たこともないし。虫が嫌いなんです。
■じゃあどうして蛍なんですか?
鬼束: だからほんとに比喩(ひゆ)ですね。なんていうか「北の国から」的な感じで。
■いや、「北の国から」の「蛍」は人の名前ですからね(笑)。
関連楽曲をiTunesでダウンロード