来月、アメリカ軍横須賀基地に配備される予定の原子力空母「ジョージ・ワシントン」が、前任の空母「キティホーク」と交代する様子がアメリカのサンディエゴ基地で公開されました。日本のメディアへの公開は初めてのことですが、背景にはアメリカ側のある思惑があります。
巨大な2つの空母は、ともに全長300メートルを超えます。これは原子力空母「ジョージ・ワシントン」。来月、アメリカ軍・横須賀基地に配備される予定です。そして、歓声に迎えられたのは空母「キティホーク」。これまで横須賀基地を母港としていました。
アメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴ基地では、日本時間の7日、巨大空母の交代する様子が日本のメディアに初めて公開されました。
母国の土を踏んだ水兵たちは、来月、横須賀基地へ向かうため、「ジョージ・ワシントン」に乗り込みます。
「『ジョージ・ワシントン』に 不安な点はないと、日本の皆さんに理解してほしい」(「ジョージ・ワシントン」の乗組員)
アメリカ軍は今回、「キティホーク」の内部を公開しました。ミサイルのような形をして並ぶのは、燃料タンクです。通常、目にすることはできません。
さらに・・・。
「アメリカ軍がこれだけ近くで戦闘機を公開することは珍しく、アメリカ軍の十分な配慮が窺われます」(記者)
アメリカ軍がこのような配慮をみせ、異例の公開に踏み切ったのはなぜでしょうか。その背景には、地元・横須賀での原子力空母の配備に対する根強い反対の声、不信感があります。アメリカ軍側には今回の公開で配慮を示し、原子力空母の配備をスムーズに進めたいという思惑があるのです。不信感の元にあるのは・・・。
今年5月、「ジョージ・ワシントン」が南米沖を航海中に起こした火災。横須賀市への通報は発生から1日半以上が過ぎていました。そもそもアメリカ軍は、横須賀市と防災協定を結び、災害時には迅速な情報提供を行うと説明してきたのです。
「事故があったら 教えてくれるという信頼はないですね。すごく不安です」(横須賀市民)
さらに今回、原子力潜水艦の放射能漏れ事故が横須賀や沖縄でも起きていたことが発覚。日本側への連絡は事故発生から1年半も後でした。やはり迅速な情報提供が行われなかったことで、横須賀市民の反発は必至です。
「日本の市民の心配を無視して配備を強行しようとしている。断じて許されるべきではない」(横須賀の市民団体、呉東正彦弁護士)
「横須賀に関係ないことと思っていたのでびっくりした。どんな微量な放射能であっても、慎重に取り扱わねばならない。米軍にはもっと、きちっとやってもらいたい」(横須賀市、蒲谷亮一市長)
これに対し米軍側は・・・
「日本に行く私の家族も、日本の皆さんの家族も、危険にさらすようなことはない」(横須賀に配備される「ジョージ・ワシントン」の新艦長)
また明らかになった原子力潜水艦の放射能漏れ。情報開示の遅れがあっただけに、安全性をアピールする狙いがあった今回のイベントに、暗い影を落としています。(08日23:01)