憂楽帳

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憂楽帳:医療事故

 医療事故の被害者や遺族らを中傷するインターネット上の書き込みが横行している。長女を医療事故で亡くし、医療情報の公開を求める運動に取り組んできた京都府の高校教諭、勝村久司さんは、訴訟継続中の遺族から相談を受けて思わず涙が出たという。

 遺族が手にしていたのは、厚さ15センチほどのファイル。医療関係者らしき人物らがネットに書き込んだ遺族への中傷文書が多数とじてあり、遺族は一つ一つに手書きで「事実はこうだ」と反論を書き込んでいたという。

 中傷する側は「医療崩壊と呼ばれる状況を生んだ一因は、結果が悪ければすぐ訴える患者の存在」との論法を展開する。だが、患者が医療側の説明に納得できない場合、最終的には訴訟しか真相究明の手段がないのが現状だ。

 医療死亡事故の死因を究明する「医療安全調査委員会」設置の議論が進んでいる。勝村さんは「調査委によって事故の情報公開が進めば、訴訟は激減するはずだ」と期待する。医療側と患者側が対立する不幸な構図が一日も早く終わることを願う。【鯨岡秀紀】

毎日新聞 2008年8月11日 12時41分

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